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小手調べ

 ブルりと肩を震わせる。地下牢の階段を上ると柔らかな日差しが差し込んでいた。もう、夕方だ。

 後ろを向けば、月が昇り始めているのが見える。


 王様に檻から解放してもらい、今は城に向かっているところだ。地下牢の出口は城庭に繋がっていた。入り口とは違う所だ。


 城に向かうまでの間、この国の説明でもしようと思う。国の名は『カマーセルト』。世界地図で位置を確認すると凄く小さい田舎の国であった記憶がある。小規模な国だが、治安も良く戦争も起きていない、それは同盟を組む王様の弟の国、大国『サマーセルト』のおかげである。

 余計な情報かと思うが、なんでもマーセルトというのが、家名なんだとか。これは、オレが去年まで在学していた学院で習ったことだ。


 他の情報としては、我が国『カマーセルト』は聖槍グングニルを所持している。これも、弟の国『サマーセルト』で管理されていた物だが兄に譲ったそうだ。

 食料管理は全て『サマーセルト』に一任されている。というのも、国土が狭いので食料生産ができないのだ。


 弟に全て頼り切りな国だが、誇れる点があるならそれは『ギルド』の数だろう。この国にはありとあらゆる『ギルド』が存在する。例えば、ミオンが所属する『メイドギルド』。これなんかは、メイドだけで構成された異質なギルドである。

 もっと特殊なギルドでは『オネエギルド』なんて恐ろしい物が存在する。あくまで都市伝説の一部だが、裏世界を牛耳るボスがいるらしい。

 とまあ、この国で誇れる点はそんな所しかない。残念な国だが、オレは嫌いじゃない。


 余談だが、王様曰く「わしは弟が大好きだ。弟の威厳を守る為に言うが、わしより太ってないし、わしの数倍は優秀じゃ」、だそうだ。

 そろそろ、城に着くのでお喋りはまた今度とするか。



◇◆◇



 王様と城内をあちこち歩き回り、やっとの事で王の間に到着した。途中、昇ったり、下ったりしたがおかしな構造の城だな。


 王様は玉座につくと、ゆっくりと腰を降ろした。その際にタプンと腹が揺れる。だらしない腹だな。


 「日も落ちかかっていることじゃし、用件を手短に伝えるぞ。おい、あれを持ってこい」


 王様が呼びかけると近くにいた従者と思われる人から一枚のかみを渡された。そこには、こう書かれていた。




1,今から実力テストをやるぞ。テストは組み手をしてもらう。聖剣エクスカリバーの実力をみるため。


2,ご家族には既に衛兵として住み込みで働く事の承認を受けている。部屋を用意したので、そこで寝るように。


3,万が一、聖剣エクスカリバーが欠けたり、錆びたりするといけないので、毎日磨くように。


4,朝食、昼食、夕食はこちらで用意している。昼食、夕食は外食でもいいが、仕事はしっかりとやるように。


5,この手紙を読み終える頃にはわしはもう、寝ているだろう。




 顔を上げ、玉座を見る。従者と思しき人たちが寝てしまった王様を運ぼうとしている最中だった。それも、凄く重そうに。


 てか、寝るのはっや!まだ、日が暮れたばっかりだぞ!?あれか、日の出と共に起き、日の入りと共に寝る古代人のような生活を送っている人なのか!?ますます、王様が掴めなくなってきたな!聞きたい事もあったのに!


 オレが驚いていると、先程まで王様を運んでいた人の一人が話しかけてきた。若い女性だった。


 「誠に申し訳ございません。王様は我々とは違った特殊な方ですのであれが普段通りでございます」

 「はあ、それは特殊な方ですね、わかります」


 少しの間、喋っていただけでもわかってしまった。分かりたくなかったが。


 「こちらへ来ていただけますか?テストを行いますので」

 「はい」

 「あちらの方が見えるでしょか?あの方がお相手です、名前はシャプナー・グラッケンといいます、あの方も少し変わっておられますがいい方ですよ」


 指を向けられた方を見ると、扉の前に長い金髪の男がいた。

あいつがシャプナーか、あ、手を振ってくれてる。返しておこう。手を振り返したら、シャプナーは扉の向こうへ行ってしまった。

 隣を見ると、女性がなんとも言えない表情をしていた。

オレの視線に気づいたのか、おもむろに口を開く。


 「大変言いにくいのですが、あの方は同性愛者でございます。だから、その、手を振り返したことで……」


 はぁー、手を振り返したら、今度はケツを掘り返すってか?

 笑えない冗談だ。

 オレはホモでもゲイでもないので、「よろしく」とはならない、数分前のオレをぶん殴りに行きたい。

 てことは、扉の向こうに行ってしまったのは顔がニヤけて、オレに見せたくなかったからとか?んな、アホな。最悪だ。


 「あー、えっと…申し訳ございません。私が事前に言っておけば」

 「うん、まあ、それは、ね?最悪だ…」


 ホモは諦めが悪いって聞くからね、しょうがないね。


 「では、こちらで着替えて奥の扉を開ければ練習場ですので、頑張って下さい、失礼しました」


 ガチャリと、扉に鍵をかけて出て行った。それも外から、なんで中からは開けられない仕組みになっているんでしょうか。

はあ、憂鬱だ。これも、それも全部オレのチン◯コが聖剣になったせいだ。そう考えると、無性に腹が立ってきたな。


 この怒りをパワーに変えて、ぶつけてやろう、そう考えてオレは扉を開けた。



読んで頂きありがとう御座います。m(_ _)m

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