表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/63

第4節 責任重大

 二人はまず気になっていた門まで歩いていった。しかし案の定、固く閉ざされている。

「はぁ・・・・・・やっぱりダメかぁ」

 エステルは小さく肩を落とした。

「ふん・・・・・・頑丈にできてるな。だが問題ない。破壊できる」

 そう言うとロックは、ナチュラルに条文を唱え始めた。

「え!? ちょっと待ってよ!」

「は?」

「クイーンが人質になってるんだよ! 勝手に出たことがバレたら、ヒドいことされちゃうかも!」

 エステルの必死の訴えにロックはポカンとした表情をしている。彼は一瞬、口を開きかけたが、考え直したかのように口を噤んだ。

「ふん・・・・・・それではエステル、お前はこの状況をどうやって打破する?」

 ロックが問いかける。その口振りは時空法の授業のときのようだった。

「え、どうやってって・・・・・・とにかく、クイーンが人質に捕られてる以上、私たちはここを動かない方がいいと思う・・・・・・」

 エステルは思考を続けた。

「あのおじいさんは『極楽鳥』を召喚するのが、クイーンを返す条件だって言ってた。だから、取りあえず、ドミニクさんを呼んでこなくちゃいけないけど・・・・・・」

「どうやって呼ぶ?」

「そこなんだよね・・・・・・」

 エステルは眉間に皺を寄せた。彼女にしては珍しい表情だった。

「あ、そうだ!」

「ん?」

「ラッピーを召喚するよ! ラッピーに、ドミニクさんを呼んできてもらう!」

 エステルは我ながら名案だと思った。ロックも嬉しそうにニコニコ笑っている。

「それはいいかもしれないな。実際、ここがどこなのか俺にもさっぱり分からんが、さっきいた場所からそう遠くは離れていないだろう。あれだけ広い空間を移転するのはかなりの魔力を消費する。距離的には短かったと考えていいだろう」

「うん! あ、でも・・・・・・」

 目の前に立ちはだかる鉄柵を見て、エステルは顔を曇らせた。

「ラッピー・・・・・・太いから通れないかも」

 鉄柵の間隔は狭く、五センチほどしか開いていなかった。これではラッピーはおろか、小鳥さえ出られそうにない。

「ラッピーの名誉のために言っておくが、あいつはプチラピスとしては標準サイズだ」

 デブ扱いされたラッピーをロックが擁護する。

「あ! そうだ!」

 エステルは突然顔を輝かせると、首に巻いていたスカーフを外し鉄柵に近付いた。屈み込んで隙間からスカーフを外へ出す。

「ここで召喚すれば、ラッピーは外に出れるよ!」

「なるほど、考えたな」

 エステルは足元に落ちていた木の枝を隙間に突っ込み、スカーフを丁寧に広げていく。表面にはラッピーの魔法陣が描かれている。

「昨日、頑張って描いてよかったよ~。よ~し、じゃあ行くよ! プチラピス--『ラッピー』!」

 エステルの呼びかけに反応し、魔法陣から青い鳥の精霊が姿を現した。

『ぴ?』

 召喚されたラッピーは不審そうに目をパチクリしている。自分とエステルの間にある鉄柵が気に入らないようだった。

「ごめんね、ラッピー。ラッピーを外に出したかったから、こんな形で召喚しちゃったんだけど・・・・・・ビックリしたよね?」

『ぴぴっ』

 ラッピーは「気にしないでいいっぴ」と言った。

「実はね、私たち、カイラニっていう村の近くの洞窟から、ここに飛ばされて来ちゃったみたいなの。ここがどこなのかは分からないんだけど、カイラニからそんなに離れてないと思う。今、事情があってここから出られないんだけど、とにかくドミニクさんの力が必要なの。ドミニクさん、分かるよね? きっとカイラニの近くにいると思うから、ラッピーに呼んできてほしいの」

 エステルはかいつまんで事情を説明した。

『ぴぴぴ?』

「え、何かな?」

「ここは危険な場所ではないのか、と聞いている。お前を心配しているようだ」

 ロックがラッピー語を通訳する。

「ラッピー!」

 エステルは感動してラッピーに手を伸ばす。鉄柵の隙間から、辛うじてラッピーの頭を撫でることができた。

「ありがとうね、ラッピー・・・・・・実は私たち監禁状態で、クイーンが人質に捕られてるんだけど大丈夫! ラッピーがドミニクさんを呼んできてくれたら解決するから!」

『ぴっ!?』

 ラッピーはますます心配になった。しかも責任重大だ。聞かなければよかったと少し後悔した。

「じゃあ、よろしくね! 行ってらっしゃい、ラッピー!」

 エステルは笑顔で手を振る。その横ではロックもニコニコしながら、自分とエステルの様子を見ていた。

 ラッピーは、この人たちは本当に監禁されているのだろうか--と思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