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犬で僕な僕と魔術師の事件簿  作者: ふたばみつき
失われた灰色 ロスト・グレース
7/24

解読、その2

「す、すごい!! あっという間に暗号が解けてますよ!!」


 彼女が鼻水混じりに喜び声をあげる。

 

 いや、まだまだ全然わからない箇所だらけだ。この仮説が詰めば、はじめからやり直しだし。綱渡りも良いところだ。

 だけど、これで少しずつ文章の方向性を考えながら解読出来るようになって来た……


 僕は手に持った万年筆を顎に当て思考を巡らしなが。今しがた手帳に書いた暗号に視線を落とした。


つえ ▽ とけいとう ○ ④⑤う③◎。

♡⑩② つえ ⑥ ▲うい◎ ③⑦。

つえ ⑧■ ⑪③け⑨▽■ とけいとう ② ○⑪■⑨。

♡③⑫ とけい ⑧■ ⑬⑯■⑮ ③■⑩⑭ ⑥ と①え⑤。

⑰⑱⑨▽■ つえ ○ ▲うい◎ ▽ と⑧⑨。

つえ ▽ つえ ○ ▲うい◎ ⑥ とい⑦ ⑳○ ○

⑳○ と ①⑲。


 正直、手詰まりに近い。ここでまた一ヶ所、やはり当てずっぽうで決めていくしかない。


 その箇所が〈◎〉だ。


 この〈◎〉は〈④⑤う③◎〉と〈▲うい◎〉の二ヶ所で重複してる。それに、前後の文書と暗号の内容からすると。


 この〈④⑤う③◎〉は時計に関係する物で。この〈▲うい◎〉は暗号の内容に関する物ではないかと思う。


 つまり〈ちょうしん〉と〈ふういん〉ではないかと思われる。これならば、かなりしっくり文章を纏めることが出来る。


 新たなに解読した文章を手帳に綴る。


つえ ▽ とけいとう ○ ちようしん。

♡⑩② つえ ⑥ ふういん し⑦。

つえ ⑧■ ⑪しけ⑨▽■ とけいとう ② ○⑪■⑨。

♡し⑫ とけい ⑧■ ⑬⑯■⑮ し■⑩⑭ ⑥ と①えよ。

⑰⑱⑨▽■ つえ ○ ふういん ▽ と⑧⑨。

つえ ▽ つえ ○ ふういん ⑥ とい⑦ ⑳○ ○

⑳○ と ①⑲。


「こ、これは。あともう少しで……」


 彼女がこちらに身を乗り出し、文章の書かれた手帳を除き込んでくる。

 正直、もう少しだけど。この暗号はあくまで仮説で合ってるかわからない。そこまで期待を込める物でないんだ。


 だが、ここまで来たら。文章を完成させるしかないのも確か。

 ここで一気に完成に近づけてしまおう。


 まず、封印の後にある〈し⑦〉と〈と⑧⑨〉に〈とい⑦〉を決め打ちしていく。


 封印の後に続く言葉は〈封印した〉〈封印しろ〉〈封印をとけ〉〈封印をといた〉〈封印がとける〉〈封印がとけた〉とかが入るはず。


 となると、先ずは〈し⑦〉の中には〈した〉が入る。恐らく〈して〉ではいと思う。文末であることから「どこそこに封印した」と言う胸の文だとなんとなく想像がつく。あと、最後の〈とい⑦〉は恐らく〈といた〉だろうけど、最悪この〈⑦〉はこの二ヶ所にしかないから、最後に文章の流れを見て決め打ちしてもいいと思う。


 そして、次に〈と⑧⑨〉には〈とける〉〈とけた〉〈といた〉が入るが〈け〉と〈い〉は既に使っているから、今回の解読では入れることは出来ない。

 つまり〈と⑧⑨〉に入るのはそれ以外でこの文章を乱さない物にならなければいけない。恐らく〈とかれ〉だと思う。

 この〈⑨〉である〈れ〉が、かなり不安だが他の箇所でも複数使用されているから、ここが間違っていれば一発でわかるはず、なので続行する価値あり。


 そうすると、取り敢えずはこうなる。

 

つえ ▽ とけいとう ○ ちようしん。

♡⑩② つえ ⑥ ふういん した。

つえ か■ ⑪しけれ▽■ とけいとう ② ○⑪■れ。

♡し⑫ とけい か■ ⑬⑯■⑮ し■⑩⑭ ⑥ と①えよ。

⑰⑱れ▽■ つえ ○ ふういん ▽ とかれ。

つえ ▽ つえ ○ ふういん ⑥ といた ⑳○ ○

⑳○ と ①⑲。


 それで、ここにまで来て残った文字が。


 あ、お、き、く、こ、さ、す、せ、そ、た、ち、て、な、に、ぬ、ね、の、は、ひ、へ、ほ、ま、み、む、め、も、や、ゆ、ら、り、ろ、る。


 この中から〈と①えよ〉と〈①⑲〉に当てはまるであろう文字を探し出す必要がある。


 だけど、ほぼ間違いなく〈となえよ〉だと考えていい。

 なので暗号は以下の通りとなる。


つえ ▽ とけいとう ○ ちようしん。

♡⑩② つえ ⑥ ふういん した。

つえ か■ ⑪しけれ▽■ とけいとう ② ○⑪■れ。

♡し⑫ とけい か■ ⑬⑯■⑮ し■⑩⑭ ⑥ となえよ。

⑰⑱れ▽■ つえ ○ ふういん ▽ とかれ。

つえ ▽ つえ ○ ふういん ⑥ といた ⑳○ ○

⑳○ と な⑲。


 この中で恐らく〈▽〉〈◯〉〈⑥〉〈②〉の中には〈は〉〈の〉〈や〉〈を〉〈に〉の類いが入るとは思われる。だけど、どれに入るかと言う確証が今のところまったくない。


 となると、ここで遂に〈■〉の存在をここで決め打ちする必要が出てくる。

 恐らくこれは〈か■〉から想像するに〈濁点〉だと思う。

 〈から〉と言う可能性もあり捨てきれないが、この文章の長さで〈濁点〉が存在しないと考えるのは難しい。となると〈濁点〉をどう処理してるかを考えると、この〈■〉が〈濁点〉であると考えるのがしっくりくる。

 間違ってたら間違ってたで、また考え直せばいい。


 すると、暗号はこうなる。


つえ ▽ とけいとう ○ ちようしん。

♡⑩② つえ ⑥ ふういん した。

つえ が ⑪しけれ▽゛ とけいとう ② ○⑪゛れ。

♡し⑫ とけい が ⑬⑯゛⑮ じ⑩⑭ ⑥ となえよ。

⑰⑱れ▽゛ つえ ○ ふういん ▽ とかれ。

つえ ▽ つえ ○ ふういん ⑥ といた ⑳○ ○

⑳○ と な⑲。


 よし、当てずっぽうではあるけど取り敢えず、もう少しで暗号は解けそうだ。

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