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第十二話「放課後ティータイム」③

「別に、そんなのええやんって思うんやけどなぁ。ところで、マリネちゃんは、結構遊んでそうな感じやけど、彼氏とかおるんかぁ?」


「……えー? 何言ってんですか、先輩。私……男とか大嫌いなんですよ。女の子……それもユリちゃんみたいに強くて可愛い子とか、大好きなんです! ねーっ! ユリちゃーん!」


 マリネさんに、抱きつかれる。

 ついでに、ほっぺにチュー。

 

 これ、たまにやられるのですよ……。


「うん、少なくともユリコちゃんはあれだね。一年の女子の間では男前美少女として、人気急上昇ってなってるよ? 学年BBSとかみた? なんか、話題沸騰中って感じだよ。やっぱ、エザキ先輩相手に一歩も引かず、にらみ合いだけで勝負を制し、会長一派を返り討ちって武勇伝が付いちゃたからね! そりゃモテるでしょ。多分、明日の朝の下駄箱、ラブレターでぎっしり! やったね、モテ期到来じゃん」


 リオちゃんに悲しい現実を告げられる。

 ……女子校でラブレターって……モテ期? 


「ユリ……男前なのです?」


 なんだか、凄く悲しい現実なのです。


「そりゃまぁ、二年でも有名な乱暴者、エザキ先輩を手も出さずに返り討ちとか……。それが男前以外のなんなのって感じよね。これが男の子だったら、もう最高って感じだよねー! いやなんて言うか、凛としてエザキ先輩の前に、立ちはだかるユリちゃん見てたら、私もちょっとキュンってなっちゃったしね」


 思い起こしてみると、周りの子達……皆して、大絶賛って感じだったし、なんかモジモジしてる子とかもいたような……。

 放課後になってからも、何故か廊下に他のクラスから来たユリの出待ちの子がいっぱいだったし……。


 ユリは……普通に、男の子と恋愛とかしたいのですよ?

 

 マリネさんとかリオさんとか……普通に可愛いと思うけど。


 女の子同士でラブラブとか……触りっことか普通だって皆、言ってるけど……。

 なんか違う気もするのですよ……。

 

「なんや、あたしも見たかったなぁ……。名勝負ってとこやん!」


「見てたら、間違いなく惚れますね……アレは。なんだっけ? 無手勝流とかいうんだっけ?」


「それそれ。でも、殴り合いとかそんなんじゃなくて、気合だけで勝つとか……。それって、ある意味最強だよね!」


 マリネさんやリオさん、意外と詳しいのです。

 テレビドラマとかでやってたのかも……なのです。


「なのですよ……。でも、これは元々お父さん流なのですよ。うちのお父さんって、見た目はショボクれた地味なオジサンって感じなのですけど。武器も持たず、相手に触れもせずに屈服させるとか、いつもそんな調子なのです! ユリのお父さんは宇宙最強なのです!」


 正確には、戦う前にあの手この手で準備万端にしたうえで、相手を無力化させる……。

 

 お父さんキャンプの最中でも、クリーチャーとかいつもそんな感じで返り討ちにしてたし、たまに武者修行の人とか手合わせ願うとか、挑まれてたけど、お父さんはいつも相手と立ち会っても、立ってるだけで負けを認めさせてたのです。

 

 お父さん、とっても凄いのです!

 

「……なんとも深いんやなぁ……と言うか、ユリちゃんのお父さんって凄い人なんやね」


「戦わずして、勝つのが理想……なんとも奥が深い言葉ですわね。相手に勝つのではなく、勝てないって自分から認めさせることで勝つ、そうすれば、禍根も残らない……そう言うことなんですのよね? エザキさんもそんな感じでしたわ……。負けたのに、心の底から清々しく思ったとか言ってらしたし、今日も授業が終わるなり、まっすぐ部活の練習に行ったみたいでしたわ」


「そっか、アイツ……元々は真面目なヤツやったからな。空手やってても負けなくなってスッカリつまんなくなって練習とかばからしくなったとか言っとってな……。けど、真正面から挑んで軽く負けたんやからな……それも自分自身で認める形で……きっと、すっかり心を入れ替えたんやろな。ユリちゃん、ええことしたな」


「そうなのですか? けど、ああ言う勝ち方って悪くないなってそう思ったのですよ。お父さんの言ってたことって正しかったんだなぁって思います」


「せやな……まぁ、そうなると、ユリちゃんのおかげで会長一派も一気に大人しくなるやろな。最悪、会長闇討ちにするとか、生徒会室に殴り込みとか考えとったけど、ユリちゃんに任せてよかったわ……。平和的解決とか最高やなぁ……」


「ユリも野蛮なのは嫌なのです……。でも、ああ言う人と殺伐とした殴り合いとか、ホントはあんまり向いてないって思ったのですよ。ああ言うのは、VRとかで十分なのですよ。ホントは、皆とお喋りしたり、美味しいもの食べたりとかがいいのですよ」


 言いながら、星型のクッキーを一口。

 失敗作だけど、味は悪くない……生地が分厚すぎたのと、ヒーターの温度設定が間違ってたのが敗因なのです。

 

 どうも、こう言うのって、下から熱を加えるだけじゃなく、窯みたいに周りからも熱を加えないと駄目みたいなのです。

 クオンの地上なら、岩とかいっぱい転がってたし、石組み焼窯とか作って、ピザ焼いたり……良いかも?


 でも、石を積み重ねて石窯とかどうやればいいんだろ?

