選ばれた理由.........的な
もう一度、ねぇ.........。
「君は、滅びゆく数多の世界の中でただ一人、世界を救えた人間なんだ。
もう一度世界を救う事も出来るんじゃないかい?」
幼女神(黒)がいとも簡単そうに言った。
俺が世界を救うのに、どれだけの犠牲を払ったのか知らないのか?
というか、世界を救えたのは俺だけだったのか。
実際、幾つくらい世界が滅んだんだ?
「私の世界と、君のいた世界以外全部、だよ」
なんか、答えになってない気がする......。
いやでもやっぱり聞くの怖いからやめとくか。
「その事については、いつか話すよ」
まじか......。
「それで、どうかな?
私の世界を救ってくれる気はないかい?」
いや、そんなに軽く言われても.........。
「案外、君に対してのメリットは多い気がするんだけれど。
もし私の世界を救ってくれるのなら_______」
幼女神(黒)はどこか、幼女神を彷彿とするようなドヤ顔でこう言った。
「何でも願いを1つ、叶えてあげるよ?」
かなり痛いところをついてくる。
俺が叶えたい願いもお見通しって訳か。
しかし、今のドヤ顔といいなんというか色々残念なのか?女神ってのは。
「だから私、心が読めるんだけど......」
おぉーそうだったそうだった。
「全く、これじゃあどっちが残念なのか分らないな」
.........。
今のが皮肉って分からない程か。
「どうゆうこと.........?」
いや、何でもない。
本当に分からないのか、首をかしげて結構ガチで悩んでいる幼女神(黒)。
そういうところだよ。
「それで、本当にどうかな?」
まぁ、最初から答えは決まっていたしな.........やるよ。
前の世界よりも辛いってことは無さそうだしな。
「本当に!?」
黒く澄んでいて綺麗な瞳を輝かせ、うれしそうな表情でこちらを見てくる幼女神(黒)。
そんな年相応(ただし見た目だけ)なリアクションを見ると、幼女神を思い出して心が痛くなってくる。
だが、そんなことはこれで終わりだ。
今から俺はもう一度世界を救って、そして約束を果たすのだから。
そんな新たな決意をして、勇んで幼女神(黒)に聞く。
それで、俺はその枢機卿と魔王を倒せばいいのか?
「まあ、それはそうなんだけどね......」
そうなんだけど.........?
「枢機卿を除き、魔王と呼ばれている存在が最低でも3体はいる」
えっ?むりじゃね?
てか、最低でも??
「私がここから下界を見れなくなってから500年以上は経っていてね.........。
私が見ていた50年間でも魔王1体から3体に増えていたんだ。
流石に500年も経てば、確実に増えているだろうね」
.........。
決意をした途端、前途多難になってしまう俺って、かなり運が悪いのか......?
「いや、それでも君なら多分すべて倒せるはずだ」
多分って言ってる時点で無理な気しかしないんだけどー。
「いや、そ、そんなことはない。
絶対いける、絶対。」
慌てて言ってももう遅い気がするんだけどー。
「ま、まあ、君ならいけると思った理由はちゃんとあるんだ」
ふーーん、一応聞いておこうじゃないか。
そう思いながらも俺は、やられて死んでしまう前にアンデッドになっておこうか、死んだらゾンビになる術式をかけておこうか迷っていた。
完全に諦めモードである。
「わ、私の世界には、君が居た前の世界と違い、『ステータス』、そして_______
『レベル』というものがあるんだ」
おっと、興味をそそられる単語が出てきたぞ?
俺の記憶によると、確かステータスってのは自分の強さを数値によって表しているものだったはず。
そして、レベルはそう、自分が何かしらの経験をすることによって強くなっていくもののはずだ。
前の世界では、アイテムを装備して強くなることしかできなかったのでかなりうれしい。
レベルが上がったら、余裕で魔王に勝てるかもしれない。
あれ?結構余裕じゃね?
「君が居た前の世界では、魔王が強くなるのを防ぐためにレベル制というものを排除していたようだね。
だけどこの世界に私はあえてレベル制というものを取り入れたんだ」
じゃあ、魔王って結構強くなってる感じ......?
「そうだね......私が最後に見た魔王でもLv.1000は越えてたかな」
俺がもっているレベルに関しての知識が少ししか無いとしても、流石に1000はおかしいと思うんだが......。
Lv.1000までいくのにどれくらいかかる?
「不老不死である妖精族や精霊族、魔族達でも300くらいまでが限界だったはずだよ」
えっ......?
まさか、レベルって上限あり?
「上限があるってよりは、必要な経験値が多すぎてレベルが上がりにくくなっちゃうって感じかな?」
じゃあ、どうやってLv.1000になれば.......?
「それはあれだよ、魔王を倒せばいいんだって。
1体でも魔王を倒せれば、たくさんの経験値が入るからすぐにLv.1000になれるはずだからね」
不老不死の種族ってことは、どうせLv.300に到達するまでに数百年かけているに違いない。
そして、俺は人だ。
人の体が戦いで十分に動けるのは30歳くらいが限界だから、どんなに頑張ってもLv.100が限界だろう。
レベルの差が10倍。
ステータスの差はもっと開いてしまうに違いない。
これらの結果から導き出される答えは何か?
そう、魔王を倒すことは絶対に不可能ってことだHAHAHA。
というか、なんでわざわざ不利になるレベル制を取り入れたんだ?
「レベルというものは私がこの世界の全てのものに与えるものなんだ。
つまり、魔王がレベルを持っているということは、私から力を得ているということになる」
神よりは弱いってことか。
神に限りなく近い状態だから、全く安心できないけどな。
「それでも、君の場合は違うんじゃないのかい?」
俺ならできると......?
「ああ、そうさ。
君なら、魔力さえあればできるはずだよ。
確か_________
『神話再臨』だっけ?」
イミテーション・ゴッズって文法合ってますか?
一応、直訳で神器とか神話の真似的な感じです。
イミテートとかの方がいいですかね......?