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宇宙(そら)きゃんっ! 私、ぼっち女子高生だったんだけど、転校先で惑星降下アウトドア始めたら、女の子にモテモテになりました!  作者: MITT


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第五十二話「エスクロンの守護女神」④

「……む、無茶振りなのですよ。自分が何言ってるか解ってます? 自分が犠牲になるから、それ以外を全部救えとか……自分の勝手な理想を押し付けないでください。悲しいけど、これ戦争なのです」


 何人乗ってるのか知らないけど、あの船はもう色々と超えちゃいけない一線を超えつつある。

 追い詰められて、ヤケ起こして、大砲ぶっ放して死なばもろともとか……そんなの危険過ぎる。


 爆弾抱えた自爆テロリストと大差ない。

 一分一秒でも早く沈めるしか無いのですよ。


「……それが二千人の命を葬ると同義だとしても? 君にその覚悟があるのかい? 君等からすると信じられない話だろうけど、あのバカ共はあんなガラクタ同然の代物にそれだけの人間を詰め込んでるんだよ……度し難いことにね」


 冷たくそう言われて、さすがにドキッとする。

 二千人って……サクラダ高校の全校生徒合わせてもそんなにいかない。


 地上軍なら、軽く二個連隊分の人数。

 そ、そんなに大勢の人が乗ってるんだ……。


 エスクロンの国内法だと、クリーヴァの軍人さんとかは、人間扱いしなくてもいいカテゴリーだから、いくら殺したって気にしなくても良い……そう定義されてる。


 敵国の死者とか、被害とか……そう言うことを考えて、責任を持つのは、上の人。


 ユリみたいな最前線で戦う者は、そんな事を考える必要なんてないし、責任を負う立場じゃない。

 これは、エスクロンの戦士にとっては、絶対原則。

 

 け……けど、二千人ってのは、ちょっと洒落にならない人数だよね……。

 

 それにエーテル空間で生身の人間なんて、船が沈んだら確実に全滅する。

 それだけの人数がたった一発の砲弾で消し飛ぶ。


 今更ながら、その事実に腕が震えだすのを自覚する。


 同時に、かつて容赦なく葬ってきたテロリストや悪人達。

 顔も名前も知らない人達……。


 グルグルと押し寄せるように、封じていた過去の記憶が首をもたげかける。


「違う……私は……ユリは、そんな責任なんて……」


「……確かに戦場では、末端の兵隊に敵の命に対する責任なんて無い。それが戦争であり、軍隊の絶対原則だ……けどね……」


 続く言葉は何となく解る……。

 誰かに責任を預けたからって、誰かを殺めたという記憶は残る。


 だから、ユリは……それを忘れて……。

 

「遥提督っ! 黙って! 貴女に……ユリコさんにそんな事を言う資格があるのですか? もういい加減にしてあげてくださいっ!」


 初霜ちゃんが声を荒げるのが遠くから聞こえる。

 暗い表情をした遥提督と目が合うと向こうもハッとした顔をする。

 

「……いや、ないな。初霜……君がそんな風に怒るなんて珍しいな」


「ユリコさん……貴女の事情はおおよそ解りました。貴女は戦士となるべく、戦闘に最適化された人間……強化人間。その精神自体も強化すべく、様々な機能があるって聞いてますけど、それは戦闘時のストレスの元になる記憶を消去したり、そういう事も出来るって事なんですか?」


「どうなんだろ? ……えへへ、ユリってちょっと忘れっぽくって……。大事なことはちゃんと覚えてるんだけど、嫌なことや悲しいことがあると、すぐ忘れちゃうんですよ。今もすごく大事なことを思い出しそうだったんだけど……すぅっと消えちゃった……。と言うか、遥提督……今、何の話してましたっけ?」


 ついさっきの遥提督の言葉がもう思い出せなくなってる。


 多分、それは覚えておかなきゃいけない記憶。

 だけど、頭の中で警鐘が鳴ってる……それは触れちゃいけないって。


 そんな事より戻ったら、美味しいものを食べるとか。

 フカフカのお布団に包まって寝るとか……皆と他愛のないおしゃべりするとか。


 そう言うことを考える。

 

 戦うときは、余計な事を考えない。


 ……エスクロンの皆を……仲間を守る!

 考えるべきはその事だけで十分なのですよ。


 嫌なことや悲しい事があっても、その記憶は記憶の奥深くにしまっておかないと……。

 だから、ユリは……。


 でも……あれ? あれ? 今なんて言われたんだっけ?

