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密かな趣味は?
ところで世の中には、様々な趣味嗜好が存在する。密かな趣味は? 私の薔薇趣味、シャリム・マリスの百合趣味。どちらも大っぴらにはし難いものだ。
だが世の中で交わされる、至極どうでも良い会話の中の、酷く馬鹿馬鹿しい質問項目の一覧表の中には、時たま趣味欄が存在する。
しかし好都合な事に、私の場合は小さい頃、エレクトーンを習っていて、こっちに引っ越してから何年かはピアノを習っていた。レッスン後の講師には、いつもママが焼いたケーキを出していた。
「ちっとも上手くならないのね。まるでケーキが食べたいだけみたい」
「ちっとも練習しないのね。まるでケーキが食べたいだけみたい」
ボリスも同じ頃、つまらないからと習うのを辞めてしまったらしい。
辞めた直後は罪悪感に苛まれ、ピアノを目にするのも嫌だった。調律も狂い切ったであろう在る日、パパがピアノの蓋を開いて、鍵盤を中指で叩いた。
「僕はノクターンの第二番が好きだから、それだけ弾けるようになりたいな。バーバラは何か、そういう曲ある?」




