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第十二話

あの後、顔を真っ青にしながら、

「お父様には知らせないで!」

と指示を出したせいで、只事でないと判断した召使い達は、お父様が帰ってくる前に全て元どおりにしたらしい。


私の家の召使いって凄い優秀なのね。


お父様は私の婚約が上手くいって、普段よりは機嫌が良いようだ。

ティムにいつもより良いお茶を出すように命令をしていた。


その様子を見て、ティムも苦笑いをしながら、ちらっと私を見た。


「ローズ、いつもより君のお父様は機嫌が良いけど、そんなに上手くいったの?王家相手に?」


やはり、というかなんというか。

客間に私と2人になった途端の一言はこれだった。

お父様は、あまり機嫌が浮き沈みする方ではないからだろう。


「ティム。お父様は、結構な好条件で王家と婚姻を結ぶことが出来て、いつになく喜んでいるわ。私の家を出し抜くなら今が良いんじゃない?」


「はぁ、君は何処まで僕に卑屈な態度を取るんだろうねぇ。淑女ならそこは言わないところだよ。」


うん。やはり、この呆れ返った態度を見るに、双方腐れ縁だと思っているという解釈は間違ってないようだ。



「そんなことよりも、今日は婚約発表の予定を話しに来たんじゃない?」


「うわ、つくづく可愛げのない。……うん。そうだね。周りの奴らは俺ら2人が婚約するものだと思っている。そこをなんと、2人それぞれ、別のやつと婚約したときたら、きっと驚くぞ。」


ワクワクとしたような、子供らしい顔でティムは笑った。

忘れていないだろうか、私達はまだ、年端もいかない子供だ。こんな子供に婚約発表のパーティーについて任せた親が悪いのだ。

存分に楽しんでやろう。


「そうね、驚いてどんな顔するかしら。楽しみだわ。」


「俺らは、最初、まるで2人が婚約したかのように登場するのさ。油断させてから驚かそう。」


2人で、ああでもないこうでもないと言い合っていたら、時間はあっと言う間に過ぎてしまった。



ゲームの中のロザリーも、こんな幼少期を過ごしていたのだろうか。

思っていたよりも、穏やかで楽しい。

ゲームの、あの悪役である故の性格の片鱗は見えるものの、とびっきり性格が悪いわけでもない。

召使いに辛く当たるのも、親にあまり甘やかされない反動であるようにも見える。


まだ主人公である女の子は登場していない。それが原因なのだろうか?

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