いちばんの理解者は?
私がそうやって実父を消し去り、見事サワにその座を与えたことについて、シャリム・マリスは納得できかねたようだった。彼は扉を乱暴に閉め、バタバタと何処かへ走り去った。どうせサワの所に行って、ぎゃあぎゃあと不満を喚き立てるのに違いない。
「自分は存在意義を確かめたくて、貴方を訪ねて来たんです。貴方が居なければ、自分は産まれて来なかった。だから自分がどれだけ探したと思ってるんですか、なのに貴方ってば、忘れられる権利を使ってまで何処かに身を隠していると思ったら、そこであんな娘を育ててるなんて!」
「だってわざわざ残す必要ある? あれは僕の人生の1ページに過ぎないんだ。そんなたった1ページ読んだくらいで、僕の事をちょっとくらい聞きかじって知ってるからって、君に過度な期待を抱かれても困るよ。だいたいあんな娘って何? バーバラは僕には勿体無いくらい素晴らしい子供だよ」
「貴方にとっていちばんの理解者は? まさか彼女だとでも言うつもりですか! 過去も言えない癖に! もういいです。代わりに自分が伝えて来ます。いいですね?」
「何なのさ一体? 好きにすれば良いじゃないか」
戻って来たシャリム・マリスの話を聴いて、私は正直興奮した。だってあの人は私が知り得る限りの人間達の中で、最も悲しく最も愛すべき質の良さで、恐らく並大抵の人間には理解不能な、全く持って複雑怪奇極まりない性格をしていたから。それが嘘偽り無く生来のものである事が、今ここに証明されたのだ。
「まさか、今の内容で興奮してる? 最っ低だな、この変態女」
「それはアンタもじゃないの? 本当は彼に同じ事したくて堪らないんじゃない?」
「ぶっ飛ばされたいのか、自分は非性愛者だ! 彼への思慕の情は否定しない。だがそれだけだ!」




