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第10節 テスト

「う~ん・・・・・・ラッピー戻ってくるまで暇になっちゃったね」

「そうだなぁ。何なら授業の復習でもしとくか?」

「それは何か・・・・・・悠長すぎるような気がするよ」

 エステルとロックは、ラッピーにドミニクを呼びに行かせた後、普通に暇していた。

「クイーン、大丈夫かな・・・・・・ねぇロック、やっぱりクイーンを探しに行った方がいいかな?」

 エステルが心配そうにロックを見上げる。

「屋敷に入るのはドミニクを待ってからの方がいいって言ったのはお前じゃないか」

「うん・・・・・・そうなんだけど、やっぱり心配になっちゃって。て言うか、ロックは何でそんなに冷静なの?」

 さっきから思っていたが、ロックはクイーンのことを全く心配していない。ひどい目に遭わされていない保証なんてないのにあまりにも薄情だ。

「逆に聞くが、お前はどうしてクイーンのことをそんなに心配してるんだ?」

「えっ!?」

 意外な返事にエステルは目を丸くする。

「そんなのクイーンが何されるか分かんないからじゃない! ロックひどいよ! クイーンのこと家族だって言ってたのに!」

「本当にクイーンが、あのじいさんに何かされると思っているのか?」

「へ?」

 質問の趣旨が分からず、エステルはキョトンとする。

「お前は本当に、あのエセ魔法律家にクイーンがどうこうできると思っているのか?」

「エセって・・・・・・『ウィンドバリア』使えたじゃん。それにここまで私達を移転したのだって、あのおじいさんなんだよ?」

「あぁそうだな・・・・・・バカ高い装置を使ってな」

「えっ!?」

「あいつ自信の魔力は並み以下だ。『魔法律家』を名乗るより、『園芸家』を名乗った方がよさそうだな」

 そう言うとロックはおもむろに木の枝に手を伸ばし、真っ赤なリンゴをもぎ取った。少しかじってゆっくりと咀嚼する。

「美味いぞ、お前も食ってみろ」

「さっきダメって言ったじゃん・・・・・・」

「さっきはさっき、今は今だ」

「じゃあ、ちょうだい」

 エステルはロックから新しいリンゴを受け取り、小さくかじった。彼の言うとおり、甘くてとても美味しい。

「お前はクイーンを甘く見すぎだ。あいつが本気を出せば、あの屋敷なんて吹っ飛ぶ」

「え!? じゃあ、どうして吹っ飛んでないの!?」

「何でだろうな。そもそもあの屋敷にいるかどうかも分からんな」

「どういうこと!? 勿体ぶってないで教えてよ!」

 エステルはロックに詰め寄った。

「悪いがお前の勉強のためにもう少し勿体ぶらせてもらう。エステル、下級精霊と中級精霊の違いを答えろ」

「・・・・・・? 違い? えっと・・・・・・魔力の大きさ、質と、ヒトと会話ができるかってことと・・・・・・あっ」

「気付いたようだな・・・・・・」

「魔法陣が無くても、精霊界に帰れること・・・・・・」

 エステルはどっと肩の力が抜けた。

「そうだ。やっと気付いたようだな。クイーンはおそらくここにはいない。精霊界に帰っている」

「う~・・・・・・忘れてたのは悪かったけど、じゃあ今まで私がしてきたことって何だったの~。ラッピー呼びに行かせちゃったじゃん・・・・・・」

 分かっていたのなら呼びに行かせる前に言ってくれればいいのにとエステルは思った。

「うん、まあ、ここまで言っておいてなんだが、これも一つの仮説だ。クイーンが屋敷で捕らわれている可能性もゼロではない」

「でも限りなくゼロに近いんでしょ?」

「まあ、そうだな・・・・・・だが、俺はこれはいい機会かもしれないと思っている」

「どういうこと?」

 エステルは小首を傾げる。


「テストだ! あいつらが、俺の調査官としての役割をちゃんと果たせるかどうか!」


 そう宣言したロックの笑顔は、とてもキラキラしていた--

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