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020-執事としてのメイクアップ

旗艦アバターに戻ったアロイテは、シンによってカプセル型の容器の前に案内された。


「.....こ、これは?」

「最終調整用の機器だ、心配しなくても整形とは違う。この機械は君の髪質から肉体バランスまでを調整して、”貧民街の少女”から”どこにでもいる普通の少女”くらいには出来る」

「......分かりました」


今のままではどうしようもなく醜いということは、アロイテ自身もよく分かっている。

だからこそそれを変えようというのだ。


「いいか? 入ると同時に睡眠措置がされる。抗わず眠った方が楽かもしれないな」

「はいっ」

「服は脱いでくれ、俺は退出するからオーロラの指示に従え」

「はい」


その言葉通りシンは退出し、彼女は着ていた服を脱いでカプセルに入った。

カプセルに入ると同時に、透明な蓋が閉じて加減圧処理が行われる。

そののちに、ピンク色に着色されたガスがカプセル内を埋め尽くした。


「――――――ッ!!」


ガスに困惑するアロイテだったが、充満したことで吸わざるを得ずに吸い込み、そして意識を失った。


『対象の意識レベルの低下を確認』

『処置を開始しろ』


別室にいるシンは、業務をこなしながらオーロラに指示・提案を行う。


『まずは髪の修復を開始します』

『色に手は加えるな、あくまで現状を維持しろ』

『了解』


眠るアロイテの髪にナノマシンが散布される。

Noa-Tun連邦では一般的ではないものの、かつて戦争の時代に多用されたナノマシンは、装甲材の修復や兵士の治療に使われた。

それから十年が経過した今、ボロボロになった髪や肌を修復するなど造作もない事であった。


『肌はどうしますか?』

『余計な手は加えるな。あくまでデフォルトを意識して修復しろ』

『了解』


髪と肌の修復が終了すると、仕上げに洗浄が行われた。


『それにしても、疑問にも思わなかったが....お前、何でもできるな?』

『総合AIですので』


アロイテのメインの調整は終わり、後は肉体バランスの調整であった。


『疑似脂肪を注入して身体バランスを取ります、30日以内に分解されますのでそれまでに脂肪を付けさせてください』

『それはお前の役目だろう?』

『はい、勿論です』


シンは努力すればできないことは殆どないが、今の状態から努力を続けるのは最早難しい。

先の戦いで、彼もまた病人の様なモノなのだ。

よって、アロイテの栄養状態を考えるのはオーロラの職務である。


『処置完了。簡易衣料を装着させます』


薄く肌を傷つけない布がアロイテの体に被せられ、各所で熱されて固定される。

眠ったまま彼女は、カプセルの中で適切な状態に保たれた。


『終わったのか?』

『見ますか? それとも.....』

『やめろ、ルルに殺される』

『了解』


オーロラの話を聞いていたシンは、艶消しの黒に塗られたテーブルにタブレット端末を置く。

そして、椅子から立ち上がった。


「ルルから連絡があった。艦隊が到着するぞ」

『了解です、ストラクチャは建造するのですか?』

「ああ、流石に艦隊を駐留させるのには必須だからな.....」


オーロラと話をしながら、シンは執務室を出て行った。


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