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どこに住んでるの?

 ボリスは近所の中学生。私と同じくここら一帯では貴重な子供の一人である。私は別に可愛がってはいないが、一応は年下の兄弟的な存在だ。

 彼は昔から、私の部屋にあるアニメや漫画目当てによく我が家にやって来て、金も払わず飲み食いしては帰って行く。うちは無料の漫画喫茶か? 原因の一端を担っているのは、どう見てもパパだ。


「まだクッキー食べる、ボリス? ――読んでるそれ面白い? なんか皆似たような顔だけど」


「食べる食べる。何で分かんないのサワ。全然違うじゃん! こっちがユニ、こっちがブルーベルだよ。でもクロームなら分かるでしょう?」


「この子、男じゃなかったっけ?」


 ボリス、私がとにかく読めれば良い派で、単行本の綺麗さとかにも拘らないタイプだったことをありがたく思えよ。


「普通の本まで色々あって、退屈しなさそうだ。バーバラ先輩は、自ら絵や漫画描いたりとか、字書いたりする?」


「私は買い専だから。絵は全然上手くならなかったし、話は一回作ろうかしたけど、何て言うか、キャラを自分なりに再構築した上での再現ってのが、難しくて出来ないんだもん。ネットの海を探せば凄い人達は沢山居るし、その人達の作品を見てれば、十分満足かな。うっかりマイナージャンルに嵌まると、圧倒的に供給が少なくて困るけど」


「へー。でも最近思ったけど、同人誌って、ぶっちゃけもう要らなくないか? あれって作るのも頒布するのも金かかるし、無在庫なんて夢のまた夢。もう知る人ぞ知る場所で全公開して、評価貰った方が絶対に楽では?」


「それは短絡的な物の見方。常にアニメ化された旬ジャンルに嵌って、次々渡り歩いて行くタイプなら良いでしょうけど。うっかりちょっと昔のジャンルに嵌ったらどうするの? もし現役の創作家が居なくなってても、中古屋のサイトを漁ったら時代を超えて作品と出会えるのに」


「人の心は移ろいゆく、か。活動を離れて全作品を消去されてしまったら、もう後世に産まれた自分達は、かつてそんな素晴らしい作品が存在していたことも、知る由もない」


 遠くを見て切なげな表情を浮かべるシャリム・マリスに対して、私はありふれた疑問をぶつけた。


「そういやアンタ、どこに住んでるの?」


 私が訊ねると、シャリム・マリスは知らなかったのかと軽く驚きつつ、漫画を読み耽るボリスを指差した。つまりは、ボリスん家でホームステイしてるって訳ね。

  




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