 なんか凄く大事なことを忘れてるような……。


「……馬鹿な。そこまで……エスクロンはそこまでして、人を戦場に送り込み戦わせていると言うのか?」


「遥提督はもう黙っててください……今のユリコさんの様子を見て、なんで解らないんですか? それ以上余計なことを言うなら、わたしが怒ります。ユリコさん……わたしが間違ってました。ユリコさんは本物の戦士です。自らを犠牲にして、それでも戦場で戦う貴女の覚悟……しかと見届けました。貴女に……心からの敬意を……」


 なんか、記憶が混乱してる。


 ここに来るまでの経緯は覚えてるんだけど、遥提督と話し始めてからの記憶が曖昧になってる。

 なにか、大事なことを言われた気もするんだけど……。


 ううっ、頭痛くなってきた。

 こんなじゃ駄目……集中できない。


 メディカルシステム起動……セルフメンテ開始。

 頭の中のぐちゃぐちゃした感じがすーっと落ち着いていく。


「ユリコさん、大丈夫ですか? オートパイロット……わたしが操縦代わりますよ? 本職じゃないから、基本的な操作しかできませんけど……この機体の操作システムについても、プラグイン実装したので、問題はないはずです」


「だ、大丈夫なのですよ。うん……本物の戦士とか、なんかカッコいいですよね。ユリはまだまだ戦場の経験が浅い新兵ちゃんだから、そんな御大層な呼び方はやめてくださいね。それよりエーテル空間って暑いですね……アイス食べたいなーっ! なんてっ!」


 笑顔でそれだけ言うと、一瞬初霜ちゃんも遥提督も押し黙る。


「……そうか、そう言う事なのか……。君は自ら望んで……自分の手で……」


「遥提督っ!」


「あ、ああ……。もう、アタシも何も言わない。戦闘への最適化を突き詰めると、確かにそう言う事になる……解るけど、解るけども! くそっ! なんなんだそれは……ッ!」


「な、何の話でしたっけ? ご、ごめんなさい……」


「ユリコさん……解りましたっ! かくなる上は、この場のすべてをこのわたしにお任せを! 問題ありません……そりゃあ、二千人とかすごい人数ですけど。わたしは幾多のもの戦場を超えてきた古参艦の頭脳体ですから……め、目をつぶって無心で撃てば済む話ですよ!」


 遥提督の言葉を遮っての初霜ちゃんの提案。

 あれ? 初霜ちゃん、スゴイキリッとしてるし、なんか気迫ってものを感じる。

 

 さっきまで、どっかポヤポヤしてたのにスイッチ入ったって感じ。


 ああ、この子ってそう言う子なんだ。

 誰かの為とか何かを守るってなると本気になる。


 あんまり戦いとか好きじゃないってのは、なんとなく解ってたけど。

 

 本気になると誰よりも強い。

 ……ほんと、いい子なんだね。


 けど、後半、ちょっと声が震えてたのを聞き逃さなかったのですよ。

 この子もなんだかんだでAI……基本的に人間を害するようには出来てないのですよ。


 命令すれば、確かにやってくれるだろうけど。

 この子が人間に近いメンタリティを持ってるのは、これまでの付き合いで明らかなのです。


 それに、犠牲を最小限にとか……多分、ユリより余程まともな事言ってる。

 やらせちゃっていいのかって聞かれると……あんまり気が進まない。


 と言うか、嫌な役目を押し付けてるみたいなのですよ。

 うん、そう言うのはだめ! ユリが許しません!


 人が嫌がること、無理なこと……そう言うのはまとめてユリがやるのです!


「さっきまで、なるべく殺さないで……なんて言ってた子には任せられません! 別にユリはどうでもいい人たちが何人死のうが気にしないのです! 遥提督も……なんか言ってましたけど、なんでしたっけ? ちょっと記憶システムに齟齬が出てるっぽくって……」


「……いや、いいんだ。ここは君が正しい。今のはアタシの理想……確かに身勝手な押し付けだ。そうだね……戦場では、撃てと命じたものに責任がある。撃ったものでは断じて無い……君達は至極合理的だ」


