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序章 お告げ
琥珀色の髪、
雪色の肌、
桜のくちびる。
齢26。
雪室町の生まれ。
花の名を持つ。
――連れてまいれ、瑞雪の子らよ。
そのお告げがあったとき、最初は水を打ったように静まり返った。しかし、恐るおそるあたりを見渡し、皆にも聞こえたのだと気がついた人々は、狂喜した。――誰の耳にもはっきりと聞こえた、神の声! いや、耳に聞こえたのではないかもしれない。頭のなかに直接語りかけられたような感覚であったやもしれない。
ざわめく人々の中で、羽鳥影雪ははっとした。そして、驚いたことを悟られぬよう、口元を押さえた。彼には、その条件に当てはまる女に心当たりがあった。
雪室町。誰もがその街の名を口にしたり、調べたりする中で、彼は一人の女にメールを送っていた。その口元は三日月のような弧を描いていた。
新連載『帰りたかった未来』はじめました。いわゆる逆行ものです。25話ほどUP済みで、家事ネタは8話から登場。




