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宇宙(そら)きゃんっ! 私、ぼっち女子高生だったんだけど、転校先で惑星降下アウトドア始めたら、女の子にモテモテになりました!  作者: MITT


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第四十六話「フルコースディナー」⑤

「あ、あの時はすみませんでした。いやはや、うちの標準機とノーマル戦闘AIじゃ、グエン艦隊の皆様の相手になりそうもなかったから、助っ人としてユリコに参戦してもらったんですよ。ちなみに、あの白鴉は遠隔VR機だったんで、バグとかじゃなくて、本人が直接動かしてたんですよ。うちのユリコも大したものでしょう?」


 まさかのエリコ姉さまのフレンドリーファイア!

 

 ここでそれを言う?


 何故か、疾風さんと祥鳳さんがドヤ顔で胸を張ってる。

 

 なんで?


「そっか。そう言う事だったのね……。戦闘シミュレーションデータにしては、動きが半端じゃなかったからねぇ……。相当ヤバいデータだって話聞いてたから、こっちも色々対策立ててたんだけど、実際でてきたら、ステルス持ちの上に動きの時点で事前データが意味ないって悟ったわよ」


「千歳と千代田なんぞ、自信満々で艦載機けしかけたら、あっさり秒殺されて、揃って涙目になって縮み上がってたからなぁ……。俺も見てたが、なんかもうUFOみてぇな動きだったぜ……。俺の知ってる戦闘機の動きじゃなかったな……」


「と言うか、誰かアレ相手に勝てた子っているの? うちの駆逐艦連中も後から個別でタイマン勝負で戦闘シミュレーションしたけど、揃って討ち死に……。うちは防空がいまいちって事で課題も出来たからいいんだけどさ。アレがきっかけで、千歳も千代田も防空戦闘機の強化と防空戦術の見直ししてくれたからねぇ……。バカ砲塔も半減してくれて、かなりマシになったから、いい薬ではあったのよね」


「あっしも、軽く沈められてるっすよ? エスクロンさんとのVR演習って、緑のノーマル機だけなら、まだなんとかなるんスけど、白いのが出て来ると「あ、祥鳳沈んだ」ってのがあっしら護衛艦の認識でしたね」


「確かに、たまに抜き打ちで白いの混ざってくると、百発百中で沈められてるわよっ! あの白いのって電探が役に立たないから目視で当てるしか無いんだけど、こっちの直掩機まとめて軽く蹴散らした挙げ句、対空砲の十字砲火も紙一重でひらひら避けて爆撃してくるし、とんでもない高さから、いきなり狙撃してきて軽く甲板直撃とかやってくるのよね。おまけに、プラズマ雲の下に逃げても、煙幕炊いてもお構いなし! あり得ないーって何回も叫んじゃったわよ」


「あれ、訳解んないっすねぇ……。FSCのAIも機動解析不能とか匙投げちゃったし……。初霜さんは、無心になって殺気を感じれれば、ある程度動きが読めるって言ってったっすけど……」


「結論として、オリジナルと戦場では絶対会いたくないっ! その可能性が無いってのは、私達にとっては僥倖よね……。そっか、あれってやっぱり、オリジナルの直接操作機だったんだ。って言うか、あんなチート機、誰も勝てないよ……エリコさんヒドスッ!」


「あ、あれですよ。祥鳳さんも慣れてくると調子に乗る癖があるみたいだから、要所要所でユリコにテコ入れ参戦を頼んでたんですよ。VR演習でも程よい緊張感がないと……。「白鴉」については、ノーマル機だと、ユリコの操縦についていけなくって、専用カスタム機実装したんですけど。この子の無茶振りに応えるべくこっちも頑張ったら、規格外のチート機が出来てしまって……。あ、もちろん今の技術で実現可能な範囲でのカスタム機で、実機も作られてるんですよ。もっとも、戦闘AIでは機体性能をまともに発揮できない上に、実戦に出す気は毛頭ないんで、いわゆる概念実証機なんですけどね」


 なるほどー。

 祥鳳さんの練度が上がって、互角の条件で負けだしたら、ユリの出番……だったのです。

 

 超空間通信規制条約ガン無視で、コロニー内に超小型超空間通信ユニットを設置するなんて、無茶やった上で専用の大容量超空間通信帯域を確保してくれたし、一時間位で終わるからって毎回気軽に引き受けてたけど。

 

 やられた側の事って、一切考えてなかった。

 

 どうせVRだし……ゲーム感覚でチート機無双とか、別にいいじゃないとか気軽に考えてたけど、AIでもあるスターシスターズにとっては、VRも現実も大差ない。


 やられてショックなのは、ユリ達以上……なのかも。

 

 でも、手加減無用って言われてたしー!