「わ、解れば良いのですよ? ユリはエスクロンの皆のために、先陣を切って戦うエスクロンの剣なのです!」


「そうか、エスクロンってのは全体主義国家……そう言う国なんだな。アタシらとは根本的に価値観が違う……だからこそ……なのか。けど……」


「なにか問題があるのです? 価値観なんて……国や人によって、違って当たり前じゃないんですか?」


 ユリがそう言うと遥提督もハッと何かに気付いたようになる。


「そうか……違って当たり前……か。そうか……君はアタシの思いすら尊重する……そう言うことかい?」


「そうですね。戦争でなるべく犠牲を最小にする……立派な心がけだと思います。ただ、その場合せめて、代替案を提示してください。戦略目標を、最小の犠牲で達成する……そんな都合のいい方法があるなら、ユリだって迷わず従いますよ。けど、無茶振りオーダーだけしてやり方は任せるってのは、無いと思いますよ」


「……ぐうの音も出ない正論だよ。確かに認めよう……そんな都合のいい方法はなさそうだ。君がエベレストを一撃で沈める以外に方法がないって言うのなら、納得する。ちょっと期待したけど、やはり奇跡は奇跡。起きないから奇跡って言うんだから、それはもうしょうがない」


 なんか引っかかる言い方なのですよ……。


 ユリは、出来ないことを出来るとか言わない。

 こんな割とギリギリな戦場で人に無茶振りとか、酷いのですっ!


 ムカムカしてたら、ハルマ叔父さんから、メッセージ入電……。


「遥提督の指示、命令は命令系統が異なる以上、無視して問題ない。貴官の判断を最優先とせよ。なお、我々は貴官の判断を支持する……。最優先目標はこちらの民間船団退避が完了すれば達成となる。それ以外の全ては切り捨てて差し支えないし、目標達成時点での撤収も選択に入れるべし。なお、フォローはこちらでする」


 ……うん、叔父さんは大佐さんだし、事実上この場のユリの上官になる。

 叔父さんの判断は、明確。


 民間船団の射程外退避は、あともう少しで完了する。


 それまで時間を稼いで、とにかく撃たせないってのでもいいし、撃てないように砲塔だけでも壊すってのでも良いのか。


 遥提督については、元々こちらの気にすることじゃないのですよ。


 なんとかしてあげたいとは思うけど、ここでまっさきに切り捨てられても、文句は言えない立場だってのは、本人も解ってると思う。


 それに、無策であっさり倒れるような人でもないと思うのですよ。


「……あの、遥提督。ユリコさんはエスクロン宇宙軍の方です。わたしも一時的ですが、その指揮下にあると言えます。エスクロン側のオーダーは、民間船団の安全確保との事です。それ以外の全ては、もう割り切るべきかと。遥提督の考えも解りますけど、ユリコさん達の事情も察してあげてください」


「……そうだね。すまない……。そりゃ、言いたいことはあるけど。今は……飲み込むとするよ」

 

「解れば良いのです! どのみちユリは、遥提督の言うことなんて聞かないのです。ユリはあくまでエスクロン宇宙軍所属なので、銀河連合軍の命令や意向も知ったことじゃないのです!」


 と言うか、こう言う状況を想定したマニュアルも無ければ、想定訓練もしてなかったんだろうね。

 デフコン2発令で、銀河連合軍は総動員体制になってるんだけど、どうもバラバラで統率も取れてない様子で、あっちこっちで大混乱になってる。


 後方管制が全く機能してないってのは、断片的に飛び込んでくる情報からでも明らか。

 ……現場に必要以上の責任を負わす、銀河連合軍の体制は明らかに問題あるのですよ。


「はぁ、すっかり信頼失ったみたいだね……我ながら度し難い。なぁ、ひとつ提案なんだが……ひとまず、トリガー権をこっちに譲渡してくれないか? つまり、咎を背負う……それは、アタシの役目とさせてもらう。君はこの戦場に危険を顧みずに駆けつけてくれたことで十分だ。君の勇気に対する心からの敬意……いわば、ご褒美ってところだ。まぁ、こんなダサい状況にしたのはアタシの自業自得だ……自分の不始末くらい自分で付けさせて欲しい。これは命令じゃなくて、単なるお願いなんだが、どうだい?」


 遥提督……。

 遥か古代の戦場を駆け抜けた歴戦の強者となると、必然的に膨大な数の敵を葬ってきたって事で……。

 

 けど、咎を背負うとか……。

 なんか、ダークヒーローみたいで、ちょっとカッコいいかも……とか思ったのですよ? 


