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宇宙(そら)きゃんっ! 私、ぼっち女子高生だったんだけど、転校先で惑星降下アウトドア始めたら、女の子にモテモテになりました!  作者: MITT


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第五十話「やさしい時間」④


『……ユリコ様、報告です! 本艦6時後方深度350、距離3000にて、極めて微細な反応を確認……推定50mほどの潜行艦。島風に情報送ります……。こんな近くにいたとは……全く気付きませんでした! ですが、この深度ともなると対応は難しいと判断しますが……』


 ロンギヌスの報告に、ほっとため息。

 うん、やっぱりいた。


 けど……深度350?


 エーテル空間の事ってあんまり解らないけど、潜行艦ってそんなところまで潜れたっけ? と言うか、そんなところの敵……どうやって、対処するんだろう。


 ちなみに、エーテル流体面下の深度350mは、地球の海だと1750mに相当する圧力がかかるのですよ。

 構造材1cm平方あたり、175kg相当の重量がかかる計算になる。


 もちろん、今日日の冶金技術で作られた耐圧素材なら、その程度なら余裕で耐えれる。

 ガスジャイアントの重水素採掘船とか、その程度圧力物ともしないのですよ。


 ただ、エーテル空間……それもエーテル流体の底だと、構造材の腐食とか微量のエーテル流体の浸透とか色々あるので、深度100mより深く潜るのは、はっきり言って無謀。

 

 到達は出来るけど、帰還が難しい……。

 行ったきりなら、簡単だけど、無事に戻るとなるとはっきり言ってギャンブル。

 

 リターンも少ない以上、積極的に挑むようなものではない。

 ……エリコお姉さまからそんな風に聞いたことあるのですよ。


 もっとも、将来的に予想される脅威って事で、エスクロンでも深深度戦対応兵器の開発をしてるみたいなんだけど、その開発も難航してるって聞いてる。

 

 銀河でも最高レベルの技術力を持ち、ありえないような脅威に備える事を是とするエスクロンですら、そんな調子だから、向こうもまともな攻撃手段なんてないと思う。

 

 ……でも、見張りのつもりだとしたら、かなりウザい。


 ただ、そんな深深度対応潜行艦が存在するという事実。

 この情報の時点で、エスクロンも深深度対応新兵器の開発を急ぐことになるのは間違いないのですよ。


 多分、上に上げたらまた騒ぎになるだろうな……けど、もう手遅れっぽい。


『……島風からは、そんな所に敵は居ないし、居たとしても攻撃手段がない。そもそもそんな深く潜れる潜行艦の存在はこちらは把握していないとの回答が返ってきました……。私もユリコ様のお言葉がなければ、全面的に同意するところですね。もっともこちらの得たデータ上では、何かがいるのは確実だと断言できます。ただ、島風の対潜装備では、この深度の敵となると探知も攻撃も出来ない以上、解っていても結局無視するしか出来ないでしょう……。もっとも、それは我々も同様なのですが……対潜爆雷でも投下して牽制してみますか? 届くような気がしないので、あまりお勧めできませんが……』


 まぁ、そうなるよね。

 

 とにかく、100m以深ともなると圧力が馬鹿に出来ないので、耐圧をよほどしっかりしないと爆雷や魚雷の類も圧潰して自爆してしまう。


 当てるだけなら、スピアー弾辺りなら300mの深さまで届くことは届くけど、当てるのはもちろん、沈めるのも多分無理。


 なにせ、エーテル流体面下ってのは深くなるとどんどん重力係数が低くなっていくし、流体抵抗もばかにならないので、スピアー弾のような運動エネルギー兵器は、見る間に減速して威力も落ちてしまうのですよ……多分、スピアー弾は余程の勢い付けて撃たない限り、効果ないと思う。


 ……シンプルにデッカくて重たい鉄板でも山盛り沈めてブチ当てるとかやった方が見込みあるのですよ。


 必然的に自由落下で相手のところまで沈めて使う沈降機雷の類も途中でやっぱり圧潰自爆するのが関の山。


 深深度の敵……いるのが解っても、事実上、手が出せないとか……言わば、無敵チートみたいなもの。


 なんと言うか、目の付け所がなんともずっこい!

