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第十九話「電脳妖精秋葉ちゃん」④

「おお、クオンの地上世界ってこんななんだ……。すごーい! 私、エスクロンの都市部とかしか行ったこと無いけど、まさに大自然って感じで、いい感じだね……。澄み切った青い空、緑の草原……そして、頬を撫でる風……。おお、こりゃ気持ちいいね!」


 ……昨日のトコロザマキャンプ場に、アキちゃんも立ってるような感じで……。

 地平線すらも見えるような広大な自然環境……アキちゃんもちょっと興奮してるらしい。


「このキャンプ場は、観光地として開発してるとかで、特にいい感じのところらしいのですよ」


 続いて、キャンプ仲間になってくれたダンさん達と、宇宙活動部の皆との記念写真の再現。

 

 何故か、後ろの方の茂みには、大勢の人達が一斉にこっち見ながら、こそこそと隠れるように写り込んでる……おおぅ、3D詳細拡大データで見ると、こんなだったんだ。

 

 写真撮ってるのに、気付いて避けてくれてたのか……それとも、一緒に写った気分になってたとか。

 

 一緒に写真撮ろうって言ってくれれば、それくらいやったんだけどなぁ……。

 写真のモデルとか、ポーズのリクエストくらいなら、別に……いいよね?


「男の人、それも一般人の人かぁ……さすがに全然、縁ないからなぁ……。あ、でも、アキもVRでだけど、色々な人とお話したりするんだよ。こないだなんか、同い年くらいの高校生にナンパされちゃった!」


「ナンパっ! アキちゃん、モテモテなのですよー! 詳しく話すのです!」


「あはは、VR世界での話だし、ちょっとお茶奢ってもらったとか、頭撫でてもらったとか、そんなんだけどねー」


「ユリは、そんな経験すらないのですよ……。VRゲームでお尻でドンとか、そんなくらいかなー。あ、でもでもっ、お兄ちゃんって呼んでくれって言われて、呼んだらすごく喜ばれたりとかしたよー」


「な、なにそれ……むしろ、キモくない?」


 アキちゃんむしろ、嫌そうな顔……キ、キモいかなぁ……。

 

「そ、そんなことないよーっ! 皆、いい人たちだったしー!」


「けど、なんか……むさ苦しかったり、オタクっぽかったり、如何にもモテなさそうな人達ばっかりじゃない? これなら、同期のダゼルやケリーの方がイケメンじゃないかな……。あ、あの二人も元気だし、よろしくって言ってたよ」


「あ、あの二人は……同室だったし、もう、今更……そう言う目では見れないのですよ。そう言えば、あの二人って一応男の子だっけ……」


 ダゼルくんとケリーくん……一応、男の子とか言ってるけど、客観的に見てもイケメン。

 昔はどっちもチビでよわっちかったけど、最近は身体も大きくなったし、顔つきもワイルドな感じで逞しくなった。

 

 でも……あの子達は、なんかもう、兄弟って感じ。

 同室だったから、そりゃもう色々見られたし……ラッキースケベって言うんだっけ?

 

 着替えてたら、カーテン開いてて、ふらっと部屋に戻ってきたところで、ばっちり目が合ったとか……。

 夜、寝ぼけてベッド間違えて、なんか一緒の布団で寝てた……とか。

 

 この辺、主に、私が悪いんだけど……そんな女の子のうっかりにも関わらず、あくまで紳士を貫いたダゼル君、ケリーくん……二人共ごめんだよ。


 でも、転んで押し倒されちゃったとかもあったし、怒らせちゃって壁ドンされちゃったこともあったし……。

 

 シャワーなんかは男女一緒だったから、お互い色々見せあったようなもの……でも、思い出しても、不思議とドキドキはしないんだよね……年下だったし、弟とかいたら、多分こんなだと思う。

 裸とか見られても、別にーって感じだし……。

 

「そんなもんだよねー。いつも一緒だったし、こんな風に気軽にデータ記憶体験の共有とかもしてたから、もう皆、兄弟姉妹って感じだよね……。と言うか、ユリちゃん今は、外国……クオンの普通の高校に通ってるなんて聞いたけど、少しくらい浮いた話とかないの? あるでしょ……異国の地でのイケメンとの出会いとか、外人だから珍しくてナンパされちゃったーとか!」


 アキちゃん……何か知らないけど、やたらと恋バナに話持っていこうとしてるような……。

 確かに、学校でも女子同士が集まると、何かと言うとそう言う話になりがち……アイドルのこととか、街で見かけたかっこいいイケメンさんとか……思春期女子の興味ナンバーワンって、やっぱり異性の……男の子の事なんだよね。


