第2節 人質
(何で!? どういうことなの!? 今ってどういう状況なの!?)
エステルは混乱しながら現状を分析し始めた。
目が覚めたら別の場所にいて、謎のじいさんが現れて、なぜかドミニクのストールを返してくれなくて、『極楽鳥』を召喚しろと言っている。そしてそのじいさんは魔法律を使える--
(うっ・・・・・・分析しても何も分かんなかった)
エステルはじいさんの動向を待つしかなかった。
「全く・・・・・・元気というか、怖いもの知らずのお嬢さんですね。ここのお嬢様とは大違いです」
じいさんが呟いた。
「お嬢様って?」
エステルが尋ねる。しかし、じいさんはエステルの質問を無視し、更に問うてきた。
「とにかく、貴女はこの精霊を召喚する気はないと、そういうことですね?」
「する気がないって言うか・・・・・・できないんです」
「ふん、よく分かりました」
エステルはそれを聞き安心した。話せば分かるタイプなのかもしれない。
しかし、じいさんは全く分かってくれていなかった--
「貴女と一緒に来た『青い鳥』の精霊--クイーンと、呼んでらっしゃいましたっけ?」
「え!? クイーン、ここにいるんですか!?」
エステルはじいさんに聞き返す。
「えぇ、いますよ。とても元気です。しかし、それもいつまでのことか--」
「--?」
エステルはじいさんの話の流れが読めず、ポカンとしている。
「貴女次第で、クイーンの命をどうにでもできると言うことですよ。その精霊を召喚してください。できなければクイーンは死ぬことになります」
「--!?」
エステルは雷に打たれた気がした。
「ま、待ってよ! 私じゃ召喚できないんですって! それに、召喚してどうするの!?」
理由によっては『極楽鳥』を召喚させる訳にはいかない。このじいさんが何者かは分からないが、悪者だということは間違いなさそうだった。ただ単に『極楽鳥』が見たいから、なんてのんきな理由でここまで大胆な交換条件を突きつけてはこないだろう。
「・・・・・・どうするのか、それは貴女には関係のないことです」
エステルは「あるし!」と思ったが、言っても無駄そうだったので他の質問をしてみた。
「私たちをここに連れてきたのって、おじいさんなんですか?」
「えぇ、そうです」
じいさんは意外にもすんなり答えた。
「それは私に精霊を召喚してほしかったから?」
「いえ・・・・・・あなた方二人が一緒に移転して来たのは予想外のことでした」
「え? じゃあ、クイーンを連れてきたかったってこと?」
エステルが質問を続ける。じいさんは渋い顔をした。
「・・・・・・これ以上、貴女とお話ししている時間はありません」
「え!? 何それ!?」
「精霊を召喚する決心が付いたら、いつでも屋敷にいらしてください。そうですね・・・・・・期限は設けませんが・・・・・・」
じいさんは顎髭を手で弄り、考える素振りをする。
「クイーンや貴女たちが餓死するまでに、いらした方がよろしいかと」
「--!?」
じいさんはそう言うと、『テレポート』でエステルの前から消え去った。