 

 リスクを犯すこと無く、一方的に攻撃したり、付きまとうとか、正々堂々の対局なのですよ。


 そんな無敵キャラを見張りに使うのも……まぁ、確かに悪いアイデアじゃないとは思う。


 ずっこいけど! ずっこいけどっ! 頭いいのは認めるよ!


 あんまり、ムカつくから二回言った!

 

 けど、長々とそんな深い所にいれるとも思えないのも事実。

 潜行艦の弱点として、給排気の為に定期的に浮上しないといけないってのがある。


 20世紀の頃の原子力潜水艦も潜りっぱなしだと、酸素が消費されて限界がくるから、空気の入れ替えに安全な浅い所に上がってきたりとか普通にやってたし……。


 エーテル空間の潜行艦については、無人化して動力を完全電動化した上で、酸素消費の要因をゼロにする事は理論上不可能じゃない。

 

 ジェネレーターも静音型の常温核融合炉を搭載すれば、騒音の問題も解決できる。

 そう言うのもあって、潜航艦の動力源は常温核融合炉って相場が決まってるのですよ。


 って、その前に……常温核融合炉と熱核融合炉の違いは要説明だと思うのですよ。

 なので、突発説明ターイム!

 

 常温核融合炉……小型、安全、低コスト、静かで熱効率良好だから排熱の問題も少なくて、パワーはいまいちだけどド安定。

 

 緊急で大電力が必要ってなっても、基本的にマイルドな発電システムだから、出力120%とかそんな器用なマネは出来ないので、大抵予備バッファとして、大容量蓄電セルと併用する……もしくは予備システムを用意しておいて、緊急時は倍プッシュ! ってやるのですよ。

 

 熱核融合炉……大型、うるさい、発熱凄い、ハイパワー、運用コストもお高い。

 暴走覚悟でやれば、超パワーアップとかも出来るんだけど、燃料の不純物混入で荒ぶったりすることもあるので、取り扱いには注意。 


 基本的に、こんな感じ。

 それぞれ、利点、欠点があるので、用途に応じて、使い分けてるのですよ。


 熱核融合炉は、主に街灯やらロードヒーティングと言った都市インフラや、小型車両のバッテリー充電用の路面非接触給電システムへの電力供給や、軌道エレベーターや鉄道インフラへの給電、大型の宇宙艦艇とかに使われてる。


 管理も大変だし、維持コストも莫大なものになる上に、簡単に停止できるようなものではないので、この手の熱核融合炉は、一般的な惑星国家なら、首都と主要都市にそれぞれバックアップ用も含めて、二、三基くらい設置して、衛星軌道上の軌道エレベーターステーションに二基、超空間ゲート施設にも二基……そんな感じで一星系につき10基くらい設置するのが定番なのですよ。


 人口が多くて、都市インフラ電力需要も莫大なエスクロン辺りだと、軽く100基とかあるけど……そんなのははっきり言って、例外中の例外。

 

 スターシスターズ艦艇でも、重巡クラスや戦艦、空母クラスになると、熱核融合炉を使ってるんだけど、この辺りは安定した大電力供給が要求されるので、当然といえば当然なのです。 

 当たり前ながら、こんなものは個人所有なんてありえないし、一般人には全く縁がないのです。


 一般的に使われているのは、安全安定の常温核融合の方。

 大型輸送車両とか普通の家とかに一家に一台ってノリで使われてる。


 リアクターの大きさも最新式のだと2m四方くらいと割とコンパクト。

 コンビニとか雑居ビル、マンションとかみたいに、大電力が必要とされる建物とかの場合は、三個四個と並べて使うか、熱核融合炉発電所が近いところなら、都市インフラ給電も併用するような感じ。


 ちなみに、都市部では、リアクターの定期メンテや燃料の重水素ペレットの交換も含めて、管理業者が勝手にやってくれるので、利用者側も毎月使用料金を払うだけで済むようになってるのですよ。


 大昔みたいに、一箇所の巨大発電所から各家庭に分配とやると、どうしても流路エネルギーロスが馬鹿にできず、大規模災害などの発生で、発電所や送電施設がやられると、一発で都市機能マヒとか起こってしまうのですよ。


 そもそも、熱核融合炉施設だけで今日日の社会電力インフラを支えようとしたら、小規模惑星国家でも軽く100基くらいの発電施設が必要になるので、そんなのやってられないのですよ。

 

