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021-窮地に立つシン

翌日。

アロイテが起床して服を着、扉を開けようとすると.....


「あ、開かない?」


扉の開閉装置がロックされており、開けられないようになっていた。

これは一体何事かとアロイテがオーロラに尋ねようとすると、


『アロイテ様、こちらはノルンです』

「ノルン様、これは.....」


タッチパネルにノルンの映像が映る。

これは一体何事かとアロイテが問おうとしたとき。


『こちらの映像をご覧下さい』


ノルンが映像を空中に投影する。

その映像では、巨大な旗艦アバターを中心に夥しい数の艦隊が展開されている様子を映していた。


「これ.....」

『本隊が合流したのです、シン様は本来艦隊指揮官であり、議会設立前のNoa-Tun連邦における実質的な最高権力者でしたから、ただいま忙しい状態です』

「そうですか....」

『それから、シン様は既婚者ですので....』

「ええっ!?」


アロイテは安堵した瞬間、混乱の中に引きずり込まれた。

彼女自身、シンに想いがなかったとは言えないからである。

シンと結ばれるなどと馬鹿正直に考えるほど愚かではないものの、「憧れのお兄さん」程の慕う気持ちはあった。

だが、既婚者であるという事実は彼女自身を引き締めた。

これで主従のみの関係でいられる、と。


「それで、私は何をどうすればいいんですか...?」

『待機です。幼いとはいえ女性を保護した事で、今頃シン様は本妻様方に怒られておいででしょうから』


本妻様方...という表現が気になりつつも、アロイテは一応は納得した。

シンが自分を拾った理由は、性的快楽を満たすためでも、ペットのように飼うためでもないのだと知れたからである。


「(御主人様は私を必要としてくれた...!)」


アロイテは心の中で静かに思う。

いくら冷静に現実を見ようと、知識をつけようと。

彼女が誰にも必要とされずに生きていきたい事は確かであるからだ。


『とりあえず、お食事を運びますから。...お部屋で食べて、少し待っていてくださいね』

「は、はい」


悪いような気持ちに包まれるアロイテ。

食事は労働の対価であり、それは正当に支払われるべきだと感じているからである。


「...」


待つ事五分程度。

部屋の扉が開き、ワゴンに食事を乗せたノルンがやってきた。


「では、これを食べて待っていてください」

「あの....いいんですか、私.....」

「お話が終われば、あなたには重大なお仕事がありますから」

「.....」

「いいですか、いくらシン様の奥様といえども、その役職は非常に重要なものなのです。そんな方とお話をする際に、お腹が鳴ってしまえばシン様はきっと始末書を書かされるでしょうね」

「...えっ!?」


アロイテは二つの驚きを心に浮かべた。

一つは、シン程の偉い人間でも、始末書を書かされるのだということ。

次に、自分がお腹を空かせている事という事が、そんなにも重大なことなのかという驚き。


「そうならないために食べるのですよ、いいですか?」

「は、はい!」


既に空腹だったアロイテは、ノルンが去ったあと急いで食事に手をつけた。

そして、完食するまでには然程時間はかからなかった。

彼女はノルンの言いつけ通り、食事を終えてから歯を磨いて、数時間ほど待ち続けた。

待つ事は彼女にとって苦ではなかった。


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