第7節 帰り道
「おい、ドミニク--辛くなったら言えよ?」
「ははは・・・・・・ありがと。本当に面目ないよ」
ドミニクはダンテに肩を借りて山道を下っていた。隣にはロックと、栗色の髪をした少女--ユリア・ゴルチエが歩いている。
「ごめんなさい・・・・・・ジェイのせいで・・・・・・」
ユリアは目にうっすらと涙を溜めていた。
「ユリアさんは、ジェイとはどういう関係なんだ?」
ロックがユリアに顔を向ける。
「ジェイは--一年ほど前から家に来て、執事の方と一緒に私を支えてくれた人です・・・・・・彼がどう思ってたか分かりませんが、私は家族みたいに思ってました・・・・・・」
「ジェイがどこから来たとか、その--執事の奴とどういう関係なのか、そう言ったことは何も知らないんだな?」
「はい・・・・・・私から色々聞くこともありましたが、ジェイが不機嫌になってしまうので、あまり聞けませんでした」
「ふん・・・・・・では、この場にいる者の中では、ダンテが一番ジェイについて詳しそうだな」
ロックがダンテを振り向く。
「俺だってほとんど知らねえよ。ミルドだってことと、三年前からレッドグリフォンにいた。そんでドミニクがレッドグリフォンの奴から聞いた話によると、一年前にレッドグリフォンもやめてる」
「では、レッドグリフォンをやめてからゴルチエ邸に来たとして・・・・・・三年以上前、レッドグリフォンに来る前は何をしていたんだ?」
「それこそ知らねえよ。付き合いの悪い奴だったし、仕事以外では滅多に話もしてねぇからな。・・・・・・でも、ボスなら何か知ってるかもしれねぇ」
「ボスとは?」
ロックが首を傾げる。
「あ! そういや、お前! ボスと知り合いだったんだろう!? 何で言わねぇんだよ!」
「はぁ? だからボスって誰だ?」
「レッドグリフォンのボス、コジモ・アルベルティーニだよ!」
「コジモ? あぁ! あのコジモか!? え、レッドグリフォンのボスって、今コジモなのか?」
ロックは目をパチパチと瞬かせる。
「何だ、知らなかったのかよ・・・・・・どういう関係なんだよ」
「ものすごーく昔に、一緒に冒険した仲だ。まだ元気なんだなぁ」
そう言うと、ロックは目を細めて懐かしそうな表情をした。
「まぁ・・・・・・今から行くんだし、思い出話でもしてやってくれ」
「レッドグリフォンにエステルを置いてきたと言っていたな? コジモに任せて来たということか?」
「そうだよ。ボスに任しとけば安心だ。俺より強いしな」
「俺よりは弱かったぞ」
「・・・・・・大抵の奴はそうだろうよ」
ダンテは大きく溜息を吐くと、ドミニクに声をかけて体制を整え直した。
「そう言えば、ダンテ! さっきは助かったぞ! お前を調査官にして本当によかった!」
ロックは思い出したように言うと、ニコニコとダンテに笑いかけた。
「え・・・・・・あ、あれくらい、大したことねぇよ。調査官なんだしな・・・・・・」
「ドミニクもよくやってくれた! お前が『極楽鳥』に『強制送還』させてくれていなかったら、俺達は逃げ切れたかどうか分からん。流石、ヴァレリー家の召喚士なだけあるな! お前の父さんを思い出したぞ!」
「・・・・・・恐れ入ります」
ロックはそれからも二人を褒めちぎりながら上機嫌だった。
二人は人生で初めてというくらい手放しで褒められ、嬉しさを通り越して、かなり恥ずかしかった。