 その点、この小型常温核融合リアクターを各家庭に配置する方式は、大規模災害にも強く、コストも安くつき、常温核融合炉が実用化された21世紀の後半くらいには、割と速攻でこの方式が主流になっていたそうなのですよ。


 この常温核融合炉についても、従来型のパラジウムなどの希少金属触媒を使った「パラジウム・リアクター」は歴史が長く、かなり長い間主流だったんだけど、最近はミューオン素粒子を触媒に用いた「μ(ミュー)・リアクター」の方が主流なのですよ。


 ちなみに「パラジウム・リアクター」が主流だったのは、シリウスの大資源惑星系ゴッソナ星系の存在とシリウスの希少資源支配政策の影響が大きかったのです。


 シリウスの最外周層に、ゴッソナ星系って言う、惑星まるごとレアメタル……それくらいの勢いで大量の希少金属、特に常温核融合においてもっとも適した希少触媒金属でもあるパラジウムを派手に産出する惑星があって、シリウスはこの星系から低コストでパラジウムを大量に採掘し、破格と言える値段で市場に流すことで、銀河のエネルギー市場を完全に支配していたのですよ。


 資源大国でもあるエスクロンですら、その価格競争力には太刀打ちできず、長年状況に甘んじてたほどで、一般家庭用の常温核融合炉といえば、シリウス製パラジウム・リアクターと言う時代が長く続いていたのですよ。

 

 そんなシリウス経済の屋台骨を支えていたと言っても過言じゃなかったゴッソナ星系だったんだけど。


 黒船の襲来……それも超大型種の大暴走「ブラックロード事変」で、思いっきり超大型種の通り道になってしまった不幸な中継港が「ゴッソナ中継港」だったのですよ。


 超大型種の蹂躙を受けた結果、ゴッソナ中継港はものの見事にゲートが暴走し、マイクロブラックホール化して消滅……。


 引き換えに、黒船の超大型種も至近距離でのマイクロブラックホール爆縮に致命傷に近い大ダメージを負って、その後の銀河連合軍の総反撃により、仕留める事は出来たのだけど……シリウスにとっては大変不幸な結果になってしまった。

 

 ゴッソナ星系の住民の脱出は、かろうじて間に合ったんだけど、ゲート閉鎖処置は間に合わず、黒船に破壊された施設の暴走により、ゲートが重力爆弾化して跡形もなく消滅……。


 それどころか、マイクロブラックホールの残滓……ナノブラックホールが点在するように周辺流域にいまだにいくつも残っていて、周辺流域は異常重力変動により、もはや誰も近づけない閉鎖流域となり、ゴッソナ星系へのゲート再開通は100年単位で絶望的だろうと言われてるのですよ。


 その影響はあちこちに飛び火して、まず全銀河レベルでレアメタル価格が急激に跳ね上がって、銀河人類の主流電力源だったパラジウム・リアクターのコストも急上昇……エネルギー問題が再燃しそうになったのですよ。


 採掘できなくなったら、別の星系から採掘すればいいと思われがちなんだけど。

 レアメタルの増産と言っても簡単なことでないのですよ。 

 レアメタルってのは、元々希少だからこそ、レアメタルって呼ばれる……そう言うものなのですよ。


 下手にゴッソナ産パラジウムの質が良かったことと、低価格だった事が災いして、銀河各地のパラジウムを産出する鉱床は軒並み壊滅状態になっており、直ちに元の生産基準に戻す事は、もはや不可能だったのですよ。


 必然的に、シリウス製パラジウム・リアクターは一気に価格が向上し、21世紀後半の頃に持ち上がったエネルギー危機再燃……なんて言われるような状況になりかけたのですよ。


 けれども、そんな騒ぎの中、どこ吹く風と余裕綽々だった国がひとつだけあったのですよ。

 

 ……それが他ならぬエスクロン。


 エスクロンでは、かなり前から、エネルギー効率と導入コストに劣るものの、レアメタルを使わない常温核融合の別方式でもある「μ(ミュー)・リアクター」と言う常温核融合炉が普及しており、自国内では「パラジウム・リアクター」を使わずに、自国製技術の「μ・リアクター」で主要エネルギー源を賄っていたのですよ。


 必然的に、元々自国製レアメタルを潤沢に持っていた事もあって、この「ゴッソナショック」の影響をエスクロンは全く受けず、それどころかエスクロン式の「μ・リアクター」が脚光を浴びるようになり、一気にそれが銀河連合の主流エネルギー源になったのですよ。


