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カドショ@シスター襲来

第一声は



『なにか少し匂います』



だった。





まるで自分の頭はアンパンマンの新しい顔よーと言わんばかりに

頭が胴体とサヨナラする今日このごろ。


どういうギミックなのかは不明だが特に痛みはないので

そこはいいんだが、どうしても自分の視点から

ありえない角度で自分の体が見えるのはゾッとするというか

特に切断された部分が見えるときの不快さは筆舌に尽くし難い。


未だに名前すら聞いていないあのシスターは

一体何を考えてるのかすら理解できずわかっているのは

超最新鋭のスマホを持つ日給400円のシリアルキラーだということだけだ。


言動に脈絡がなく、突然糸が切れた風船のごとく。

人を殺そうとするので目が話せないのである。




そんな彼女が今日いきなり言い出したのはカードショップに行きたいというのだ。

何故いきなりカドショなのかというのはとても色々言いたいことがあるのだが

どうせ言い出したら人の言う事というか俺の言うことはあまり聞かない。


めっちゃいいスマホ持ってるくせに使い方をあまり知らなかった彼女は

貧乏生活の人間らしくガッツリスマホのコンテンツにハマっていった。

今では毎日100回以上Xにツイートしまくる厄介女になってるらしく

もちろんお前には向いてないからXはやめろといったら俺の首は体からさようならしていた。


幸いなことにあまりバイオレンスな記事はXから流れてこないので

俺と出会ったときのようなやばいことはしていないようでそれは幸いである。



話を元に戻すと彼女はカードショップに行きたいということなのだが

なんでもXで知り合った奴がいて、そいつ代わりと近くにいるから会おうという

胡散臭い話に乗っかっていったようだ。


野郎がのりで野郎と会うぶんにはまー大したことないと思うのだが

どうやら相手は男のようなので「一応」女と男になるわけで

こいつを一般の女扱いしていいかは別問題なのだが

色々と心配になるわけである。


「お前カードショップに行くのはいいけどそもそもカードゲームなんてやってるのか?」

「ええ、遊戯王を少し嗜んでおりますわ」

「ほほう、意外とメジャーどころのを抑えてるとは……」

「意外ですか?」

「まぁまかりなりにも聖職者の服装してるやつがカードゲームやってるとは思わないわな」


そういうと彼女はスマホから遊戯王MDのアプリを取り出して見せてきた。


「うお、マスター1までいってるじゃねぇか……」


えっへんと自慢げにしている彼女だが、お前一体ここに何しに来たんだよ。

すると芝居がかった、さも心苦しそうに胸に手を当て、ややうつむき加減で彼女は訴える。


「日々、この世を正すべく、誰を誅するべきかを悩んでいるのですが

 あなたも含めてやたらみだらに行動するなと言われ

 私としてはどうすればいいかわからなくて……」

「気がついたらゲームをやり込んでいたと……もう元いた場所? にでも帰れよ」

「そんな事を言うものではありませんわ! 人々は神の救いを求めているはずなのです!」

「そりゃぁ神の救いは求めてるかもしれないが……」


求めてるのは救済者で、カードゲーマーじゃないんだよなぁ……。


「MDは俺もやってるけどなんのデッキ使ってるんだ?」

「当然、私は神の使いとしてふさわしいデッキを使ってますわ」

とスマホを見せてくるので見ると……

「うわっ三幻神デッキかよ……これでマスター1までいったのか?」

「当然ですわ、神の威光を示すためには神のデッキが相応しいですから」


んーむ。三幻神かぁ。正直現行環境では厳しいと思うのだが……

でもこいつよく考えたらここ数日ずーっとスマホいじってやがったな。

いや数日? 数週間か? それにしてもなぁ。


「まーいいや、カードショップに行くのはいいけどその服装で行くのはちょっとなぁ」

「なにか問題がありますか?」

「いやまぁ問題しかないが……」


明らかに似つかわしくない格好である。

しかし何か不服な様子でもある。


「神様の世界にはドレスコードという概念はないのか?」

「ドレスコード……なるほど、カードショップとはそれほどまでに高尚な

 施設だったのですね」

「ドレスコードはない。むしろ全く無縁の世界だ。つまりそういうことだ、わからんか?」

「わかりません! 私はどこに行くのでもこの服ですし、この服以外持ってません!」


頼むから神様こんな意味わからんやつを地上に派遣する前に

『常識』というものを教えておいてくれ。


「つーか俺が言うのもなんだがお前少し臭うぞ! ちゃんと着替えてるのかよ」

「失礼な! ちゃんと一週間に一回ぐらいは着替えてます!」


……。


結局俺はこいつを近くのファッションセンターしまむらにつれていき

お互いに女物のファッションなど理解してないのでとりあえず無難なのだろうか。

TシャツにGパンのクソ雑なスタイルにさせたのだが

まぁ元が金髪碧眼にスタイル抜群なのもありそれなりに様になってしまっている。


若干目立ちすぎると思い黒のキャップと黒の伊達メガネを装備させたが

それでも美人だと何でも絵になってしまう。

まぁメガネを装備させておけば厄介オタクに目をつけられても

日常生活での迷彩にはなるだろう。