 

 カスタム機の白鴉にしたって、不満や要望なんでも聞くってエンジニアさん達が言うから、自重しなかっただけだしー。


 ちなみに、実機の生産コストはノーマル機の軽く100機分くらいって言ってた!

 

 聞いた話だと、ユリの要望に応えるために、各種技術も三世代くらいすっ飛ばしたとかそんな話も聞いてるのですよ……。


 けど、あれ。

 ホントに実機作っちゃってるんだよね……。

 

「アレには、このわたしですら沈められましたからね。祥鳳さんを援護して一度は追い払うことは出来たんですけど、まさかこっちを先に狙ってくるなんて……。雲上ダイブアタックも、ギリギリ落としたつもりで安心してたんですけどね。まさか、二機重なってたなんて……。無傷で頭上取られた時はVRだという事を忘れて、死を覚悟しましたよ。実際、軽く沈められたんですけど……あれはもう、発想の時点で完敗でしたね」


 ……そのシチェーションにも覚えがあるのですよ。


 祥鳳との演習中、やたら的確に動いて、巧妙に弾幕張られて、射撃ポジションを取らしてくれない上にスレイブ機を次々撃破する厄介な護衛駆逐艦がいて、もう真っ先に潰そうと決めて、スレイブ機を一機捨て駒にして、ピッタリ後ろにくっついてのプラズマ雲越しダイブアタックを敢行。


 プラズマ雲の中にも関わらず、先行させた一機はあっさり蜂の巣になったんだけど、向こうは捨て駒を落とした時点で安心してたらしく、雲を抜けたら完全に無防備状態。


 バイタルパートへのレールガン直撃で撃沈判定になってたけど、あれって初霜ちゃんだったのね。

 いや、騙し討みたいなので沈めたってだけで、まともに戦ったら、かなり厳しかったと思う。


 プラズマ雲越しで迎撃とか、軽く神業だよ……アレ。


 プラズマ雲って本来、突っ込んだら対策してない航空機なんて、そっこーで爆発して終わる。

 

 近づくだけでも放電食らって危ない……その代わり、中に入るとレーダーでも目視でも、居場所が掴めなくなる安地でもあるのですよ。


 一応、プラズマ雲対策としては、強力な対電磁シールドを装備の上で、音速超えの最大加速状態で突っ込んで、エンジン停止状態でのフリーダイブでの強行突破。

 

 もっとも、コクピット内とか帯電しまくりの上に、音速での急角度反転上昇時のGともなると、瞬間20Gとか行くから、生身の人間が乗ってとか、絶対無理だし、そんな無茶な機動に耐えられるような機体なんて白鴉くらい。

 

 白鴉とユリの組み合わせでないと、まず不可能のチート技なのですよ。

 それに対応した初霜ちゃんがヤバいと思うのですよ。

 

 けど、こ、このままだとユリ被害者の会結成の予感?


「……なんと言うか、聞きしに勝るってところだねぇ。ちょっと色々記録データ見てみたけど、この白鴉ってカスタムゼロスナイパー、毎回毎回使う戦術もバラバラで、いちいちやってることがエグい……無茶、奇策のオンパレード。よくこんな酷いやり口考えつくよ……そもそも、なんでプラズマ雲を無傷で抜けて来れるんだい? 黒船の音速飛翔種だって、プラズマ雲は避けるのに……。この白鴉って機体色々おかしいんじゃない?」


「一応、実機も完成してますよ。まぁ、コストはキロメートル級の宇宙戦艦一隻作れるくらいになりましたけど。前倒しで実現した数世代先の技術開発費とかも入れたら、バカみたいな予算かかりましたけど、相応の技術フィードバックも得られたので、技術開発としては上々ってところですね。プラズマ雲対策は新開発の超小型対電磁シールドと、コスト度外視の超軽量、超高強度の超耐熱新素材の採用により、実現可能となりました。さすがに、実機の外観はもうゼロとかかけ離れてて、重力圏降下戦闘機みたいなシルエットになってますけどね。スペック上は単独での惑星大気圏突入はもちろん、ブースター付ければ、単独離脱も可能ですよ」


