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法律

 母を待つこと、数時間。やっと母が帰ってきた。意外に遅かった事に驚いた。どうせ向こうで談笑していたのであろうな。オレのチン◯コの話題で。

 母が帰って来たということは、あいつも来ていると言うわけだ。いささか緊張するが、普段通りでいよう。


 「ただいま~!帰って来たわよ~。いやー、向こうでアーサーの事を話したら、もう大ウケで、楽しかったわ、フフッ」

 「おかえり」

 

 ほら見たことか、人のチン◯コの話題で盛り上がるのはどうかと思うがな。予想通りだったので驚きはない。


 「ほら、ミオンちゃんを呼んで来たわよ。懐かしいわね、何年ぶりかしら?」

 「五年ぶりです。失礼いたします」


 ミオン・クリスタ。オレより年上で十七だったか、それぐらいだった気がする。過去に路上で捨てられていたのをギルドが拾ったらしい。らしい、というのも、それが五歳の頃だと言うので、記憶に残っていないのだ。

 それと、母はあんな性格なので気にしていないが、コイツは凄く礼儀正しく、年下のオレに対してまで敬語で話す少し変わった奴だ。それがどうにもむず痒く、オレは苦手なのだ。昔はもう少し砕けていたと思うのだが。


 「アーサーも久しぶりです。元気にしていましたか?変わったことはありましたか?あっ…」


 変わったことは、チン◯コが聖剣になっていることぐらい。それに気づいたミオンは、なんとも居たたまれない顔をする。

 いや、違うか、オレが下半身半裸ということに気づいただけか。


 「おう、久しぶり。変わったことは見ての通りだ」

 「本当にお、おちん◯んが無くなってしまったのですか……。話を聞かせて貰った時は信じられませんでした。こんなことが起きるなんて…」

 「おちん◯んって、女の子がそんな卑猥な単語言うなよ!」

 「あら~、ミオンちゃん!男の子はおち◯ぽって言われると喜ぶのよ~!さあ、言ってあげて!」

 「お、お、おち……」

 「いい!言わなくていいから!ちょっと母さん!ミオンに何言わせようとしてんだよ!?」


 まったく、とんだ母親である。言わせた後の雰囲気をどうするつもりなのかも考えてないだろうに…。仮にも母さんも女だというのに。


 「フフッ、ごめんなさいね。じゃあ、早速採寸を始めてちょうだい!母さんは向こうでご飯を作ってるから!後はしっぽり…」

 「しっぽり…?」


 ミオンは知らないようで良かった。しっぽりも、こってりも、ずっぽりも、もっこりもないよ。そんな雰囲気になるわけもないし。


 「はいはい、分かったから、母さんは出て行ってねー。ほら、ミオンはやくするぞ」

 「分かりました。わぁ……凄く大きいです…」


 うーむ、そういうセリフは凄く背徳感があってよろしいのだけれど、ミオンが見ているのはオレの聖剣エクスカリバーであって、オレのチン◯コではない。出来れば、本物の時に言って貰いたかった。


 ミオンはオレの腰にメジャーを回し、サイズを測り始めた。次に太ももを測る。下半身半裸ということを忘れてはいけない。

ミオンは頬を赤く染めるが、恥ずかしいのだろう。いくらチン◯コが無いとはいえ、男性の下半身を触っているのである。事実、オレだって恥ずかしい。


 「体から生えているのですか……。これには驚きです」

 「ああ…まあ、そうだな」


 会話とも言えない会話をし、それから先は続かなかった。

 一体いかほどの時間がたったのか。


 「ふぅ……、終わりました。では、私は一度ギルドに戻って作って来ますので、失礼しました」


 ミオンは扉を開け、足早に駆けていってしまった。

 随分と速かった気がするが、それは切実に終わるのをのぞんでいたからであろう。額の汗を拭い、なんだか暑いなー、と思いつつ、服をパタパタする。


 「はーい、また来てねー!」


 母は遠くなりつつあるミオンの背中に言葉をかけたのだった。


 「それで…しっぽり?」

 「やらないよっ!!」


 やろうにも出来ない体であるという事は言う必要は無い筈だ。



◇◆◇



 家の扉がノックされる。そこには、やはりミオンがいた。

手には剣の鞘のような物と完成されたオレのズボンが抱えられていた。


 「その、鞘はなんだ?まさか、それを装着しろと?」


 気になった事を聞いてみる。しかし、そうであるならば問題が発生するのではないだろうか。


 「そうです。これは、我がギルドで大切に保管されていた『魔法の鞘』らしいです、破れる事はないので安心してください」

 「オレが心配していたのはビジュアル的に大丈夫か?ってことなんだが……。まあ、せっかくだし、着けてみよう」


 すっぽりとハマった。それはもう、見事にぴったりと。聖剣全体が隠されるようになったせいで、アレがアレしてるように見えてくる。


 「これ、アウトですよね!?こんなん着けてたら変態になっちまうよ!?」

 「そうですね……。それに色も相まってか…そ、その……」

「いいじゃない!面白いとは思うけどね!でも、息子が捕まるのは見たくないし……」


 結論的には装着はなしの方向になった。着けてても変態には変わりないのは気にしない。

 そして、本命のズボンの方だが……


 「おお…これは!!」

 「凄くいいわね!!」

 「本当ですか?お褒めに頂き光栄です、一生懸命作った甲斐がある物です」


 後ろから装着するタイプなので、聖剣を気にしないで下半身を隠すことが出来る。そして……


 「前面は敢えて聖剣エクスカリバーを出すことにしました。マザーが言うには、堂々としていたらバレない、だそうなので」


 マザーとはミオンが所属するギルドマスターである。そして、ミオンが尊敬する少ない人でもある。


 確かに…、先程のように魔法の鞘で隠していても悪目立ちしそうだったが、今回はそうでもないかもしれない……?


 「それと、マザーがどっちになるかは決めたのか?とおっしゃってました」

 「どっち?」

 「冒険者か衛兵のことです」

 「あ~、あーうん。そうだった、そうだった」

 

 自分には全くもって関係ない話だと思っていたので、今の今で忘れていた。この国では武器の所持は一般人には、認められていないのだった。免許を持つ人以外は捕まってしまうのだ。


 「しかし、冒険者か、衛兵か……。う~む」

 「アーサーは体の一部が武器になってしまっているので、これは早急に決めるべきものかと」


 「悩んでいるんなら、お城に行ってみたら?聖剣に関わることだし、王様ならなにかいいアドバイスくれるかも?」


 なるほど……、その手があったか。


 「じゃあ、まず城に行ってみるか!聖剣は大切だもんな!よし、行こう!」

 「どうやって城まで行くつもりですか?」

 「それは…ねえ?」


 この日、町中を駆け抜ける大きなチ◯コの生えた化物がいたと、話題になる。これが後の『駆ける男性器事件』である。

今回も読んで頂きありがとう御座います。m(_ _)m。感想などをいただけると嬉しいです。

次回は日曜日。


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