 けど、そう言うのを調べるところから始めるってのも面白そうだよね。


「……そもそも、女の子はそんな野蛮な真似せんでもええんやで。あたしらもまったり楽しくやりたいだけで、生徒会の権力争いとかはっきり言って、どうでもええしなぁ……。とにかく、ユリちゃんにはえらい迷惑かけてもうたな」


「そうですわね……。こうなったら、わたくしからもタムラには、きっちり一言言っておきますわ。そもそも、別に会長にだって、こっちは迷惑とかかけてる訳じゃないですし……そりゃ、活動予算とかそれなりに貰っちゃってますけどね」


「せやな、他の部からうちに回す予算があるなら、他に回せとか言われとったしなぁ……。けど、昔は皆、自腹でやっとったから、アルバイト三昧で全然活動できない……なんて、本末転倒なことになっとったらしいしなぁ……。一応、政府推奨部活って事で、政府からも補助金出とるらしいからな。それをお取り潰しってのも、割と短絡的な話じゃあるんよ」


「ですわね。けど、予算のことは知らないうちに、エルトランが投資とかで、増やしてくれてたので、当面は学校側の援助とか無くても問題なさそうなんですの。そんな事より、このハンモックの寝心地って、最高ですわね……。なんかもう、このまま、寝ちゃいそう……」


 ……エルトラン、そんなことまで。

 

 しっかり会話モニターしてて、自慢でもしたいみたいで、実績データを送りつけてくれてる……この二年で、宇宙活動部の余剰予算を資産運用することで、軽く10年分近い予算を確保してくれてたようだった。

 

 おまけに、宇宙活動普及と称したファンドを設立して、少なからぬ寄付も集めてるみたいだし……。

 それに多分、エスクロンの上にでも要求すれば、活動予算なんていくらでも都合してくれると思う。

 

 うーん、これっていっそ部活動に拘らないで、サッカーチームとかみたいな感じで、学外活動として、勝手に活動してても問題ないんじゃって気もするのですよ。


「エリー……。まだ夜は始まったばかりだぜ……相変わらず、良い太ももしてるじゃねぇか……ウリウリッ!」


 そんな事を考えていると、アヤメさんの謎の小芝居が始まった。

 唐突に、アヤメさん……エリーさんの太ももを撫で回し始めた。


「あら、いやだアヤメさん……。子供たちが見てますわよ……?」


 エリーさん、まさかのノリノリ。


「ふはは……いいではないか、いいではないかっ! うりゃ、揉んだるわーっ!」


 イチャラブ夫婦? と言うか、エリーさんも思いっきり、胸揉まれてるんだけど、いいの?

 ……今の二人の感じとしては、アヤメ先輩がエリー先輩を背中から抱きかかえるような感じになってる。

 

 なんと言うか……とっても、卑猥でラブラブな感じなのです。

 さすがに、この光景は……見てちゃいけないような気がして、他の皆もめいめいに視線をあらぬ方向へ向けている。

 

「ねぇ……ユリちゃん……先輩方って、そう言う関係なの?」


 小声で、マリネさんがささやきかけてくる。

 ちょっと刺激的な感じな光景を見てるせいか、ちょっぴり頬が赤い。

 

「ど、どう言う関係なのです?」


 ……仲良しさん? というのとはちょっと違うような……。

 

「いやいや、ユリちゃん……ボケはいいから。その……お二人はそう言う関係なんですか? つまり、愛とか恋とかそう言う感じの……! わ、私は……そう言うのって、否定したりしませんけどね!」


 ……そう言う関係って……もしかして、女の子同士のラブラブな関係?

 

 ようやっと、それに行き着く。

 

 思わず、色々想像して、顔が熱くなる……。

 あーでも、二人共とっても仲良しで……アヤメさんとか、エリーさんの家に泊まりに行ったりとかもよくやってるって話だし……。

 

 やっぱり、そう言う関係……なのです?

 

 けど、女の子同士でらぶらぶって、ぐ、具体的には何をするのです?

 ユリ、さすがによく解んないのですっ!

 

 でも、ここはそう言うのを知るいい機会かも?

 

「うぇっ? ちょ、待ちやっ! そんな風に見えるんか?」


「そ、そうですわ! そりゃ、しょっちゅう一緒にいますし、うちで一緒にお風呂入ったり、一緒のベッドで寝たりとかしてますけど……。そう言う関係じゃありませんのよっ! これはあくまでじゃれ合い! あ、あなた方だって、するでしょうこの程度のスキンシップ!」


 どうなんだろ?

 女の子同士のお友達なら、それくらいなら……自然な気もする。

 

 今だって、狭いハンモックで二人抱き合いながら……なんて感じだけど……。

 マリネさんとか、何かと言うと抱き着いてくるし……。


「そ、そうなんですか……。まぁ、確かに……私なんかも、よく友達とふざけ合ったりとかしますけど……」

 

 何故か、マリネさんがユリの方をチラッと見る。

 

 確かに、マリネさんは結構どーんと来るタイプ。

 

 いつも、朝とか決まって、スカートめくられて、パンツチェックとかされるし。

 今日は、こんなのーとか言って、ブラとか見せられることもある。

 

 ちなみに、マリネさんの今日の下着はミントグリーンのお揃い。

 フリフリレースで、ちょっと透けてるエッチな感じ。

 

「ひ、人それぞれだと思うのですよー? お、女の子同士だってイチャラブとかしたって良いんじゃないですか? エ、エスクロンでは、やろうと思えば同性同士で子供だって作れるんですよ?」


 ……何を言ってるのかよく解らなくなってきた。

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