 ユリは……そう言うのに疎いから、なんだかご飯の話が多いって、皆から、良く言われるのですよ……。


 でも、食べ物の話だって、女子高生の定番の話題。

 

 ……なんだかんだで、放課後は寄り道買い食いってなるのは、お話してるうちにお腹空いて来たり、人の話を聞いてるうちに食べたくなってきちゃうのです。


「残念、普通の女子校なのですよ……まわり、女の子しかいないのです……。彼氏いるような子なんて、友達にも一人も居ないのですよ……」


 クオンの男の子って、割と奥ゆかしいらしくて、ナンパって文化がそもそもないって聞いてる。

 

 むしろ、銀河連合の例に漏れず、女の子のほうが人数多いらしくて、共学校なんかだと女子のほうが積極的で、レベル高い子の競争率とか半端じゃないんだとか。

 

 サクラダ高校も彼氏所持率一割以下とかそんな調子だから、男の子の話っても大半が本とかテレビ、ネットから仕入れたまた聞き情報……。


 要するに耳年増って奴で、エッチな話なんかもたまに出るけど……誰も詳しくないので、どこか煮えきれない感じで、別の話題にサクッと移しちゃう感じ。


 と言うか、主にマリネさんとか……そう言う話すると、すぐにスカートめくってきたり、胸触られたりとセクハラが始まるんだよね……。


 ちなみに、割と無差別なんで、クラスのコは大体やられてると言う……。

 でも、こっちが仕返しとか行って、スカートめくりしたりすると、むしろ嬉しそうなんだよね。


 どうすれば、いいんだろ、アレ……困った。


「そ、それは……なんとも、良くも悪くも現実的な話だね。でも、普通の女の子のお友達かぁ……普通の人とのお話とかって大変じゃない? こんな風に記憶データを共有とか、そう言う事って普通の人は出来ないんだよね……。どうも私も普通の人相手のおしゃべりって、まどろっこしくて苦手なんだよね……」


「ユリ達のコミュニケーションは、むしろAI達に近いみたいなのですよ。普通の子達とは、何かを伝えるには、あくまで言葉や文字で説明して、情報共有する……そんな感じなのですよ。このおせんべの味だって、食べたこと無い人に説明って、なかなか大変じゃないですか……」


 多分、ユリのコミュニケーション障害もそう言うことだったんだなって、最近解るようになってきた。

 

 それを考えると、記憶共有もしないで、ユリの言いたいことを瞬時に悟ってくれるお姉さま達やお母さんってスゴイなって思う。


「そうだねぇ……。このおせんべの味や食感……私達なら、こうやってVRで再現すれば、一発で伝えられるけど。普通の人相手だと、相手をVR環境に連れてきても、どうしても一方通行になっちゃうんだよね。でも、そう考えると、やっぱり強化人間とかって、差別されたりするもんじゃないの? 人種差別でのイジメとかニュースとかでよく聞くよ? 実は、ユリちゃんが普通の高校通ってるって話聞いて、同期の皆も心配してたんだよ?」


「……そこら辺は、キリコ姉が最初に釘刺してくれたし、皆、仲良くしてくれてるのですよ……。ユリも最初はダメダメだったけど、色々あって皆、仲良くしてくれて……。あ、この娘はマリネさん! ちょっと抱きつきグセあるんだけど、可愛い子なのですよ!」


 そう言って、後ろからマリネさんにガバっと抱きつかれてる写真を見せる。

 これは、リオさんが撮ってくれたのを転送してもらったヤツ。

 

 まさに仲良し女子高生って感じ?


「ちょっ! ちょっと……これ、思いっきり胸揉まれてない? え? そ、そう言う関係なの? そ、その……いわゆる百合系? さすがに、エッチなことしてるシーンとかは再現しなくていいからね! そりゃ、興味はあるけど……見たいような……見たくないような……」


 確かに、そんな感じに見えるけど……どうなんだろ。

 ああ、確かにがっつり、揉まれてるなぁ……これ。

 

 でも、マリネさんって隙さえあれば、こう言う事やってくるから、もう慣れちゃったんだよね……。

 

 下着のおしゃれだって、マリネさんにスカートめくりとかされるから、ダサいモブパンツじゃ、逆に恥ずかしいからって、オシャレにしたようなもんだし……。

 

 そう言えば、お風呂でマリネさんに背中流してもらった時もスポンジ使わず手に泡つけてーってやられて、変な声出ちゃったりした……なぁ。


 素肌と素肌で石鹸のアワアワ付けてーとか、あの感触はとっても危ないっ!

 

 でも、女の子同士でイチャイチャしても、別にいいんじゃないかなぁ……。

 アキちゃんとだって……色々あったし。

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