第11節 発見
「ハァ、まさか夜まで捜索するはめになるとは思わなかったぜ」
「ははは」
ダンテとドミニクは夜のパンデクテンの街を並んで歩いていた。
「全く迷惑な話だぜ・・・・・・ロックも自分で捜しに行きゃいいのによ・・・・・・」
「会議だったら仕方ないですよ」
二人はロックからラッピーの捜索を命じられていた。
結局、明るいうちにラッピーは見つからず、今日は捜索終わり--となるかと思われたが、案の定エステルが一人で捜すと言い出した。ロックは却下したが、勝手に探しに行こうとするエステルに根負けし、『ダンテとドミニクに捜しに行かせる』という代案で手を打たせることになったのだった。
「どっか、バーでも入ろうぜ」
「ダメですよ、ちゃんと捜さないと」
ブラブラと歩きながら、二人は昼間には用がないような場所にまで足を運んでいた。酔っ払いや客引きの声がガヤガヤとうるさい。こんなところにいるだろうか--そう思っていた二人の耳に聞き覚えのある鳴き声が届いた。
『ぴぃ! ぴぃ!』
「「--!?」」
二人は思わず顔を見合わせる。
「今の鳴き声・・・・・・」
「えぇ」
「どっからだ?」
周囲を見回し、鳴き声を聞き取ろうと耳を澄ます。
『ぴぃ!』
「うるせえよ、この鳥! 痛い目見たくなかったら黙ってろ!」
「「--!?」」
二人はラッピーと思われる声のする方をバッと振り向く。
「「あ、ラッピー!」」
二人の男が角を曲がってダンテとドミニクの方へと歩いてくる。一人の男の手には、青い鳥の入ったカゴがぶら下げられていた。
「ちょっと、すみません!」
ダンテとドミニクが駆け寄る。男たちは怪訝な顔で二人を睨んでくる。
「この鳥、どうされました?」
ドミニクが冷静に話しかける。
「・・・・・・ハァ? どうしたって、俺のペットだよ」
男は一瞬ビクッとしたが、すぐに平静を装う。
「嘘ですよね? この子は精霊です。僕はこの子の契約者を知っています。返してください」
ドミニクは男をギロリと睨む。
「ハッ! 何言い掛かり付けてんだコイツ! 証拠はあんのかよ、証拠はよ!」
「魔法陣と照合すればすぐ分かります。付いてきてください」
ドミニクは冷静な態度を崩さなかったが、内心かなりイライラしていた。
「ハァ!? 付いて来いだと!? ふざけんな! 誰が行くかよ! これは俺んだよ!」
男は照合と聞いて逆ギレした。今にも飛びかかりそうな勢いだ。だが、もっとブチ切れている男がいた--
「テメエのだと・・・・・・」
「ダンテさん?」
「ふざけてんのはテメエの方だろうがっ! こいつはエステルのラッピーだっ!」
ダンテの怒声が飲み屋街に響き渡る。体格のあるダンテに凄まれ、さすがの男たちも怯んだ。だが、チンピラにもチンピラなりのプライドがあるのか、じっとダンテを睨んだままカゴを渡そうとはしない。
「しょ、証拠見せろって言ってんだよ!」
「ハァ!? 証拠だと!!」
ダンテはなおも大声で男たちを威圧する。すでに彼らの周りには人集りができつつあった。
「証拠ならなぁ、そいつに付いてんだよ!!」
「は・・・・・・?」
男はカゴの中のラッピーを見る。
「テメエ・・・・・・そいつの飼い主だって言うんなら、額に付いてるやつ何か分かるんだろうな?」
「額・・・・・・?」
男はもう一度ラッピーを見る。確かに頭に何か付いているようだった。シールのように見える。
「・・・・・・シールだよ」
「何のシールか言って見ろよ」
「--!?」
ピンク色のシールはボコボコしている。星--のように見えなくもない。
「・・・・・・星」
「ハアッ!? コンペイトウだ!!」
ドガッ--!
「ダンテさん!」
ダンテはここまで我慢してきたのに、なぜか『星』で完全にブチ切れ、カゴを持っていた方の男を殴りつけた。
『ぴぃ!?』
ラッピーがカゴごと空中へ投げ出される。
「わ!?」
ドミニクが辛うじてカゴをキャッチした。ラッピーの無傷を確認する。その間もダンテは男たちを殴り続けていた。
「いいぞ! にぃちゃん! もっとやれ~!」
「行け~! お前らも反撃しろ~! 面白くねぇぞ~!」
酔っ払いの無責任なヤジが飛び交う。
「ちょ、ちょっと、やめてください! 死んでしまいますよ!」
「ハァ!? これくらいで死ぬかよ!!」
ドミニクの制止も聞かずダンテはドカドカと蹴りを入れ始めた。
「もう、十分でしょう!? やめてください!」
しかしダンテは完全に頭に血が上り、ドミニクの言葉に耳を貸そうともしない。男たちはすでに地面に倒れ気を失っていた。
「やめろって言ってんだろうが!!」
「--!?」
ダンテはビックリしてドミニクを振り返る--その瞬間、ボディに鈍い衝撃が走った。そしてそのまま後ろ向きに倒れると、石畳に頭を強く打ち付け意識を失った--




