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宇宙(そら)きゃんっ! 私、ぼっち女子高生だったんだけど、転校先で惑星降下アウトドア始めたら、女の子にモテモテになりました!  作者: MITT


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第五十六話「二国間交渉」③

「す、すまない……。あまりに芝居がかっていて、思わず笑ってしまった……随分とキザと言うか……。もしかして、私は口説かれているのかと思ってしまったよ」


「そ、そうですよ! ああ、この人真面目にやってるんだろうなって思いましたけどね!」


「あらら、女の子達に笑われるなんて、ちょっと傷つくなぁ。けど、二人共やっと肩の力が抜けたようだし、怪我の功名って奴かな? まぁ、何にせよ……僕は運命の女神ってモノに感謝したいと思ってるよ」


「……そう言ってもらえると、少しは救われる思いだ。だが、貴国には随分と大きな借りを作ってしまったな……。この借りはどう返せばいいだろうか? 賠償金の支払いや領土割譲もやむなしと思ってはいるのだが、出来れば戦乱で荒みきった国土復興を優先したいので、負積の返済はしばし待って欲しいと言うのが、本音なのだが……」


「あはは、そこは気にしなくていいよ。そちらもまだまだ首都星系を取り戻しただけなんだし、大変なのはこれからでしょ?」


「そうだな。ネオナチスの残党も各地にしぶとく残っている……。幸いシュバルツの主要各星系との連絡は、亜空間跳躍船のおかげでなんとか繋がっているし、首都星系のニューベルンも環境改善が上手く行って、食料自給率も問題ないレベルにまで向上しているから、すぐに干上がったりはしないさ」


「第三航路跳躍船……。こう言っちゃ悪いけど、この技術を我々にもたらしてくれた時点で、貸し借りはチャラでいいって僕は思ってるくらいなんだけどね。任意の地点からショートワープでもう一つの亜空間……第三航路に飛び込んで、そこを経由して、遥か遠い場所へと転移する……超空間航法を実用化していたとはね。どおりでゲート経由で侵入された形跡がない星系にも、そちらの手のものが入り込んでた訳だよ。シュバルツの科学力は僕らの想定を遥かに上回っていたよ……。実際、フォルゼ閣下自身も僕らと同じ強化人間のようだが、こちらの最新世代と比較してもほとんど遜色ないみたいだったからね……。あの時、僕らが本気で挑んでいたとしても、負けていた可能性が高かっただろうな」


「あの時か……他はともかく、彼女に勝てたかどうかは微妙だと思う。それもあって、私も当初の目的を放棄し、戦わずして降伏する道を選んだようなものだったのだよ……。まぁ、それ以前にやる気を削がれたと言うのが大きかったがね」


 フォルゼがそう口にすると、ディーターの顔色が変わる。

 

 彼女もフォルゼと何度か手合わせしており、その卓越した戦闘力に圧倒されたクチなのだ。

 そのフォルゼが勝てない相手がいるなど、彼女にとって想像も出来なかったのだ。


「……ま、まさかフォルゼ閣下が……ですか? 何者なんです? その「彼女」とやらは……」


「うん、うちの最終兵器ってところかな。もしかしたら、宇宙最強の存在……その可能性すらあると僕は思ってるよ。それ以上はちょっと内緒かな……フォルゼ閣下もそう言うことでお願いするよ」


「ああ、心得ているよ。その方が彼女のためだろうからね……。すまないが、ディーターもそれで納得して欲しい。まぁ、上には上がいる……そう言うことさ」


「……宇宙最強とはまた……けど、解りました。興味はありますけど、忘れましょう」


「ご納得ありがとう。けど、ワープ技術を実用にまで持っていくってのは、普通に凄いよ。うちも昔、その手の技術は色々研究してたけど、実用にはとてもならないって、放棄してたくらいだからね。結局、エネルギー効率が悪すぎて、使い物にならなかったんだよね……。けど、エーテル空間と同様の縮小亜空間を経由するってのは確かに効率も良さそうだ」


