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第七話

朝日によって目を覚ますと、不思議なくらいに気持ちよく起きられた。きっと疲れていた事とベッドの寝心地が良かったからだろう。よく眠れた気がする。


クローディア家のベッドも多分寝心地は良いんだろうけど、昨日のバタバタであんまり寝心地についての感想はなかった。


何処かで聞いたことがあるけど、ベッドというものは柔らか過ぎても体が痛くなるらしい。




そんな事を思い出しながら、カーテンを開けて外を見ると、どうやら城は高台にあるにも関わらず高い城壁に囲まれてるらしい。王都の景色は残念ながら見えなかった。


しかし、城の庭は一望できて、上から見ても柔らかそうな芝生が敷き詰められており、東屋も真っ白で太陽の光を反射しているのか、花や芝生の中でも映えている。


花は色とりどりに咲いているけど、計算されているのか、決してバラバラな印象はなく、庭を華やかな見た目に変えている。


「おお……。もしや、今日のお茶会ってあの東屋でやるのかな?」


独り言も呟いてしまうほどの庭の出来だ。









コンコン、と控えめなノックの後、メイドさんが部屋に入り、私の朝の支度を整えるのだが、今日は昨日よりもコルセットは緩め。気が楽だ。


昨日のコルセット奮闘でメイドさんなどに着替えをしてもらうのも平気になってしまった。一度やってもらうと楽なものだ。


お茶会に間に合うように支度をし、メイドさんの後に続き、お妃様の元へ向かう。


行く途中で1人の男性とすれ違ったので、挨拶を一応したけど、完全無視された。

ちょっと傷ついた。

私は昨日、何かヘマをしたのか……?






場所はやはり東屋だった。近くで見るとまた違う景色だけど、綺麗だ。


東屋のテーブルには紅茶に、憧れのケーキスタンド。

流石、期待していたより上回るお菓子たちだ。

手軽に摘めるクッキーや様々なケーキ、それにシュークリームやマカロンまであって、食べ物だと分かっていても、つい写真を撮りたくなる可愛さだ。


お妃様とのお話もはずみ、お茶会を終いにしようか、という流れになった時に、


「ロザリー様、昨日は王の質問に答えるのに忙しくて、アレクシスと話せなかったでしょう?あの子は今、休憩中だから、お会いになってみては?」


「……! ありがとうございます。」


なんと、お妃様は昨日の私の状況を見兼ねて、アレクシス様と会える時間を教えてくれたようだ。









今はお妃様に教えてもらった、アレクシス様の部屋の前にいる。いや、思ったんだけどさ、私達って恋愛結婚なわけじゃないじゃん?

なのに、せっかくの休憩中にお邪魔するのはどうなんだ?

嫌われるのは怖いけど、挨拶をしないのも悪い気がするんだよなぁ。突撃した方が良いのかもしれない。


「あの! 婚約者になる予定の公爵家ロザリー・クローディアです。」


……何も返事がない。

無礼だとは思うけど、少しドアを開けて部屋を覗き込む。本当にごめんなさい。


「ねえ、何やってんの?」


「ひっ!」


コソコソとした行動をしていたから、突然の声に必要以上に驚いてしまった。

後ろを振り向くと、なんとまあ美人という言葉の似合う線の細い男がいた。


「あんた、人の部屋になんか用?」


問いかけられて、ハッとする。なるほど、こいつがアレクシス様。

紫混じりの黒の瞳は物憂つげで下向きの睫毛に囲まれて神秘的な印象を相手にうえつけるようで、同じ色の髪は肩に毛先が付くくらいの長さでミステリアスな雰囲気を助長している。



私は、元の世界には戻れないので、この世界の田舎とかでスローライフを送りたい。攻略対象に嫌われるのは怖いので、ある程度媚は売ろう。

昨日のイメージを壊すわけにはいかない。


「アレクシス様、私は貴方様の婚約者のロザリー・クローディアです。よろしくお願いしますね!」


「……あぁ、昨日のか。 よろしく。」




媚売るってどうすればいいんだろう。全く分からない。その能力もあげていかなければならないな。

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