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第三十三話「たったひとつの命を賭けて!」①

 813:名前:ソルジャーH


 ……任務了解。

 これより、流入阻止ミッションを開始する。


 手近な奴は、俺の所に集まれ!


 814:名前:ソルジャーI


 同じく、コードβ了解した。

 こっちは屋台ストリートにいるんだが、どうやら少佐の俺が最高階級らしい。


 よって現場指揮は俺が受け持つ。

 今んとこ人数は現時点で二個小隊50人ってとこか。


 増援もぼちぼち来てるから、最終的には倍にはなるんじゃねぇかな。

 

 ぶっちゃけ一番やばいポジションだが、生き残ったらハクは付く事請け合いだぜ?


 815:名前:ソルジャーJ


 少佐殿、アンタめっちゃ近いじゃないですか。

 さては、こうなるのを見込んで、そこに居たんスね?

 

 でも、ノブリス・オブリージュとかカッコつけてないで、もっと隅っこに行ったってくださいよ。

 戦闘用サイボーグやら強化人間同士がやりあってるすぐ側なんていたら、高確率で死にますよ?


 816:名前:ソルジャーI


 そうは行くか、ヴォケ。

 先任曹長じゃねぇけど、管理職ってのは率先して、前に出る……でねぇと、誰も付いてこねぇよ。


 少佐の俺が真っ先に隅っこに引っ込んで高みの見物とか、んなかっこ悪い事出来るかよ。


 817:名前:ソルジャーJ


 しゃあないっすねぇ……。

 いざって時は少佐殿をはっ倒してでも、お守りしますよ。


 まっさきに指揮官死なせるなんてのは、兵隊にとっちゃ恥なんすから。

 死ぬ順番は俺ら平兵士が先なんですから、下がった、下がった!

 

 818:名前:名もなき紳士

 

 ちょ、ちょっと待てよっ!

 あんな雑踏の中で戦闘用サイボーグ同士でドンパチやろうってのか!

 

 さすがにそれはちょっと洒落にならんぞ……。

 大体、避難誘導なんて始めたら、敵にも勘付かれんだろ!

 

 頼むから無茶するなっ! 何とか……穏便に済ませられないのかよ!

 お兄さんも……アンタ、すっげぇ偉い人なんだろ……ちょっとまってくれ!

 

 819:名前:メディック

 

 コレは将棋で言えば、王手……チェスなら、チェックメイト一歩手前。

 私達もなりふり構わず、総力を尽くして、敵の目的を打ち崩す。

 

 どのみち、私達の最高指揮官からの直接指示が出た以上、私達はそのオーダーをやりとげなくちゃいけない。

 コードβ発令……これは、エスクロンそのものが戦時体制へと入ると言う意味なの。

 

 その程度には、エンジェルの拿捕という事態は深刻……何より、敵は超えてはならない一線を越えようとしている。

 ここは、断じて譲れない……私もCEOの決断を支持するわ。


 820:名前:ホワイトクロック


 そうだな……ここが阻止限界点って奴だ。

 エンジェルガードプロジェクトは、そもそも敵をエンジェルの側に寄せ付けない、ガードの固さを見せつけることで相手のやる気を挫くってのが、目的だからな。


 エンジェルの間近に敵の接近を許してしまった時点で、プランとしては破綻している。

 現状、すでに拿捕されたと言う最悪想定で話をすすめる他ない。


 だが、強制奪還となると、そりゃもう戦争行為だ。

 であるからには、シュヴァルツへ正式に宣戦布告の上でこちらも能動攻勢に出る……どっちかと言うと政治的な理由だがね。


 コードβってのは、そう言うことだ。

 

 民間人の被害については、心配御無用だ。

 うちはテロリスト相手の非対称戦もお手の物だからな。

 

 なにせ、宇宙軍でも指折りの地上戦専門部隊……その手の相手とだって、何度もやりあってる……言わば、カウンターテロの専門家。

 だからこそ、俺達がクオンに派遣されたんだよ。

 

