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第5節 オブシディアン

「で、どうすんだよ、これから」

 ダンテが難しい顔をしたままのドミニクに話しかける。ロメオ達も困惑の表情でドミニクの発言を待っていた。

「・・・・・・ロメオさん、このあたりで、さっきのような庭がある場所に心当たりはありませんか?」

 ドミニクはパッと顔を上げると、ロメオの方を向いた。

「え? さっきみたいなの? う~ん・・・・・・この辺はあんまり植物が生息しない土地だからなあ・・・・・・やっぱりターガスの方に行かなくちゃなんないかな」

「ターガスには、植物が多いんですか?」

「いや、花が売ってるってだけだよ。あそこも乾燥した土地だからそんなに植物はないんだけど、花売りに聞いたら分かるんじゃないかな?」

「でも最近、あの花売りの人、来てないけど・・・・・・」

 イルマが口を挟む。

「花売りの方がいらっしゃるんですね? ターガスで花を売っているのはその方だけですか?」

 ドミニクがイルマに顔を向ける。

「えぇ。もう何年も前から馬車でお花を売りに来てたんですけど、ここ1年は誰も姿を見てないって・・・・・・お花を買えなくて、私も困ってたんです」

「あの花売り、もう来てないのか」

 ダンテが少し驚いた表情を浮かべた。

「うん、だから最近はお花をお供えできなくて・・・・・・」

 イルマは少し寂しそうに笑った。

「その花売りの方がどこから来ているのかは分からないのですか?」

「分からないわ。ロメオ、ロベルトさん、知ってる?」

「俺は知らないよ。花買ってくるの、いつも姉さんだったし」

「俺も分かんねぇな」

 ロメオとロベルトは首を振った。

「・・・・・・ギルドで聞けば、分かるかもしれねぇ」

「え・・・・・・?」

 ドミニクはダンテを振り向いた。

「ギルドには、どんな情報でも集まってたからな。聞くならあそこだ。逆にあそこで聞いて分からなかったら、情報は得られないだろうな」

「では、一度ターガスに行ってみましょう。--ちょっと、ディアン! 何してるんだよ!」

 4人が真剣に話し合っている間中、黒紫色の大きな馬は蹄で黙々と地面を大きく抉っていた。

「暇だったのでな。穴を掘っていた」

「意味ないことしなくていいよ! ほら、行くよ! 僕とダンテを乗せて、ターガスまで行って!」

「えっ!? マジかよ!?」

 ダンテは驚きの声を上げた。

「・・・・・・貴様、私の背に乗ることに不満でもあるのか」

オブシディアンは宝石のような目でダンテをギロリと睨んだ。

「いや、そういう意味じゃねぇけど・・・・・・」

「もう! ディアン! つまんないこと言ってないで、早く乗せて!」

 ドミニクはそう言うと、オブシディアンの背にひょいと飛び乗った。

「ダンテも早く!」

「なんかこの状況・・・・・・既視感を覚えるな」

 ダンテはドミニクの後ろからオブシディアンに飛び乗る。ドラゴンとは異なり乗り心地はかなり良かった。

「では、皆さん。ロック先生達が自力で戻ってくる可能性も高いので、その時はターガスに行っているとお伝えください」

「う、うん・・・・・・」

「分かったわ」

「後、3人は乗れそうだなぁ、この馬」

 ドミニクはロメオ達に後を託すと、オブシディアンの首の辺りを優しく撫でた。

「頼むよ、ディアン」

「ふん・・・・・・対価をどれだけ貰えるか楽しみだな」

 オブシディアンは、少し助走を付けると洞窟の前の崖からダイブした。

 目の前でその様子を目撃したロメオ達は息が止まるほど驚いた。しかし、オブシディアンはその姿を振り返ることもなく天馬のように宙を掛けていった。

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