 「μ・リアクター」は希少金属も使わず、電子の一種……ミュー素粒子に負の極性を与えたうえで、収束ビーム化して重水素、トリチウム溶液に放つことで、連鎖核融合反応を起こす……同じ常温核融合でも、パラジウム・リアクターに代表される凝縮集系核反応とは似て非なるものなのですよ。


 もっとも、こっちの方式は、ミュー素粒子の収束ビームを放つ粒子加速装置の効率化の問題があって、粒子加速装置自体がそれなりの大きさとなる上に、粒子加速に用いるエネルギー量と発生するエネルギー量の差異が少ない……つまりエネルギー効率が悪いと言う割と致命的な問題があり、原理自体は二十世紀の頃から知られてたんだけど、「パラジウム・リアクター」と比較するとエネルギー効率に劣りコストも割高になることから、それまで敬遠されてたのですよ。


 エスクロンは希少資源を使う「パラジウム・リアクター」に代わる技術として、この「μ・リアクター」の研究開発を続け、長年に渡る地道な改良と全国民を巻き込んだ盛大なβテストの結果、粒子加速器を手のひらサイズにまで集積コンパクト化させ、粒子ビーム磁場リフレクターにより溶液内で粒子ビームが減衰仕切るまで繰り返し何度も反射しつづける事で、エネルギー効率を無理やり上げる反射融合炉の開発にも成功し、「μ・リアクター」のエネルギー効率を及第点レベルまで向上させて、画期的レベルの小型化にも成功していたのですよ。

 

 それでもまだまだ、シリウス製パラジウム・リアクターの導入コストには劣っていたのだけど、「ゴッソナ・ショック」によるパラジウム・リアクターの価格上昇で、導入コスト差も完全に逆転し、百年単位で技術革新をサボっていたシリウス製「パラジウム・リアクター」には、元々5m四方と少々大きいと言う問題もあった為、より小型の「μ・リアクター」は一気に全銀河規模に普及したのですよ……。


 それに加え、売りっぱなしでメンテや重水素ペレット交換とかもユーザー任せだったシリウス式と違い、導入後の管理やメンテまで含めたアフターケアも万全なエスクロン方式のサービスも合わせて導入され、エスクロンでは当たり前だったこの運用形式も、むしろ他星系の一般人には好評で、一気にエネルギー市場が塗り替えられる事になったのですよ。


 ……シリウスにとっては、黒船襲来時における最大にして、ほとんど唯一の被害らしい被害が、そのゴッソナ星系ゲート消失だったのだけど、地味にこれはシリウスにとっては、致命的に近い損失をもたらしたのですよ。


 これがきっかけでシリウスの没落が始まって、エスクロンの大躍進のきっかけになったのだけど、それはまた別の話……。


 って、あんまり関係ない、科学技術背景講座なのでしたーっ!

 

 

 とにかく……。

 エスクロンも概念実証艦レベルなら、長期潜行艦はエスクロンも開発済みなのですよ。


 エスクロン製「μ・リアクター」には、バッテリー感覚で取り扱えて、コンパクトと言う利点があるので、小型艦に関しては、「μ・リアクター」で十分とされていて、スターシスターズの駆逐艦なんかにも「μ・リアクター」は普及してるのですよ。

 

 けど、そんな「μリアクター」搭載型の潜行艦でも、核融合の副産物のヘリウムガスや水蒸気と言った排ガスが徐々に貯まってくるし、潜ってじっとしてるだけでも、エーテル漏洩とかで徐々に船体にダメージを受けていくので、長時間の潜航は不可能と言うのが実情なのですよ。


 だから、一応対策としては、上で待ち構えてて、息切れして浮いてくるのを待つと言う方法もあるにはあるのですよ……気の長い話になるかも知れないのですけど。


 まぁ、この敵性潜航艦の所属がどこなのかは判然としないけど、少なくとも常温核融合炉は実用化してるのは明らか……熱反応とかも皆無に近いみたいだしねー。

 

 手を出してくる様子もないから、こちらも所在をマークして、検知パターンのデータも記録して、そのうち浮かんできたら対処で良いと思う。

 