 対テロリスト戦の実績なら、間違いなく銀河連合トップクラスを誇る……こういった群衆に紛れ込んだテロリスト対策もバッチリさ。

 

 こう言うケースの場合、まずうちの兵隊で動線の入口を抑えてから、群衆に障壁シールド持たせた平服着た兵隊をしれっと混ぜ込んで行く事になる。

 

 群衆の大半をカバー出来るくらいに、兵隊送り込んだら、作戦決行。 

 兵隊達はシールド張って、一般人をガードして、戦闘員は速やかにテロリストを排除。


 まぁ、大まかに言うとこんな感じだな。


 821:名前:メディック

 

 もっとも、さすがに犠牲ゼロって訳には行かないけどね。


 コレなら一般人に犠牲はほとんど出ない。

 惑星テルーゼンのグラスゴート広場乱射自爆テロだって、民間人の盾になって、数人の兵隊が殉職しただけで、民間人の犠牲はゼロに抑えたからね。

 

 ちゃんと実績もあるし、皆、VRシミュレーションでの想定訓練を何度もやってるから、今回も上手くやってくれるはずよ。

 

 822:名前:名もなき紳士

 

 あの胸糞ワリィ事件か……ブルーアースのテロリストが武器の起こす悲劇を演出とか言ってやらかしたって噂だったが、結局ウヤムヤになっちまったんだよな……。

 

 そういや、テルーゼンって、エスクロン系の惑星国家だったっけ……。

 奇跡の民間人死者ゼロとかやってたけど、あれ鎮圧したのってお前らだったんだな。


 けど、兵隊の殉職って……そんな事、軽く言うなよ!

 あの時だって、数人どころか、軽く二桁は死んでるじゃねぇかよ……。

 

 くそっ! ソルジャー君達……死ぬんじゃねぇぞ!

 頼むから、命は大事にしてくれ……!


 お、俺にもなにか出来ることってないかな?


 823:名前:ホワイトクロック


 その気持ちだけで十分だ。

 涙が出るほど、ありがてぇぜ?

 

 この場は俺たちに任せとけ。

 なぁに……俺らの犠牲なんて、気にすんな。

 俺たち兵隊のお仕事は、民間人を体張って守る事だからな。


 何人かおっちんだ所でそんなもん日常茶飯事だし、そりゃ本望ってもんだ。

 こう言う危なっかしい事は、本職に任せときな。


 824:名前:ソルジャーH


 おう、大将! とりあえず、俺達で壁作って意図的に渋滞引き起こして、新たな民間人の流入は阻止してるぜ。


 なんせ、見守り隊のヤツっぽいのがいきなりここで手品ショー始めたせいで、皆そっちに注目してるからな。

 しばらく、時間は稼げるはずだ……こりゃ、悪くない展開だな。

 俺らじゃこんなの思いつかなかったぜ。


 825:名前:手品師


 まったく、手習いの宴会芸がこんな所で役に立つとはねぇ……。

 打ち上げ会で披露しようと手品セット持ってきててよかった。

 

 はーい! 皆さん、ご注目-!


 ほぉらっ! 何もないところから花束が! すごいでしょーっ!

 次は鳩やるよ-! 鳩!


 まぁ、ロボットなんですけどね! バサバサバサーっ!

 

 826:名前:ソルジャーH


 手品師さん、GJ! いやぁ、流入阻止って、渋滞作ってもちんたら歩くな! ってキレられたり、無理やり間すり抜けたり、迂回して行こうとするやつが居て、結構上手く行かないんだよな……。


 手品師さんの周りで、自然に人の流れが止まってるし、理由も一目瞭然だから、不満も出てないみたいだ。

 

 お、なんかパントマイムも始まった。

 

 君等、なかなか芸達者なんだねぇ!


 827:名前:パントマイムの人


 へへっ、なんか超ウケてるし。

 こう言うストリートパフォーマンスも最近は、どこ行っても禁止ってやられちゃってね。

 おかげで、自然引退って感じになっちゃって、やるの久々だけどやっぱ楽しいっ!


