シスター左遷に震える
「ひいいぃぃぃぃぃ!!!」
……どんな奇声だよ。
順調に自律神経が破壊されてる今日このごろです。
俺はいつも一人でいる時、独り言を言うことはないんで
独り言を言う奴の気持ちがわからないんだけどちょっと怖いんだよなぁ。
寝てる時にこんな調子なのでびっくりして起きるときもある。
今日もそんな感じだ。
もぞもぞと俺が動き出すのをみてシスターは俺が起きたのに気がついたらしい。
「……ああ、すみません起こしてしまいましたか」
「あー。まぁ良いよ別に気にしてない」
別に怒るほどのことでもないんだけどね……。
目が回るような感覚とともに今日も彼女に声を掛ける。
「何かあった?」
そういい彼女の顔を見ると、心なしか顔色が悪いような。
「……来月、なんと人事異動があるらしいです!」
「人事異動? 神様の世界にそんなのあるのかよ……」
「あります! 優秀な人材はより優秀な人の所に派遣され
そうでない人はとんでもない人のところへ飛ばされます!」
なるほどなるほど……こんな迷惑なやつがそこら中にいると思うと頭痛がしてくるな。
てか俺の所に派遣されてるのはどういう意味なのかちょっと気になると言うか
若干複雑な気持ちだが……。
「ま、まぁ悪い所に移動になるとも限らないんだろ?
正直俺のところのいるのってその……まぁそんなにいいもんでもなさそうだし……」
バンッ!!と机を叩くシスター。
やめてくれー机を叩かないでくれー騒音は困るー。
「ここよりヤバい現場は沢山ありますよ!」
どーどーどー、落ち着いてくれ、とばかりに背中を擦る俺……
一体俺は何をさせられてるんだよ。
彼女は激しく興奮している……というか混乱しているといったほうがいいのか?
恐怖に震えているようにも見える。
彼女は深呼吸をすると捲し立てるように言った。
「現れた瞬間、額を銃で撃ち抜くような人もいれば
全身を拘束されて見世物小屋に放り込まれたこともあります!
魔女だと言われて火あぶりの刑にされそうになったこともありますよ!
何故か宇宙人しか居ない世界に飛ばされたこともあります!
人が居ない世界に飛ばされたときは発狂するかとおもいました!」
確かにメチャクチャすぎるな……。
だがいきなり湧いてでてきて人を殺すような殺戮マシーンだしある意味妥当な気もする。
「人が居ないところは別として、ヤバい奴の所ならそいつ自身の首を切ればいいじゃないか」
いつも最初の頃はそうやって俺を首チョンパしてたからなこいつ。
「うーんあんまり言ってしまうと問題になるかもなんですが
簡単に言うと貴方みたいにほんとーに、マジで、何にも出来ない人も居ますが
この世界とは違って私達より強力な力を持っている人がいる世界も存在したりしますから……」
しれっと馬鹿にされてた気がするがまぁ事実陳列罪なので仕方ない。
「話す前から話が通用しないような人たちですよ?
人の話を聞く前に人を殺すような人たちと会話ができるわけ無いじゃないですか!」
うちに来たときのことを忘れたのだろうかこいつは。
それとも自己紹介でもしてるのだろうか?
「そもそもお前がやってることとほぼ同じやんけ!」
「失礼ですね、私は一応理由ぐらいは聞いてた……きがします!」
……。
俺は彼女の顔をじーっと眺めてやった。
顔をそっぽ向けてとぼけ続けてやがる……。
「そんな失敗ばっかしてると左遷させられるんじゃないか?」
コイツラの世界に左遷の概念があるかわからんが。
しかし彼女は途端に真顔になったかと思うと。
「ふぁぁあああああああああああああ!!!」
「だから暴れるなて!」
めっちゃくちゃ過呼吸になってるやんけ!
俺はコップに水道水をついで彼女に渡すと、彼女はそれを一気飲みした。
「左遷は嫌ですぅ……」
「やっぱ左遷あるんだ……」
まぁ俺は優秀でもないが左遷されたこと無いから気持ちがよくわからんが……。
「もう左遷されすぎて、左遷するところないからここにきたんですから!」
「……なんかめちゃくちゃ失礼な話だなおい!」
ひょっとしてこいつ左遷されすぎてるから日給400円なのではなかろうか。
というか一体何をすれば『左遷する場所がない』というパワーワードがでてくるんだ?
「お前一体なにしたの?」
恐る恐る聞いてみる。
「私は言われた通り、神の御心のままに巨悪に天罰を下してきただけですよ!」
「どうせ大方やり過ぎとかいわれたんじゃないか?」
とカマをかけてみたが。
「どうしてわかるんですか!?」
案の定だった。
「いきなり出てきてよくわかりもしないやつの首切り落としたり
勢いで俺の首意味もなく何回切り落としたんだよお前は……」
「それは貴方が悪いのです」
いや俺のせいかよ……。
その結果が今じゃないのかよ。
「まーでも確かに俺の所に居たら特になにもないし、『仕事』はないかもな」
そういうと彼女は。
「本来はそうですが、神の使いとして、貴方を救うという『仕事』がここにはありますから。
まだここにはやることがあるんですよね……」
……。
俺なんか救ってもなにかが変わるわけでもないんだけどね。
そう心で毒づきながらも胸が熱くなるような暖かさを感じた。
なおその後、秘蔵のカップヌードルを無断で5個をも勝手に食べたことが露見し
俺がキレ散らかしたのはまた別の話。
元気がないから続きは次でいいやの精神……。