 ……結局、エーテル空間が何なのかについては、この時代でもよく解っていない。

 

 半径1万キロ程度の平面空間がそのまま銀河系に重なっている……そう考えられてはいるのだが、それですら仮説でしか無いし、どうやって何者が作ったのかすらはっきりとは解っていないのだ……。

 一番可能性として濃厚なのは、遥か古代……銀河系に栄えていた超古代先史文明。


 彼らは、ある時期を境にまるで全てを放棄したかのように、忽然と消えた……その程度の事しか解っていなかった。


 そして、そんな得体の知れない遺産を人類の根幹技術として用いているのも、また事実では会った。 

 

「亜空間跳躍技術については……いかんせん、我が国のコリロード上の航路はどこもガタガタに寸断されているのが実情でね。だからこそ、第三航路航法が必要とされたのだよ。コレがなかったら、我が国もとっくに滅んでいた……この技術を独占していたことで、ネオナチスもでかい面をしていた側面は大きいんだ……」


「けど、そうなるとどうやって、その独占技術を君達は入手したんだい? ネオナチスにとっては、その技術はなんとしても守り抜かなかければならない核心技術だと思うのだけどね……」


「それが、奴らの技術者の中に裏切り者がいたのだ。その人物が我々に技術情報を売り払ってくれたのだよ。まぁ、そいつ自身はネオナチスを見限って、ウラル辺りに高跳びを考えていたようで、我々への技術供与と引き換えに、亡命を見逃した上で、幾ばくかの逃走資金を用意するように、要求してきたのだよ」


「……なかなか、徹底した小悪党だが……。負けこんだ組織ってのは、得てしてそんなものか」


「まぁ……そうだな。もっとも、おかげで我々は他の星系と連携し、孤立せずに済んでいるからな。ああ、資金提供についても感謝しているよ。まったく、我が国の国家予算に匹敵するほどの資金を寄越してくれるなんて、気前良すぎるだろう」


「あはは、僕の贈りものは有効活用してもらえたようだね。どんな世界でも資金力というのは強大な力だからね。下世話な話だけど、お金さえあれば大抵の問題は解決する……。君は使い方も弁えているようだからね。助け舟を出した甲斐もあったよ。もっともアレは、君への前払いの報酬ってところだから、別に返さなくてもいいからね」


「……あれは、そう言う意味だったのか……。まったく、食えない方だな……それでは尚更やり遂げねばならぬではないか。見たところ、まだまだ若いのに色々と物が見えているのだな……。同じ国を預かるものとしては、嫉妬すら覚えるよ」


「そこを言われると、ちょっと複雑だなぁ……。僕は見た目通りの若造なんだ……経験が甘いのは素直に認めるところだよ。ただ、この第三航路航法……ちょっとこれはヤバい。出来るだけ早く、普通にエーテル空間を経由する体制にすることをオススメするよ……第三航路は、どうも人類にとって危険過ぎる空間のようだ」


 そう言って、ゼロCEOはそれまで緩やかだった表情を引き締める。

 不穏な空気を感じたのか、フォルゼも同様に表情を改めると、まっすぐに向き直った。

 

「……何か、問題でも見つかったのか? 我々も第三航路跳躍航法は、まだまだ未知の部分が多くて手探り状態ではあるのだが、現状……他に良い手段がなくてな。何より通常宇宙とほとんど変わりない環境だから、通常の航宙艦にいくらか改造を施すだけで、シームレスで行き来できてしまう……これはかなり大きなメリットだと思う。問題点があるようなら、是非共有して欲しいのだが……」


「そうだね……確かに、第三航路が星系間の連絡手段として、理想的なものだということは素直に認めるところんだが。こっちではかなり深刻な問題が発生してるんだよ」


「どのような問題なのだろう? 第三航路に関しては、我々が先達だからな……。詳しい話を聞かせてもらえれば、アドバイスや助言くらいは出来ると思う」


「うーん、これはちょっとすぐに解決は難しいと思う。なにせ、第三航路亜空間に試験的に駐留させた無人艦や空間ステーションが謎の敵に襲撃されて、全滅したんだからね……。敵の正体も全く不明。そちらでは、これまでそう言った問題は起きなかったのかな?」


