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悩み事はある?
とっくに16歳を迎えたシャリム・マリスだったが、近頃更に表情を曇らせ、どこか上の空で生きていた。
「Look, シャリム太子」
ピアノの音色に惹かれ、何となく1人で民族料理店ザキントスを目指しフラフラ歩いて来ていたというシャリム・マリスは、私のパパの声に反応して上を見上げた。途端にバケツ1杯の水を頭から浴びせられるシャリム・マリス。
「No way! 何するんですかっ、シャハル。突然にも程がある」
「やだな、2階から目薬を差す為の画期的方法じゃありませんか! あれって何歳位だろう? 小さい頃の君を初めて見た時、いつかこれを教えてあげようと思ってたんだ。それで太子、折角のインディアンサマーなのに、何か悩み事はある?」
「いいえ、全く!」




