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026-軽食作りも執事の役目?

更に数日後。

アロイテは着替えて調理室に向かった。

そこには既に、オーロラとネムが居た。


「今日はお料理教室なんだって?」

「ね...ネム様、どうして.....」

「試食係だよ~」


新生Noa-Tun連邦で一番まともな味覚を持っていそうなのがネムだけであったため、急遽招集されたのだ。

調理室は本来利用されない部屋だが、自動調理器が扱えない状況のために用意された場所である。


『本日は料理教室ですね、主人の身の回りの世話をする者として、軽食程度であれば用意できるとよいと、クロファート星系での執事の項目にあります』

「軽食~?」

『ですから、素材の簡単な調理法を知る事が出来れば十分でしょう』


アロイテが調理室の中央に進み出ると、そこにはボウルに入った野菜や、状態保存器の内部に入った肉や魚。

調理器具は地球人であれば見慣れたものから、見たことが無いようなものまで。

全てが揃っていた。


『まずは、ご飯やパンを作ってみましょうか』

「.....はい」

『といっても、パンを焼くのは私かメイドの仕事ですので、ここに完成品があります』


運ばれてきたのは、一斤のパン。

オーロラの操作するマニピュレーターが、パン切り包丁をアロイテに手渡す。


『切ってみてください』

「....は、はい」


アロイテは改めて、一斤のパンを見下ろした。

それは、アロイテにとって初めて見るものであった。

ここに来る前は「切った後」を見ることはあった。

ここに来てからも、「切った後」か丸パンだけであった。


「.....っ!」


アロイテは、意外とパンに弾力がある事に気付く。

売れ残り同然のパンは硬く冷えていたからこそ、焼きたての弾力など知らなかった。


「意外と苦戦中?」

「す、すいません...」


ネムがのぞき込むと、アロイテはパン切り包丁で苦労してパンを切っていた。

切り口がズタズタになっており、あまりきれいとは言えない様子だ。

「オーロラ、どうするの?」

『今から正しいやり方を教えますよ』


オーロラはパン切り包丁を取り出し、パンを抑えて刃を当てる。


『ギコギコはしませんよ、一度刃を当てればスーッと』


正確無比な太刀筋で、オーロラはパンを切る。

ネムはそれを見て「(ギコギコしてるような)」と思ったが、黙っていた。


「....こう?」

「ちょっと粗いけど、合ってる合ってる!」


アロイテはそれを正確に真似する。

といっても、正確無比なオーロラとは比べるべくもないが、オーロラのやり方は人間工学に基づいた、分かりやすく正確なものだ。

わざとアロイテと同じ重心配置で行っている。


「アロイテちゃん、握り方が違うと思うよ?」

「そ、そうですか?」

「親指は遊ばせないで、柄を挟むみたいに」


ネムは一人暮らしが長かったので、途中から面倒見の良さを発揮して、アロイテに色々と教え込む。

話はパンから他の料理に移る。


「繊維は潰さないように、そうそう」

『繊維を切る事で柔らかく食べやすくなりますからね』


分厚い肉を切るアロイテ。

ネムが後ろからサポートし、オーロラが正しい知識を与える。

本当は軽く慣れてから、オーロラが実際に調理する過程を見せるイントロダクションだったのだが、アロイテが学習熱心だったために、流れの果てにステーキと目玉焼きにサラダが出来てしまった。


「これ....軽食なんですか?」

「獣人基準だと、そうだね!」


アロイテが作った料理は、ネムによってペロリと平らげられた。

特に肉食獣人にとっては、この程度の料理はオヤツ程度である。

ドン引きするアロイテを他所に、ネムは胸の間から取り出したウェットティッシュで口元を拭っていた。


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