「な、なんだと! 謎の敵の襲撃だと? 我々は……航宙艦の接触事故や座標を見失って遭難仕掛ける程度の問題しか起きていないのだが……。それに、エスクロンはもう第三航路に進出していたのか……。数週間前に、基礎技術データを渡した程度なのに、もうそこまで漕ぎ着けていたとは……恐るべきスピードだな」


「まぁ、完成している技術データが有るなら、模倣なんて容易いからね。うちは、ひとまず超空間ゲートを用意して、亜空間転移する方式にしたんだよ……いわば従来式。君らの使っている転移ドライブ式はドライブ自体の開発に時間がかかりそうだったし、コスパ的にも問題あるって判断したんだよ」


「確かに……ワープドライブ艦は、どこからでも飛べる代わりに一隻辺りのコストが馬鹿にならないからな……だが、ほんの数週間だぞ? そんな短時間で我々も使っていない新方式で亜空間へ艦隊レベルでの駐留をも実現するとは……」


「まぁ、実際はエーテル空間への接続用ゲートをちょっといじる程度だったみたいだし。うちの科学技術陣もなかなかのやり手揃いだからね。かなり重要な技術になると踏んで、相応のリソースをつぎ込んだのもあると思うよ。もっとも、そう言うことがあって、こっちは一歩目から躓いてるような有様でね……。なるほど、そちらでは特に脅威と言える存在とは出くわしていないという事だね」


「ああ、それは断言しても良い。しかし、第三航路に未知の敵……それも航宙艦隊を一瞬で全滅させる程の脅威か。あの空間は基本的に何もない真空と暗闇だけの空間なのだが……何故、おめおめと奇襲を許したのだ? 襲撃者もかなり遠くの段階で観測出来ると思うのだが……その点についてはいまいち解せない話ではあるな。聞いたところだと、一瞬で全滅させられた様子だが」


「実際……駐留艦隊はまともな報告も記録すらも出来ずに全滅したからね……。まぁ、何が起きたかある程度、目星くらいは付いてるんだけど……。その前に一つ確認。君等シュバルツは……先史古代文明の遺産に遭遇した事ってあるかな? それも生きているもの……になんだけど」


「……古代先史文明の遺跡ならば、各地で見つかっているが……。生きている……要するに稼働中の遺跡や艦艇のことかな?」


「そうだね……。機能的に生きて稼働している……そう言う意味だよ。そう言ったものに心当たりはないかい?」


「生きている……さすがに、私が知っている限りでは、そんなものの話は聞いた事がないな……興味がなかったのも事実ではあるが……。ディーター……国家データベースを確認してみてくれないか? その手の作業は君のほうが早いだろう。権限は私のものを使って構わない……全ての閲覧制限が解除されるはずだ」


「了解しました……国家データベース照会…………完了しました。過去、現在において、またカイオス統治時代でも、生きた遺構や遺物については未発見となっていますね。もっとも、ネオナチスは、古代先史文明の遺構の研究に熱心で無為に破壊されたり、持ち去られたものも多いようですし、データベースにそれらの調査、研究に関する詳細データは残されておりませんが、恐らくこれは意図的なものでしょうね……」


「なるほどね……。シュバルツの技術で、我々から見ても未知のオーバーテクノロジーが散見されたのは、そう言うことなのか……。黒船の制御誘導技術などもどうやっているか、未だによく解らないからね。ディーター……君達の認識としては、どうなんだい? 君ならカイオス達ネオナチスの事情に我々より、詳しいと思うんだけど」