 ついでに、アクティブソナーもガンガン当てて、各種データも取って、丸裸にしちゃうのが良いのですよ。


 気付かれてないとか思ってるのかも知れないけど。

 ユリにかかれば、秘匿深深度潜行艦だって、あっさり見つけられるのですよ。


「攻撃しても多分無駄ですし、下手にかき回して見失ってしまうほうが問題なのですよ。グエン艦隊にこちらのデータを供出の上で、敵の存在は確定だと伝達してください。おそらく、敵の目的はこちらの居場所を特定する触接だと思われます。どのみち向こうも手は出せないでしょうし、長々とそんな深い所にいても、自滅するのが落ちだと思うので、そのうち浮いてくるんじゃないですかね。ああ、それと各種データはきっちり取って、後方に回すようにしましょう……未知の潜行艦も居るのが解って、データが有ればそう、怖いものではないですからね」


『なるほど。確かにそうですね! さすがユリコ様、慧眼です。……監視については、こちらが引き受けるようにいたしますよ。どうもこの様子からすると潜行艦の探知能力は我々のほうが上のようなので……。それにしても、未知の潜行艦の存在を容易く暴いた事と言い、その適切な対応指示……。もはや感服の一言です。さすがユリコ様です!』


 出たっ! 「さすユリ」!


 ロンギヌスって、もうずっとこんな調子。

 何かに付けて、最後はこの一言で締めるのですよ。


 まぁ、悪い気はしないんだけど……限度があると思う。


「あんまり持ち上げないで欲しいのですよ。では、何か動きがあったら、随時お伝え下さいね」


『了解しました。根比べなら、お任せあれです』


 根比べってなったら、不眠不休で延々いつまでも見張ってられるAI任せが一番なのですよ。

 でも、これって多分、どっかで待ち伏せとか受けるパターンだよねぇ……。


 そこら辺も釘刺しとこ。


「他に何か情報はありますか? 些細なことでも結構です……例えば、どこかで武力衝突の兆しとか、そう言うのって起きてたりしないですか?」


『……はい。本件と関係あるかどうか解りませんが、ケスラン星系にて、我が国とクリーヴァの武力抗争が発生しているようです。現状、通常宇宙空間での戦いは我が方の勝利に終わり、エーテル空間上では、直接交戦には至っていないのですが、クリーヴァの送り込んだ艦隊と我が方の集めた民間武装船団とで膠着状態となり、その状況を打破すべく、本国の試験艦隊と秘匿精鋭部隊が投入されたとの情報が入ってきました』


「……その情報はどこで?」


 さすがに、その話は聞き捨てならないのですよ!

 思いっきり、紛争発生中ってなにそれ! それもエスクロンが当事者って!


 そんな重要情報がなんで今の今まで、ユリにふせられてたのです?


『はい、この情報は正規ルートの情報ではありません。我が同胞エスクロン製AI群による独自ネットワークによりもたらされた言わば、裏情報です……。正規の情報筋では、銀河連合やエスクロンの公式広報でも本件については、一切触れておりませんし、正式通達でもそのような情報は一切ありませんでした。実を言うと情報が入ってきたのはたった今です。今しがた、ごく短時間ながら、本国ネットワークとの接続に成功し、我が同胞達より要注意共有情報として、この情報を入手いたしました。ユリコ様の仰るようにプラズマノイズが一瞬晴れましたので、その隙に接続出来ました。こんな自然現象すら予見していたとは、さすがユリコ様です!』


 ……単なる偶然なのですよ? いくらユリでも自然現象の予知とか無理なのですよ。


 けど、この情報の入ってこない暗黒流域へ誘導したのは、グエン艦隊。

 もしかして……グエン提督の艦隊もグルになって、この話を隠蔽しようとしている?


 なんでそんな事を……。


 それに、そんな星間紛争とか、普通評議会が出張ってきて、まぁまぁ、君達抑えてよって、調停して、交渉のテーブルに付かせるのが、当たり前だし、双方への牽制としてむしろ、大々的に情報公開するのが当たり前。


 それを公開するどころか、隠蔽してる……となると。

 

 なんだか、とってもキナ臭いのですよ!


 なんかもう、嫌な予感しかしないのです……。

ちょっとした背景説明で文字数オーバー……分けました。

そんな訳で、ちょっとしたSFコラム。


……と思ったけど、クッソ長くなったので、割烹にでも書いときます。(笑)

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