表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/275

第一話「お茶会レディース」⑤

 コロニーってところは、日差しもいつでも、春の日差しのように程よく暖かくて、生活する分には、とっても快適なんだけど……。


 逆を言えば、温室みたいなもので、先輩達は、火の怖さはもちろん、夏の暑さ、冬の寒さだって知らない。

 

 まぁ、寒いのは思い切り満喫中みたいだけど……。

 さっきから焚き火の近くから離れないのも、離れると寒い、そばにいると温かいと学習したから。

 

 とは言え、昼間で日が差してて、この程度の気温なんだから、もう1、2時間もして、日が暮れてくれば一気に寒くなる。


 夜間はたぶん、氷点下余裕なのです……。

 一言で言って過酷。

 

 でも、開発中の地上世界とかってそんなものなのですよ……。


 水も足りない、緑も足りない……酸素ですらも十分とは言い難い。 

 地面はどこも乾燥してて、岩と砂だけがどこまでも続く……。


 要するに、人が住むにはちょっと厳しい環境だから、入植だってまだ始まってないのですよ。

 

 コロニーにも雨や風はあるって言うけど、湿度調整や温度管理の一貫で人工的に起こしてるだけだから、ちゃんと事前警告もあるし、天気予報ならぬ天気予定なんて、やってる始末。


 雨だって、湿度調整のお湿り程度……傘も要らない。


 たまに、コロニー内洗浄とか言って、盛大に雨が降る事があるみたいけど、何日も前から予告してるし、基本的にお店や学校も休みになるらしいから、好き好んで出かける人は少ないし、土砂降り状態もものの一時間程度でピタッと止むから、それで問題になるようなことはまず無いのです。


 風も換気用のそよ風が吹く程度で、スカートがめくれるような突風は吹かない。

 

 ……おかげで、地上に降りてから、この二人の下着の色まで知る羽目になったってのは、あまり言いたくないけど、事実だったりする。


 この惑星……割といきなり突風がドカンと吹くから、スカート姿でウロウロしてたら、定期的におパンツ大公開状態にされてしまうのですよ。


 ……まぁ、二人共、とってもオシャレ。

 可愛かったのです。


 なお、ユリは……風が吹いたら、即座にスカート押さえる! そりゃ、最初は無防備にやらかしたけど……もう見切った!


 ユリ、防御力には自信ありだけど、二人は女子としては常識レベルとも言える、風が吹いたらスカートを気にする素振りすら見せない。

 

 ……実際の地上世界の雨風ってのは、割と手加減無用でムチャクチャなのも多い。

 

 ユリが知ってる限りでは、生まれ故郷、惑星エスクロンのメガストームとか、雷嵐サンダーストームとかがムチャクチャのいい例。


 前者は、風速100mとか行くスーパー台風……これが都市部に上陸すると、全市民にシェルター退避命令が出る。

 

 後者は、縦横無尽に雷が飛び交う雷雲のものスゴいバージョン。

 これもやっぱり、避難命令が出る。

 

 どっちも生身でさらされたら、確実に死ぬので、警報聞いたエスクロン市民の動きはそりゃもう素早い。

 

 歩くのも大変な休日の街中の雑踏でも、ものの五分位で全員、地下シェルターへと消えてしまう。

 観光客とかは、その手際の良さにビックリするらしいけど、その程度には皆、大自然の脅威ってもんを理解している。

 

 軌道エレベーターなんかも、メガストームの直撃食らったら、ポッキリ行きかねないので、他の地上世界ではお目にかかれない緊急シャフト収容システムなんてのがある。

 

 これは、エレベーターシャフトを半分辺りで分離して、地上側は地下深くへ収納。

 宇宙側は軌道ステーション諸共、高度を上げて、大気圏外へ退避させるって大仰な代物。

 

 最初の頃は、軌道ステーション諸共、軌道エレベーターが倒壊して、大惨事が起こったりしたらしく、そんなシステムを考案して、実用化したと言う話だった。

 

 科学の勝利? ユリ達エスクロン人ってのは、概ねそんな感じなのです。


 ちなみに、惑星エスクロンの自然環境は、銀河レベルで見ても、相当ハードらしい。

 ユリ達にとって、自然に生きるとは……うーん? 戦い?

 

 お父さんに連れられて、都市郊外で野外生活とかやらされたから、その辺は嫌でも思い知らされている。

 

 もちろん、先輩達も知識では、そう言う自然現象があるってちゃんと解ってるし、VRでちょっとハードな自然環境体験……とかもやってたみたいなんだけど……。

 

 実体験を伴わない知識とかって、あんまり役に立たないんだなーと、この子達を見てるとつくづくそう思う。

 なお、二人はどっちも二年生で先輩なんで、この子達って呼ぶのはちょっと語弊がある。


 ユリは一年、後輩ちゃんなのです……それも9月なんて微妙な時期に転校する羽目になったって、おまけが付く。

 

 とにかく、先輩達は、こんな焚き火でお湯を沸かす様な機会もなかったのだと言う。


 文字通りの温室生まれの温室育ち。

 他の星系はもちろん、コロニーの外……宇宙空間に出たこともない。

 

 それはそれで、珍しくもないし、別に悪いもんじゃないだろうと思うのです。

 

 惑星エクスロンはお世辞にも住みやすいところじゃないのです。 


 あっちはあっちで、赤道付近以外は寒くてとても住めない上に、そもそも赤道付近に点在する島々と、南北両極地点に存在する巨大氷塊大陸以外に陸地すら無い。


 寒暖の差もやたら激しく、40度近い灼熱日になったと思ったら、次の日にいきなり雪降って、吹雪なんてこともある。

 