 ゼロが尋ねると、ディーターもちらりとフォルゼに視線を送る。

 フォルゼが鷹揚に頷くと、ディーターも言葉を続ける。


「そうですね……。基本的に発掘技術の多くが一品物で、現代の技術で再現できたものとしては、そう多くないですし、本来の機能まで再生出来た事例となると、ほとんどないですね。それらは、ネオナチスの独占技術として用いられていましたが、技術として解析した上で、実用化までは至らなかったのが大半……そんなところです。唯一の成果としては第三航路航法……ですね。それとステルス技術もその一環ですね。具体的には、光電磁波吸収素材……アブソーバーゼロと呼ばれる物質の模倣生成に成功。もっとも、オリジナルほどでは無い中途半端な代物でしたけど」


 アブソーバーゼロについては、ゼロも心当たりはあった。


 シュバルツ製ステルス艦の標準装備だった光電磁波吸収素材。


 もっとも、ユリコはそんなモノ関係なしで、容易く見つけ出してしまったし、あれはあれで環境赤外放射と比較していくと、不自然に環境赤外放射少ない為におおよその位置さえつかめれば、捕捉出来るのだ。


 フォルゼの乗っていたシュバルツシルトは、環境赤外放射すらもリアルタイムで偽装することで、その欠点すら克服したはずだったのだが、それすらも発見された上に、コストが高過ぎて結局実験艦の一隻が就航したのみに終わってしまったのだった。


 要するに、シュバルツも完璧なステルスとか無理だと諦めた……。

 ユリコの存在は、シュバルツの技術陣の心を軽くヘシ折り、彼らの離散へと繋がっていたのだが。

 フォルゼもそこまでは把握していなかった。 


「なんとも……お粗末な話だねぇ……。まぁ、技術ってのは順番があるからね。そんな一足飛びで未知のテクノロジーを技術化するなんてのは、本来難しいものなんだ。シュバルツって、テクノロジーのちぐはぐさが否めないとは思っていたし、ディーターから提供された情報でも一般市民の文化レベルや生活水準の低さが目立っていた。我々はむしろそれを違和感として感じていたんだよ」


「……軍事技術と民生技術の格差……か。軍事国家における軍の技術が最先端なのはむしろ当然の話であるし、銀河連合最大国家のシリウスなどでも文明退行が起きていて、民間人は低い生活水準のものも多くいると言う話ではないか。人々の生活に必ずしも最先端テクノロジーは必要とされない……そう言うものだと思うのだがな」


「いや、うちも立派な軍事国家なんだけどね。軍事技術が向上すると必然的に民生向けの技術も向上して、一般市民の生活水準は上がるものなんだよ。まぁ、これは主に生産コストの問題なんだけどね。例えば、航宙艦なんかでも軍民で規格を統一した方がコスト面で有利になるし、イザって時の増産や転用も効く。核融合炉みたいな根幹技術もうちはミューリアクターが主流なんだけど、民生用も軍用もまるっきり一緒だから、重水素ペレットや蓄電セルの共用化が出来るから、兵站面ではこれが思ったより効くんだ。我々が大兵力を平然と運用できるのも、その辺りに理由があるんだよ」


「……万単位の航宙艦の運用か。100隻の動員でもこちらは兵站担当部署が悲鳴をあげるだろうからな。その100倍など、もはや夢物語だ。だが、シリウスなどは実際、どうなのだ? あの国の総人口は軽く400億近いと聞いている。それだけの人口と国力があるならば、相応の軍備があると思うのだがな。我々が見積もったシリウスの総戦力は、兵力だけで億単位と見積もっていたようだが……」


「シリウスは……文化が違うとしか言いようがないな。あの国は戦争を儀礼的なものとしか考えていないし、ほとんどの星系が自分達の世界の中で自己完結してしまってるんだ……。君達と我々は、お互い軍事優先の軍事国家だから、それなりに通じる部分があるけど、あの国は完全に異質な国だよ。軍事力だって、民衆支配の道具、或いは示威手段であって、外敵と戦うことなんて一切想定してないんだよ……。実際、君達はシリウス傘下星系にも手を伸ばしていたから、実際に戦う機会もあったはずだけど、かなりおかしな戦闘になったはずだよ」