 まぁ、昔とった杵柄って奴なんで、手品師さんとも絡んで、いっちょ盛大に観客を沸かして、足止めしてやろうじゃないか!


 うーん、おいらみたいなのでも、お役に立てて、嬉しいねっ!

 

 いや、ここは俺達に任せて、先に行けって言うところかな?


 828:名前:手品師


 その台詞だと、なんか俺ら死にそうだよ?


 はい、お次は箱から箱へワープ! イリュージョンッ!


 ちなみに、ネタバラシすると、この箱……真ん中部分が光学迷彩になってる横長の箱なのよ。

 実は結構ハイテク機器。(笑)


 あ、パントマイムさん、箱の真ん中磨かないでね?

 それ、パントマイムじゃないし、ネタバレしそうなんだけど……。


 829:名前:ソルジャーI


 実に良い展開だな……流れこっち来てるな。

 屋台ストリート内部に仲間達も続々と集まって来て、順調に展開中だ。

 

 屋台の学生達も一軒に付き、シールド持ちが一人づつ張り付いてるし、群衆にもいい感じの間隔で兵隊が張り付いてる。


 流入が完全に止まったから、徐々に雑踏に隙間が出来てきてるな。

 これなら、十分守りきれそうだ。

 

 野郎共、手はずを再確認するぞ?

 合図があり次第、片っ端から手近な一般人を引き倒して伏せさせて、ALスモーク焚いて、シールド展開して徹底ガードするのみ!

 

 俺らのやることは至ってシンプル……人の命を守る……まさに本懐だっ!

 

 エスクロン市民だったら、銃声一発でも響かせりゃ一斉に地面に伏せてくれるんだが……さすがに、ここの学生やら一般人やらにそこまで望むのは無理か。

 

 と言うか、集団パニック起こされるのが一番厄介なんだが……その可能性が高そうなんだよな。


 こりゃちょっとばかり、難易度高そうだな……だが、やるしかねぇか。

 変に逃げ出そうとしたり、暴れるやつがいたら、拘束ワイヤー使っても構わんからな……ふん縛っとけば、大抵おとなしくなる。


 830:名前:名もなき紳士


 俺達も手伝うぜ!

 シールドって、歩道なんかに張られてる障壁シールドと同じやつなんだろ?


 歩くくらいの勢いなら、スルッと抜けれるけど、車とか突っ込んできたり、強い衝撃受けるとビヨンって弾き返すやつだろ?

 

 それなら、俺達が一般人抱えて、シールドの中に飛び込むくらいはできそうだ。

 それくらい、手伝わせてもらおう!


 831:名前:ソルジャーI


 よく知ってるな……まぁ、衝撃緩衝システムの延長線で、民生用も軍用もモノは大差ないからな。

 いわゆる、ガードレールでお馴染みな奴だな。

 

 こっちのは半径5mほどを半球状に覆うタイプだ。


 ハンディタイプのクセに最大出力なら戦車にぶちかまされても平気って代物だ。

 

 本来の用途としては、砲爆撃食らってるときに、塹壕掘って蓋にするって感じなんだがな。

 

 あまり長くはもたねぇし、アンチマテリアルレールガン辺りになると、さすがにスパスパ抜かれるけど、手榴弾の爆発やサブマシンタイプの小口径電磁加速弾程度なら耐えられるはずだ。


 832:名前:名もなき紳士


 そいつはすげぇな……さすが軍用品。

 

 要はソルジャー達の近くが安地ってこったな。

 当然、取りこぼしが出るだろうから、フォローが必要だろ?

 

 俺らに任せな! 俺らも暇な時は筋トレとかやって、鍛えてるからな!

 人一人抱えて走るくらいならなんとかなるさ!


 833:名前:名もなき紳士


 だな……現場にいる見守り隊! ここは男を見せるときだ!

 それ以外の奴らも自分達のスキルを活用して出来る限りの掩護をしようっ!


 本日のハイライト……クライマックスって感じだぜ!

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