 例のメガストームもよくあることだったし、何と言っても惑星エスクロンは地球の二倍くらいの大きさの巨大海洋惑星で、超高密度元素コアを持つ1.5Gもの高重力惑星でもある。


 重力軽減処置が施されてる都市部から出る時は、ナノマシンによる骨格強化処置や筋力強化スキンなんてのを付けたりしないと、ものの10分ほどでダウンするのが関の山。

 

 1.5Gの環境ってのは、単純に体重が1.5倍になるだけに留まらず……あらゆる負荷が五割増しとなるのですよ……。

 

 ベーシックな人間の身体では、この環境は普通にハードなので、骨格強化や外皮強化もしとかないと、ちょっと転んだだけで骨折とかするし、転んだ時の衝撃も五割増しなので、痛いじゃ済まない。

 

 重力低減区域外では、普通に歩いてるだけとか、階段降りただけで疲労骨折とかする……。

 だから、ナノマシンによる身体強化措置や、身体自体を増設ハードウェアで強化する。

 不自然って話もあるけど、必要だから、当たり前のようにやる……それだけの話。

 

 それもあって、エスクロンは身体改造者が普通にいるし、多分この銀河でも、身体改造技術は軽くトップレベル。


 かくゆうユリも、エスクロンの最新身体改造技術の粋を集めた強化人間……こんなのも何人もいるのです。 


 医療技術に代表される、その他の科学技術力や化学加工技術も、銀河有数レベルを誇り、それを売りにいつしか、国自体が企業化……。

 今や銀河有数の星間企業として、日夜営利活動に励んでいる……それが我が母国、エスクロン社国なのです。

 

 ……厳しい環境ってのは、科学を発展させ、その住民も一致団結させるのですよ。

 

 ユリが住んでたのは、そう言うところだったので、このどこかユルユルなコロニー生活は、物凄く違和感がある。

 もちろん、悪い意味じゃなく……安心して暮らせると言う意味での違和感なんだけどね。 

 

 かつての人類の故郷……地球ほど人間が住みやすい星は無いってのは、宇宙時代になってから、良く言われるようになってるらしい。

 

 あの星はもう、人類の記念碑的な惑星とされていて、太陽系丸ごとその立ち入りは厳しく制限されているのだけど、そうでもしないと皆、地球に住みたがるからってのが立ち入り制限の理由らしい。


 ……その理由も私にはよく解る。

 銀河系で人の住んでる惑星なんて、文字通り星の数ほどあるのだけど……。


 地球みたいに、水が豊富で緑がたくさんあって、気温も快適で酸素も豊富……そこまで恵まれた惑星ってのは、極めて少数。

 エスクロンだって、銀河レベルで見れば、むしろ快適な部類に属するのです。


 大半の惑星が水が貴重だったり、緑が貴重だったり、変な原生生物がいたりと……いろいろな問題を抱えてる。

 

 スペースコロニーってのは、そんな地球の環境に限りなく近づけてるから、とっても快適。

 一生そこに住めるなら、それも良いんじゃないかなーって私なんかは思うんだけど。

 

 この星系には、開発中の惑星……惑星クオンがあり、いずれコロニーの住民達は、この星へと移り住む事になっているのですよ。

 

 そして、いつか降り立つであろう地上世界に慣れ親しむ為の活動をする部……それが。


『宇宙活動部』


 ……なりゆきで、ユリはこんな部に入ってしまったのです。 


 これは、そんなユリの苦労の日々の物語。 

 二人の先輩にとっては、夢広がりまくりのドキドキアドベンチャーが始まるよ?


 ……いや、チョット待ってね。

 

「……先輩、ユリ……そろそろ、帰り……」


 実際出たのはこんな言葉。

 お茶飲んだら、帰るって聞いてたから、そろそろ帰りたいって伝えたつもりだった。

 

「あら、ユリコさんまだ帰りたくないんですの? 奇遇ですわね……わたくしもです。まずはお茶を飲む。それから、簡単な食事でもして、もうちょっとゆっくりしていきましょう。実は、カップラーメンを持ってきてますの! 火はまだ消えてませんから、お湯を温め直して、次はこれをいただきましょうっ!」


 言いながら、エリー先輩が片手に持ってたリュックから、お湯を注げば即ラーメンなカップラーメンを取り出す。


「ええなぁ! それ……せやな! 外泊許可ももろうとるし、あたしらの宇宙活動はまだ始まったばかりやっ! なんなら、このまま、ここで一晩明かそうや! な、ユリちゃん……!」


 ……ここに来ての誤変換。

 え? ここでこのまま、一泊……それなんて、無理ゲー。


 だ……誰か、へるぷみー。

 

 空を見上げると、遠くの雲に稲光が走るのが見えた。


 これは、デンジャーッ! デンジャーなのですよぉっ! 


 ……かくして、ユリと先輩二人の宇宙活動部の日々が、波乱と共に始まったのです!


 でも、その前に……このお茶会に至るまで。


 これまでのお話を……少しばかりしたいと思うんだけど。

 ちょっとだけ、いいかな……?

本日は、一挙三話掲載いたしました。


割と類を見ないテーマのSF作品ですが、

気に入ったら、ブクマ、評価をお願いします。


あと、本編の宇宙駆けの方も宜しくおねがいしますっ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