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第12節 魔女

「お前らなぁ・・・・・・」

 ダンテとドミニクはロックの研究室にいた。机を挟んだ向こう側で、ロックが呆れかえった表情で二人を見上げている。

「ラッピーを連れ戻したことに関しては褒めてやろう。だがな・・・・・・調査官になって早々、警備隊の世話になるのは勘弁してくれ・・・・・・俺、ちょっと恥ずかしかったんだぞ」

「すみません・・・・・・」

「久々に思いっきりムカつく奴だったからよ・・・・・・悪かったよ」

 二人はあの後、男たちと共に警備隊に連行された--と言うより、意識があったのはドミニクだけだったので、正確にはドミニクが連行され、残りの三人が保護された。ロックが警備隊から連絡を受け収容所に到着したとき、ダンテが警備隊員に事情を説明し、ドミニクが牢に入れられているという何とも理解しがたい光景が広がっていたのだった。

「まぁ・・・・・・今回の件は、俺の監督責任でもある。お前らだけを責められない」

 ロックは小さく溜め息を吐いた。

「--!? そんな! ロック先生は悪くありません! 僕たちのせいです!」

「いや、俺のせいだ・・・・・・ドミニクは止めてくれただけだ」

 ダンテは猛烈に反省していた。あちらに非があると言っても、先に手を出したのは自分だ。しかも反撃できない状態になってからも攻撃をやめなかった。ドミニクが止めてくれていなかったら、と思うとゾッとする。

「まぁ、これからは注意してくれ。大人なんだからな? 簡単にキレるな」

「分かった・・・・・・」

 もう二度と喧嘩はするまい--ダンテは心に誓った。


『ぴぃ!』


「おっと、そうだ。こいつをエステルに返しに行かないとな。絶対、寝ないで待ってるぞ」

 ロックは机の上で大人しくしていたラッピーをひとなでした。

『ぴぃ、ぴぃ』

「ん? 何? エステルは怒っていたかだと?」

『ぴぃ・・・・・・』

「ははっ! 大丈夫だ! 全然怒ってなんかいないぞ。でもすごく心配していた。ちゃんと謝るんだぞ?」

『ぴぃ!』

 ラッピーは青い羽根をパタパタとさせた。

「あのよ・・・・・・」

 ダンテが二人の会話に口を挟む。

「ん、何だ?」

「何て言ってるか分かるのか?」

「いや、分からん! イメージだ!」

 ロックが偉そうに胸を張る。

「適当かよ!」

「いえ、合ってますよ」

「えっ」

 ダンテがドミニクを振り返る。

「ミルドには分かります。元々、だから『魔女』って呼ばれてたんです。蔑称じゃなかったんですよ」

 ドミニクはニコッと笑った。

「ロック先生には『魔女』の才能があるかもしれませんね」

「そうだなぁ・・・・・・『魔女』の知り合い多いからなぁ」

 ロックはラッピーをなでながら遠い目をする。

「ダンテさんもいつか分かるようになるかもしれませんよ」

 そう言ってドミニクはダンテにも微笑みかけた。そんなドミニクを、ダンテは怪訝な目つきでじぃっと見つめ返した。

「? 何ですか?」

「お前さぁ・・・・・・前から思ってたんだけどよ、何で俺に敬語使うんだ?」

「え?」

 ドミニクはキョトンとしている。

「いや、だからよ・・・・・・俺より年上だし、魔法律のスキルもあるのによ、何で敬語使ってんだよ」

「一応、大人には敬語を使うことにしてるんですけど・・・・・・」

「俺には使うなよ。これから・・・・・・命預け合うこともあるかもしれねぇ・・・・・・仲間なんだからよ」

 ダンテは自分で言っておきながら恥ずかしくなり、ふいっと顔を背けた。

「仲間、ですか。そうですね--あ、そうだね・・・・・・これからもよろしく、ダンテ」

「・・・・・・あぁ」

 二人は固く握手をすると、互いに気恥ずかしくて苦笑いした。

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