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第1話

見切り発車もいいところです・・・・。

はっきり言って、終わりが見えてません。

なので、のろのろ亀更新になると思いますが、長い目で見ていただけえると幸いです。

また、お気に召さない場合は即座に回れ右をしていただくことをおすすめします。

誰もが忘れかけた土地にひっそりと国を営んでいる小さな小さな王国がありました。


その名もペイル王国。


どれだけ田舎かと申しますと、王国以外の人に、我が王国の名を言っても99%の割合で我が国を知らないという答えが返ってくる程の知名度なし具合です。

他国との国交もここ数年久しくありません。

決して鎖国をしているとかそんな事はないのですが、何分、我が王国にはこれと言った特産もなければ工芸もない。ないないづくしの国なのです。そんな国と国交を持ったところで他国にもたらされる利益はさっぱりないと言う事ですね。


人口は約500人。もうすでに国と呼んでいいのか甚だ疑問です。


場所は、山々に囲まれ、背には海を背負った端っこ中の端っこ。

明らかに断崖絶壁な山がそびえたっているかとおもえば、反対側には自然の恵みがそのまま育った山(早い話が人の手が全く入っていない木々に覆われた山)があるわけなのです。

両隣には大国(断崖絶壁側が第1大国スカットマティー国・緑の多い山側が第2大国シュアランス王国)があるのですが、その国境の真ん中にあれば!!とどんなに願ったでしょう。

そうすれば、少しは国交で行き来する商人や役人の休憩所として、我が国ももう少し知名度が上がっていた事でしょう。

しかし、悲しいかな、我が国は大国様方の国境の端っこ。

しかも、両側に山がある事で誰も近づかない辺境の地。

よって、我が国が知られていないと言う訳ですね。


さて、そんな我が国にもいい事はあります。

なんといっても、建国以来戦争など一度も起こった事はありません!

なにせ、数少ない国民ですからね。戦争なんぞに加わって大事な国民減らせません!!

それだけではありませんよ?

両側は山ですから山菜は取り放題!(もちろん我が領地内にてです!)

そして海にも面していますから、美味しい新鮮な魚も頂けます!!(こちらもまた山ほどではないにしろ絶壁なため、海水浴には不向き)

何より一番は、この存在感の薄さの為、他国が侵略してこない!!

どうです!!魅力的でしょう?


さて、そんなど田舎に暮らす私、ペイル王国王女のレディナは、今日もいそいそと庭にやってきました。

城の庭といっても、国民達の大事な食料を担っている庭なのです。

大国様方のように、やれバラがどうの、お茶会がどうのなんて言っていられる余裕のあるものではありません。

実生活に基づく、実に実用的な庭なのです!!


「ネイル~!!今日の調子はどう~!?」


一国の姫とは思えない大声で先に来ていた幼馴染に声をかけた。


「ああ!今日もいい土だ!!これなら、次の雨が降る前に収穫できるかもな!!」


ネイルの手元には青々とした葉っぱが所狭しと元気に生えている。


「新じゃが!新じゃが!!やっぱり掘りたてのじゃがいもは美味しいものね~!!」


ほくほくとしながら収穫のその時を想うと思わずよだれが垂れそうになってしまう。


「・・・・ほんと、この国の姫がこんなのでいいのかっておもっちまうよなぁ~・・・」


呆れたようにネイルがつぶやいている。

まぁ、実際に姫と言われたところで、暮らしぶりはほとんど町の人々と同じだ。

むしろ、他の人と違うところは?と言われれば、肩書くらい?と言うくらい、私たち王族も質素な生活をしていた。


「そういえば、最近お父様がしきりに姫らしくって言うようになったわね。・・・なぜかしら?」


今まで散々国民の為に、手を貸してあげろと言っていたお父様なのに、最近は畑仕事を少し控えたらどうだ?とか、もっと女の子らしく!とか小言が増えてきていた。


「・・・お父様も年なのかしら?」


考えていたらうっかり土まみれの手で頬に手を当ててしまい、頬に土が付いてしまった。


「・・・・国王様の言いたい事、俺はわかる気がする・・・・」


目の前で深いため息を付きながらそういうネイル。

そんな、ため息をつかれる覚えもないのに、なんだか責められているようで居心地が悪い。


「なによ。ネイルだって似たようなものなのに!」


「いや、俺はいいけど、レディは姫である前に女だろ?しかも、いい年になったのにそんな格好していたらいつまでたっても嫁の貰い手がないぞ?」


その言葉に思わずぐっと息を飲んでしまった。


「・・・・いいわよね~。もうネイルは相手が決まってるもんね!!私だって、この肩書きがなかったら今頃素敵な人がいたに違いないのに!!」


そう、普通なら姫という立場の私と結婚したいと思う男性は多いだろう。一国の王になれるのだから。

そう、普通ならばだ。

このペイル国では全く話は変わってくる。

こんなど田舎の国王になったところで、左団扇で暮らせるわけでもなく、むしろ国民よりも大変かもしれない。


「あ、噂をすればだな」


ネイルの視線の先を追いかけると、作業着に身をつつみ、頭に手ぬぐいを巻いたお父様がやってきた。


「2人ともご苦労。どうだ?今日は何か収穫できそうか?」


にこにことやってきたお父様に国王の面影はこれっぽっちもない。


「国王様・・・。頭に手ぬぐいはやめてください」


ネイルは呆れたようにお父様にそう言った。


「む・・・。ダメか?日焼け予防に便利なのだがな・・・・・」


ネイルにたしなめられ渋々頭に巻いた手ぬぐいを外し、首に巻きつけた。

これは、これでどうかと思うのだが・・・・。


「さて、じゃぁ私はあっちで別の野菜を収穫するとしよう。・・・・レディナ、その格好どうかと思うぞ?お父様は・・・・」


なんて、悲しそうに見られたところで、そのセリフをそのままそっくり返したい。

そんなことを思っているうちに、お父様はそのまま別の畑へと歩いて行った。


「・・・・今の言葉、絶対お父様だけには言われたくなかった・・・・」


落ち込んでいると、無言でネイルが私の肩を叩いた。

なんだか、それはそれで嫌だ!!





そんな日が私の普通だった。

あの時、あの人と出会うまでは・・・・・・。


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