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《第3部完》幽霊の花嫁修行  作者: 三條 凛花
第3部 - 弥生
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2.帰ってきた紫鶴子さん(2)

「洗濯をするときに困っていることはなんですか?」


 紫鶴子さんが尋ねる。


「え? うーん……」

「作業ごとに分けて考えてみましょうか。仕分けをするとき、干すとき、取り込むとき、たたむとき……」

「あ、干すのを忘れること!」


 花夜子の答えに、紫鶴子さんは眉根を寄せた。


「それは……家事以前の問題ですね」


 呆れたように、ふう、と息をつく紫鶴子さん。花夜子は恥ずかしくなってうつむいた。


「こういうときこそ、あなたのノートの出番では?」

「ノート?」

「そうです。いつもメモを取っているでしょう、わたくしの話を。聞いたことをまとめるだけじゃなく、自分のひらめきを書き付けてみてはどうでしょう」

「自分の、ひらめき……」




 空の色が少しずつ変わってきた。朱色と紫陽花色を混ぜたような色合い。紫鶴子さんはすでに“退勤”した。夕飯を作り終えたあと、花夜子はダイニングテーブルの上にノートやペンを広げた。

 白紙のページを開く。とりあえず『干すのを忘れる問題』と書いてみた。どうして忘れるのかというと、以前は、洗濯機をセットしたまま自堕落モードに入ってしまっていたのが原因だった気がする。最近は、ほかの家事をしている間に忘れる。


 それならば、洗濯をするタイミングを固定してみたらどうだろう。ふと思いついた。花夜子は働いていないから、洗濯は毎日思い思いの時間にやっている。少し手が空いたときや、多少やる気があるとき。


 でも、そうではなくて、朝の家事に組み込んでみたらどうだろう。

 スウが出勤したタイミングで、家じゅうの洗濯ものを集めてきて仕分けし、洗濯機をセットする。そうすれば、片づけや掃除といったほかの作業が終わるころに、ちょうど洗濯も終わるのではないだろうか。


 そして、洗濯ものを干すところまで、一連の流れをすべて、必ず朝に行う家事としてセットにしてしまう。当たり前に思えることだけれど、これはかなり効果がありそうだ。


 不思議なもので、紙に書くだけでどんどんアイディアが出てくる。ほんの15分ほどで、ノートにはたくさんの困りごとと、その解決策が書き付けられていったのだった。


 そのとき、電話が鳴った。


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