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伯爵令嬢クラリッサは勇者に婚約破棄された

作者: クギツムギ
掲載日:2026/05/17

 異世界に転生して、伯爵令嬢クラリッサとして育った。そんな私には婚約者フィリップがいた。


 フィリップは剣術が素晴らしく優れていた。私はそんなフィリップのことを頼もしいと思っていた。でも、ある日フィリップが私の家を訪れて、とんでもないことを言い出したんだ。


「俺は勇者になるため、旅をしてくる。俺が魔王を倒して帰ってきたら、クラリッサと結婚したい」


 フィリップの発言を受けて、私は心底呆れてしまった。フィリップが魔王を倒すために、どれだけの年月がかかるというのだろう。


「フィリップ様の夢は素晴らしいと思います。しかし、フィリップ様が魔王を倒すまで結婚を待つことは、かなり難しいように思います。魔王討伐まで何十年かかるかも分かりません。そもそも、この国は高齢出産向けの医療も乏しいため、私は早めに結婚したいのですが」


 そのように言ってみた。でも、フィリップは聞き入れてくれなかった。


「それでもクラリッサは待っていてくれ。言っておくけど、クラリッサの意思だけで婚約解消とかできないからな。親の決めた政略結婚なんだから、親同士の了承がないと婚約解消は不可能だぞ」


 フィリップはそんなことを言って旅立っていった。フィリップの侯爵家に手紙を送ったけれど、フィリップと私の婚約は継続すると言い切られてしまった。だから、私はフィリップを待ち続けるしかなかった。


 数年後、フィリップは魔王を討伐して帰ってきた。ただ、どうやらフィリップには恋人ができたらしい。


 あのさあ。フィリップは私との約束を覚えているのかな。こっちは年齢を削って待たされていたんだよ。今フィリップが私と結婚しなかったら、私は他の人との結婚なんて年齢的に厳しいんだけどな。この国の文化だと、結婚適齢期と言われる年齢がかなり若めだし。


「フィリップ様、魔王討伐おめでとうございます。約束通り、私と結婚してください」


 私はフィリップの家へ行き、そのように伝えた。けれど、フィリップは面倒くさそうな表情を浮かべた。


「嫌だね。ずっと待っていたクラリッサなんかより、共に戦った仲間の方が、俺にとっては大事なんだよ。特にさあ、魔王討伐パーティの聖女がめちゃくちゃかわいいんだよ。いつも聖女は俺に回復魔法をかけてくれてさ、それがすっげえ嬉しかったんだ。だから、俺はその聖女と結婚したい。もちろん、俺とクラリッサの婚約は破棄する。俺の侯爵家の方が地位は上だから、クラリッサの伯爵家は逆らえねえよなあ」


 フィリップにそんなことを言われてしまい、私は一方的に婚約破棄されてしまった。私は年月を無駄に消費させられたあげく、ポイ捨てられたんだ。

 

 自分は悲しみをこらえつつ、社交パーティに参加して、他の貴族達に事情を説明した。すると、他の貴族達はとても同情してくれた。


「フィリップ様不在の理不尽な婚約関係に対して、クラリッサ様がしっかり抗議したことも、みな知っております。クラリッサ様が婚約関係に耐え続けて浮気もしなかった真面目さも、どの貴族だって分かっています。そんなクラリッサ様が素敵だと、個人的には思います。もしよろしければ、僕と結婚していただいてもよろしいでしょうか」


 公爵家のジェイデンがそんなことを言ってくれた。この国では行き遅れとされる年齢の私に、プロポーズしてくれる男性がいるとは思わなかった。


「ありがとうございます。私でよろしければ、ぜひとも結婚していただけると嬉しく思います」


 私はそう言って、ジェイデンと結婚することになった。けれど、ジェイデンと私の結婚話を聞いて、なぜかフィリップが怒ったらしい。そのため、フィリップは変な手紙をよこしてきた。


『俺との婚約を解消されたクラリッサが、不幸になるところを見たかったんだ。なのに、なんでクラリッサは普通に結婚しているんだよ。ふざけんな。めちゃくちゃうぜえ。くそがよ。旅に出ている間は、魔物を倒していればストレス解消できたのに』


 フィリップの手紙の文章は、とてつもなく不気味だった。私は無難な返事の手紙だけ送って、フィリップと極力関わらないように気をつけた。

 

 そのあと、フィリップは聖女と結婚したらしい。けれど、イライラしたフィリップが聖女を殴るようになったという。そのため、聖女が離婚を切り出して逃げ出したらしい。


 フィリップは聖女を探したけれど見つからなかったという。ブチ切れたフィリップは、なぜか私のところへやって来た。


「おいっ。俺が独り身になったことは知っているよなあっ。今すぐクラリッサはジェイデンと離婚しろっ。クラリッサは俺と結婚するんだっ」


 フィリップはそんな横暴なことを言ってきた。それに対して、ジェイデンは私を守るため家の警備をしっかり固めてくれたり、衛兵に通報してくれりした。


 そのため、衛兵達が大勢やって来た。フィリップは強いけれど、さすがに殺人罪を被るほど抵抗するわけにもいかなかったようで、衛兵達に無事捕まった。そのあと、フィリップは牢屋へ連行されたという。


「ジェイデン様。ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません」


 私が謝罪すると、ジェイデンは私を優しく抱きしめてくれた。


「迷惑ではございませんよ。僕はクラリッサ様を守ることがきて幸せです」

 

 ジェイデンの言葉がとても温かくて、すごく嬉しかった。

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