「……なにその、ボクの考えた最強戦闘機? オーバースペックもいいとこじゃないの……あれだね。STGの自機とかそんなのみたいだね。……各種推定スペックもちょっとした怪物だな。こんなの相手じゃ、スターシスターズも翻弄されるだろうさ。うちの天霧も陸の上で軽く敗退してるし、エスクロンとのVR演習でお前もヤバいのに沈められたって言ってたけど、やっぱこの白鴉相手か?」


「そうです。このチート戦闘機ですよ! レーザー食らっても平気で生きてて、むしろ、お前が先に死ねって感じでレールガンぶっ放してきたアンチクショウ! 私、VR空間でも陸戦でもこの子に負けっぱなしなんですよ。いいですよーだ。私駄目霧って改名しますから……」


 天霧さんがしゃがみこんでイジケてる。


 天霧さんに至っては、いつ沈めたか覚えてない。

 でも、この様子からするとユリの被害者っぽいのですよ……。


 ちなみに、対空レーザーに関しても、100mm級の重レーザーでも5秒は耐えられるようになってるのですよ。


 なお、5秒ってのは装甲が融解するんじゃなくて、各所の潤滑剤とかが加熱引火して、機体が燃えて火達磨になるまでの時間……ちなみに、レーザーの照射時間なんて普通は長くて2秒くらい。


 砲塔使い捨てるつもりでのバースト射撃なら、10秒くらいは頑張れるけど。

 固定目標でもない限り、そんな長々と当て続けるのは無理。


 融点が一万度とかべらぼうに高い新素材使ってるとかで、その辺りが超ハイコストの原因。

 そんなのの実機の製造許可とか、よく降りたなぁって思うのですよ。

 

 と言うか、お姉さまも良くない!

 あんなチート機使わせるなんて、反則なのですよ。


 でも、すでに同スペックの実機が完成してるってのは、本当の話で、エスクロン中継港付近での無人フライトテストなんかの実績もあって、デチューンした量産機なんかも先行試作機が作られてたり、本格的なプロジェクトになってるみたいなのですよ……。


 ちなみに、ユリが実機に乗った上でのフライトテストの予定もしっかり入ってるのですよ……。

 

 おまけにエーテルの空を制するとか言うコンセプトの概念実証機のVRテスト予定もあるし……。

 コードネーム「八咫烏」だっけかな?


 開発中の高収束大口径レーザーキャノンで、エーテル空間の分厚い大気を力技でぶち抜き、アウトレンジ戦術であらゆる飛翔体を瞬時に焼き払うやっぱりチートな空中戦艦みたいな航空兵器らしい。


 詳細はユリもよく解んない。

 でも、音速程度の飛翔体相手に、そんな高収束大口径レーザーなんて、反則だと思う。


 なお、大きさは軽く翼長100mくらいの超大型機で、地上用の大型輸送機みたいなシルエットで、機動戦闘とか論外なんだけど。


 装甲素材に例の超耐熱合金素材を採用し、超小型の熱核融合炉と高性能放熱システムの採用で、防御力や継戦能力も高い……要するに一騎当千の空中砲台ってコンセプトで、空中殲滅機って物騒な名前で呼んでるらしい。


 一体何と戦うつもりなんだろうって感じの超兵器作るのって、エスクロンのお家芸みたいなもんなんだけど。

 

 エーテル空間戦闘技術開発に、これでもかってくらい予算投入して、ヒューマンリソースも怒涛の勢いで投入してるから、ユリのお仕事ってそんな超兵器のテストパイロットとか、そんなになるかも……。


 クオン・エスクロン間の超高速の専用超空間通信回線とか作っちゃってるくらいだから、遠隔VRでのテストパイロットとかもガンガンやらされそうな予感……。


「まぁ、そう言うな。相手が悪かった……それに尽きるよ。しっかし、それを考えると、カイオスって本気で馬鹿だな。銀河連合の精鋭を手もなくあしらうような怪物を捕獲しようだなんて、ライオンを素手で捕獲しようとするようなもんだろ。けど、もしアイツにユリコさんが捕獲されてたら、どうなってたんだい? エスクロンもそれ位、覚悟の上だったんだろ?」


 ……怪物って……捕獲って……。

 遥さん、言い方……なのですよ。


 ユリはそんな猛獣とかとは違う……と思うのですよ。

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