「外敵と戦うことを想定していないって……。それで軍が成り立つものなのか? 内乱だって起きるだろうし、民衆の反乱だって起きる時は起きる。何よりも現実にインセクターという脅威があるのだぞ?」


「どうも百年単位で、戦争を経験していないぬるま湯みたいな生活をしてると、そうなるみたいなんだよね。実を言うと、それがこちら側の一番の問題なんだ。断言してもいいけど、危機感を持ってまともに戦争やる気なのは、多分僕らと銀河連合軍くらいだよ。実際、シリウスの軍事力なんて、まともに戦える宇宙戦闘艦なんて1000隻にも届かない……。軍事関連テクノロジーについては、恐らく半世紀は遅れているだろうし、基礎技術に関してもお世辞にも進んでるとは言えない。とにかく人口だけは多いから、総兵力は多分億単位になると思うけど……。兵力数なんて現代戦じゃあまり意味がある数字じゃないからね。だから、あの国は完全に時代遅れの員数外なんだ……。ちなみに、二番手のセブンスターズも似たようなもの……こっちはそれなりに近代的なんだけど、元はシリウスから離反した国だから、内情は似たようなものだ。どう? なかなか……酷い有様でしょ?」


「……なるほどな。確かに私もシリウス系の星系攻略戦に参戦したことがあるのだが。恐ろしく古臭い大型戦艦が出てきて、戦闘のルール説明など始めて、驚愕したものだよ。おまけに地上戦になったら、今度は甲冑を着て槍を持って馬に乗った騎士が一騎打ちを挑んできたり、意味が解らなかった……。反面、エスクロン系の星系は、武装民間船ですら、例外なく頑強で武装やレーダーも強力……おまけにレーザー兵器が殆ど効かずに、こちらは最新ステルス艦だったのも関わらず、苦戦を強いられたものだ」


「……敵の視点で見ると、そんなだったんだね……。まぁ、そっちは延々戦争やってたせいで、疲弊が行き過ぎてるみたいだけど、こっちはこっちで平和ボケ過ぎて、問題だらけなのさ。カイオスは元々はこっちの暗部組織の人間だったから、銀河連合の弱点も周知してたからね。おかげで良いようにかき回されてしまったよ」


「なるほどな……。だが、耳が痛い話だな。確かに、こちらは人口も君達のところほど多くない……我が国の総人口なぞ、10億程度だからな……。むしろ、それが一番の問題となっているよ。とにかく、社会に人が足りない。年寄りや女子供の力を借りてなんとか回っている状態だ。長き戦乱で国自体が疲弊しきっているのは否めない……。もっとも、各地で地上軍の解体を進めているし、そちらの世界に進出した植民者達を引き上げさせれば、一息付けそうではあるのだがな」


「うーん、こっちの世界に侵略とかやってられる状況じゃないってのは、その話だけでもよく解るよ……。アドバイスとしては、AIの能力向上の上で、各産業で無人化を進めるべきってとこかな。ただ、省力化は上手くやらないと経済の緊縮化を招くからね。危険な作業や重労働はAIに任せて、人間の仕事自体に高付加価値を与えるようにするってのが王道かな……」


「なるほど……。エスクロンは商業国でもあるからな……。あ、あの、済まないが……その話、もう少し詳しく教えてもらう訳にはいかないかな? 私も各地の貴族達から色々と意見や要望を取りまとめているのだが、やはり人手不足と民衆の貧困が根深い問題としてあるようなのだ。私も貴族として、相応の知識はあるのだが。本来は当主になるつもりもなかったし、私はあくまで武人なのでな……。どうしても経済や統治に関しては疎い部分があるのだ」


 フォルゼの受けた教育については、その波乱に満ちた人生に似つかわしく、かなりチグハグなものだった。


 本来は、貴族令嬢として育ったので、マナーや礼儀作法や一般常識は人並み以上なのだが。

 そこから先は、促成の士官教育と貴族当主としての心得などで、経済や統治についての知識は、割と付け焼き刃なのは否めなかったのだ。

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