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018-弱い過去との決別

バルク街を抜けたアロイテは、住宅街に辿り着いた。

全壊した上に全焼した住宅街を一気に踏破した彼女は、元々家があった場所で呆然と立ち尽くした。


『よければ、採掘しますか?』

「いいのですか....って、何故そんな装備を!?」

『シン司令官の護衛ともなれば、当然様々な状況を想定するものです』


ケセドがアロイテを守り、ゲブラーが採掘装備を使って家の跡地を掘る。

掘り出した入り口に、ゲブラーと共にアロイテは入る。


「......あ」

『地下なのが幸いしたようですね、殆ど破壊されていないようです』


懐かしい様に感じる部屋。

そこに足を踏み入れたアロイテは、床を開けて貯めていたお金を取り出す。

彼女にとって大切なものと言えば、それだけだ。


「もういいです、行きましょう」

『そうですか』


アロイテは外に出る。

そして、通りに一歩歩き出して....


「お、お前! アロイテじゃねえか!?」

「生きてたんだな」


一番会いたくない顔と出会ってしまった。

ラウルとクレイである。

ラウルの顔がニマリと歪み、そしてアロイテに近寄ってくる。


「いい格好しやがって、死んだかと思ってたけどよぉ、金持ちに体でも売ったのか?」

「.....違います」

「丁寧ぶるなよ、ニンゲンがぁ!!」


ラウルの拳が握り締められる。

だが、アロイテはもう恐れなかった。


「おっ、その袋...金だな? 寄こせよ」

「嫌です」


それだけは譲れない。

毅然とした態度で、アロイテはラウルを睨み付けた。

それでようやく、ラウルは堪忍袋の緒が切れたらしい。


「チッ、調子乗ってんじゃねえよ」

「後ろ盾くらいでビビると思ってるのか?」

「「ぶっ殺してやる!!」」


二人の獣人が襲い掛かってくる。

その恐怖にアロイテが目を背けそうになった時。


『排除せよ』


ゲブラーとケセドが同時に動く。

腕のシールドジェネレーターを起動してラウルとクレイの攻撃を防ぐ。


「チィ!」


ラウルはケセドが展開したブレードの斬撃をギリギリでかわす。

ゲブラーが肩のミサイルランチャーを展開して一斉発射し、ラウルに対して牽制する。

....牽制のつもりだった。


「ぐっあああああああ!!」

「ラウル! くっ!」


全身に裂傷を負うラウル。

それを庇うようにクレイが立ちはだかり...

ゲブラーとケセドは、互いに両腕に装備された機関砲を掃射した。

通りを機関砲の弾丸が駆け抜け...

後には、ラウルとクレイの死体が転がっていた。

いや、最早死体と言うべきものではない。

対人用ではない大口径の砲弾で貫かれた二人の死体は、原型を留めていなかった。


「...あ」

『攻撃を検知したため、反撃しました』

「はい、分かっています」


ラウルとクレイは一瞬で死んだ。

自分が弱かったばかりに耐えるしかなかった憎しみが、心のうちから湧き上がってくる。


「...ありがとうございます」


彼女は後悔していた。

憎悪に身を灼かれながらも、悔やんでいた。

これが力を持つということなのかと。


「...最後に寄りたい場所があります。そこに寄ったら帰ります」

『了解』


ラウルとクレイの死体の上を通り抜けたアロイテは、通りを戻っていくのであった。


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