「いやいや、最古参示現体のこのわたしがですねー! どのみち、わたしには非殺コードなんて始めからありませんから。やらないともっと犠牲が出るなら、このわたしがやります! と言うか、そんなカッコいいセリフ……まるでどこぞの主人公みたいじゃないですか! はいはいっ! この駆逐艦初霜がすべてを解決します! そのつもりでユリコさんに無理やりくっついて来たんですから、せめてもうちょっとお役に立たないと! やります! やらせてください!」


「だから、アタシが殺るってのに……スイーツモンスターは引っ込んでろっての。大体、ユリコちゃんに張り付いて、イザとなれば制圧するって話だったのに、なんで一緒になって来てるんだよ!」


「それは簡単です。ユリコさんは実力でこのわたしすらも退けたのです。敗者は勝者に従うのみです。今のわたしの立場は……捕虜とか奴隷とかそんな感じですかね」


 不意打ちして、身動き取れなくして、くすぐっただけなのですよ?

 なんか、ぶん殴られて力づくで制圧された……みたいなニュアンスで言うのはやめて欲しいのですよ?


「……なんだそれ? まぁ、正直無理だろうとは思ってたけど、案の定か……。なんにせよ、君の出る幕じゃないよ。艦もない君がこの場で何の役に立つんだ? 良いから、そこで大人しくナビでもしてればいいよ」


「いえいえ、遥さんは仕事のしすぎです! それにそう言うダーク系キャラを気取ってる割には、結構打たれ弱いって提督も言ってました。今だって、ユリコさんにガツンと言われてヘコんでるじゃないですか。こう言う時こそ、クールビューティを自称するこのわたしが速やかにクールに始末する……大人の女として、それくらいやってのけるべきです!」


「話聞けよ……。誰がヘコんでるって? ああっ?」


「……はい、遥提督。なんか、かなり辛そうに見えますよ? 泣きたいなら泣けばいい、スッキリする……そんな風に聞いてますから、ここは思いっきり泣くってのもいいと思います」


「なんか、いいこと言ってるなって思ったら、伝聞なのかよっ!」


「いや、だって泣くって、わたし、よく解んないんですよ……ちょっと見本でも見せてください!」


「……君が所詮、機械でAIの変種なんだって、よく解った! もういいから、引っ込んでろ!」


「あ、酷いです! 解りました……泣きます! 眼から水分出して、エグエグ言えばいいんですよね? えっと……うん! 出たっ! すごーいっ! エグエグ……」


 両手を合わせて、目からポロポロ涙出してる初霜ちゃん。

 なんとも器用な事するね。


「はいはい、これっぽっちも心動かされないお涙どーも……」


 なんだか、二人がどっちが撃つかで喧嘩し始めちゃってるし、もう関係ない話になってない?


 うーん、なんだこれ?

 

 けど……沈めずに無力化か。

 それが理想ってのは解る。

 

 死人ゼロで円満解決……誰も恨みっこなし。

 それが出来たら、最高の結末だと思う。

 

 ……いっそ大砲だけでも、潰すことが出来れば良いんだけど……。


 大砲に直撃させて半分にしたって、無理やり撃てば撃てそうだし、最悪砲身内で砲弾が爆発して、やっぱり2000人が消し飛ぶ。

 

 降伏しろ脅したって、意味がないってのも解る。

 総員キマってるような状況じゃ、何を言っても話しならないってのは解る。


 ガンギマリ自爆テロリスト……世界一面倒くさい人達なのですよ!

 

 エスクロンだったら、指一本動かさせずにヘッドショットで一撃必殺!

 人権? 奴らにそんなものは無いから、気にするな……皆、そう言ってるし!

 

 やっぱ、ユリがワンパンキルが一番早そう……。


 初霜ちゃんと遥提督はギャースカ喧嘩始めちゃって、決着も付きそうもない。

 と言うか、結果は一緒なんだし、トリガー遠隔操作してもらったからって、何が違うのって感じなのですよ。


 とりあえず、暇だからエベレストの観察でもするのです。

 拡大映像見てどっか、弱点とかないかー。

ユリちゃんが訳解かんなくなってるのは、自前のマインド・コントロールシステムの影響です。

この辺は、戦闘中のストレスが戦闘時の判断ミスに繋がるって自分で悟って、自前で条件付けして、ストレス源になるような記憶を自動消去するようにしてるからです……。


本来、彼女はそれで戦闘マシーンとして、自己完結してたんですが、平和な普通の学生生活をした影響でそこら辺のバランスが微妙に狂ってるし、葛藤起こしたりもしてます。


余談ながら、ユリコが2000人で二個連隊とか言ってるのは、エスクロン宇宙軍の部隊編成が彼女の基準だからです。


師団:3000人 連隊:1000人 大隊:300人

中隊:100人 小隊:30人 分隊:10人


こんな感じで、現代の陸軍よりもコンパクトな編成になってます。

まぁ、どうでもいい設定。(笑)


基本的に、この手の地上軍は、惑星攻略用の揚陸戦艦と一個師団でセット運用されるのが基本で、師団単位で自己完結するように航空戦力から、揚陸艇、補給用艦艇に護衛艦とフルセットで編成されます。


ちなみに、揚陸戦艦は惑星攻略戦特化型のkm級戦闘艦艇で、地上砲台や防衛衛星やら軌道要塞と言った固定目標との戦闘を想定して、大口径レールガンを主砲に(半固定目標相手なら、着弾半日後とかでも当たるんで、弾のコストが安いレールガンが最適だったりします)、宇宙地上の両用戦闘機や揚陸艇とかぎっしり詰め込んでる戦闘母艦ってところです……思いっきり惑星侵略戦艦。


外地派遣される場合、兵隊はエーテル空間をバラバラと旅客船チャーターしたりして運んで、現地で揚陸戦艦建造して合流したり、現地の先任艦のガワだけ残してもらって、管制AI、乗員ごっそり総入れ替え……みたいな運用してます。


クオンでトキシロ大佐達がやってたのは、前者の方。

あんな感じで、適当な名目で地上軍進駐させて、各星系を軍事的影響下に置くってのがエスクロン式です。


ちなみに、エスクロン宇宙軍の総兵力は3000万人くらいいますけど、総人口が120億もいるんで、それでも軍人比率としては今の日本より低かったりします。(通常、軍人比率は人口比1%くらいなら問題ない範囲と言われています)

もっとも、軍関係者ってくくりになると軽く10億単位の人間が関わってますんで、立派な軍事国家です。


なお、AI戦争で懲りてるんで、宇宙戦闘艦には必ず人間の乗員を配備してる関係で、相応の兵力が必要なので、徴兵制は無い代わりに、学生なんかは軍事教練が必須科目になってるし、平時市民向けのVR軍事教練なんかもあちこちで行われてますし、輸送艦なんかでも即時に軍事転用出来るように設計されてます。


たまに、戦闘適正の高いのがいると防衛部門からスカウト来て、軍人デビューとかなったりしますが、軍人は基本的に名誉職で、待遇もいいので拒否する人はほとんどいません。


そんななんで、予備役とか入れると動員可能兵力や艦艇総数は銀河帝国真っ青なくらいになります。

ホント、何と戦うつもりなんだコイツら。


なお、他のシリウスあたりだと、一つの星系にkm級騎士戦艦一隻、200m級の従士艦四隻までと言う上限設定されてる上に、無人の旧式AI艦なんで、はっきり言ってクソ弱いです。

他の軍事力については、各領主丸投げで武装も場所によっては、中世レベルの装備だったりするので、地上軍とかの戦力もお察しです。


エスクロンあたりと比較すると、宇宙戦闘艦艇関連の技術は、軽く半世紀は遅れてるので、エスクロン製の輸送艦+ウェポンモジュール増設程度の艦艇にすら対抗できず、輸送業者崩れの宇宙海賊やらに太刀打ち出来ないと言う問題も起きてますが……。


自前の戦力強化よりも、てっとり早くPMCを用心棒として雇って対抗……とかやってるのはいいんだけど、PMC側もエスクロン製艦艇だと、AI同士が手抜きしちゃって、泥沼の出来レース状態になるケースも散見されるとか、そんなことになってます。


この辺は、AI同士が同胞とは本気でやり合いたくないってゴネるのもありますが、PMC側としても簡単に宇宙海賊を駆逐してお役御免になるより、ダラダラと泥沼化してくれた方が長々と定期収入になるから、美味しいし、雇う側もそれなりに被害は低減してるので、クビに出来ないと言う酷い構図になってるからです。


こんな感じの解説エピソード交えるつもりでしたが、大幅カットしたので、ここで解説。(笑)

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― 新着の感想 ―
[良い点] ヒロインが最強である理由とその原因がしっかり紐づいているのが良かったです。 [気になる点] ヒロインが最強に至るまでの苦難を外伝で展開すると、お気楽JKという単語は無くなっちゃうんだろうな…
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