一番の問題はコイツ自身が厄介オタクになりかけてることだが。





そしてカードショップにいざ赴く日になった。

結局心配になって俺は精神安定剤などをしっかり服用して付いていくことにした。

外に出る事が少なくなるとどうしても外見がおろそかになる。

この日は髪は整える余裕がなく仕方なかったので雑にハサミで切りそろえて

ニット帽を被って誤魔化した。ヒゲなどは全部剃り、当然ながら風呂に入って

洗濯したての服を着た。

臭くないとか言ってるやつは犯罪者という自覚を持て、お前は立派に臭い。

実際俺の横に立っている女は臭かった。


そんな当人はどこ吹く風といった様子でしまむら装備でカードショップの前ではしゃいでいる。

お前そんなんでいいのかよ……とは思うのだが

こいつが無邪気に過ごしてるうちは人が死なない……と思われるので仕方なくヨシとする。


「ところでカードショップって基本的に買い物する場所なんだが金あるのか?」

「あるわけない……と言いたいところなのですが

 私の日給400円を1万年と2000年ほどためたものがあります!」

「あー1万年と2000年ねーってすげーなおい!」


そういって取り出したのは1枚の福沢諭吉だった。


「……うーん足りるのか???」

「足りませんかね???」

「まぁ俺はもっぱらDCG専門だから紙のほうはよくしらんのよな」


まぁとはいえ目的は対戦スペースでの交流会だし……。


「まぁ中に入ってみて聞いてみたらいいんじゃないかな」

「そうですね、そうしてみます」


そういいつつ二人でカードショップ店内へ。


カードショップのことは本当によく知らないのだが

このカードショップはカード以外にもいろんなものを取り扱っているようだ。

あまり客数はいないが小綺麗にまとまっている感じだ。


シスターはといえば失礼な言葉を放ったあと

展示されているカードを眺めている。

やはりプレイしていたゲームが遊戯王であったせいか

遊戯王のカードを眺めているようである。


一体何のカードを眺めてるのかと思えば

『粛声なる守護者ローガーディアン』であった。


ああ、あんたにはぴったりなカードだと思うぜ……。


と思いつつも声を掛ける。


「待たせてるひとがいるんだろ? 早くいかなくていいのか?」


とそれとなく急かしてみると


「そうですね、あまり待たせるのも良くないですしね!」


といい、対戦スペースと書かれた場所に入っていった。

どうやらあまり他の店のことは知らないが入場は無料のようだ。

俺はまたなにか嫌なことが起こらないか心配でこっそりとあとについていくことにした。


あいつは対戦スペースにいても目立ったが、幸いなことに

来客は彼女の待ち人のみのようだった。

あまり近寄るとバレるので遠目だが男性、20代前半、黒髪短髪で清潔感のある服装。

どうやらヤバい相手ではなさそうだ。


正直Xでの悪評が立ちすぎててカードショップに来るタイプの人間に

些か以上の警戒心を抱いていたがこれなら問題もなさそうである。


しばらくはなにやらあーだこーだとなにか少しだけ不穏な雰囲気だったのだが

どうやらお互いスマホを取り出して操作を始めた。


そうか、結局紙のデッキ作ってないからな。

若干味気無いが無い袖は振れないし致し方なしか。

まー中身が『アレ』なだけで見てくれだけは最強に強いからな……

相手もわがまま通さざる終えなかったか。


まぁそれでも最初のうちは軽く言葉をかけながらゲームをしていたのだが……。

20分ぐらいしたところだろうか……お互い全く話をしなくなってしまった。

そして更に20分後、突如対戦相手の男性は立ち上がり

何やらいくつか会話をしたあと会釈をして部屋を出ていってしまった。


男性と入れ替わるように彼女の様子をうかがいに行った。

なんというか少し違和感のある別れ方だったからだ。


かといえいきなり「何があった」もおかしな話なのでそれとなく会話を振ってみる。


「どうだったよ初めてのOFF会は?」


目線を合わせずに言ったせいか? 返事がない。

気になって様子を見るとがっかりしているような、生気がないような。

ボーっとした表情をしていた。


仕方ないので肩を軽く揺らして再び声をかけた。


「おーい、大丈夫か? しっかりしろ」

「あ、ハイ大丈夫です……」





「10戦やって10回とも後攻で10回ラー玉投げた?!」

それは普通に赤の他人とはいえブチギレるかもしれない。

「はい、ちゃんとハンドに来たので投げつけてやりましたよ!」


いくら3積みしてるとはいえ10回引けるものなのか?

自分の経験で他のカードに変えて考えても同じカードを10回連続引いたことのほうが

少ないというか無いんじゃないか???


「お前まさか改造とかしてるんじゃないだろうなぁ?」

「ふふふ、わたくしにそんな知識があると思っているのですか!?」


ないだろうなぁ……。


「でも、ハンドに来たからには投げないのは手抜きだし相手に失礼だと思いますので

 全力で相手の盤面を更地にしてぶっ飛ばしてあげました!」


いっそまだ紙だったらお前不正してるだろって言えてマシだったのかもしれない……。

なまじデジタルであると不正が難しいだけに何も言えなかったのだろうな。




なおその後彼からは連絡がなく黙ってXでブロ解されて

Xでギャオーって喚き散らしてプチ炎上したのはまた別の話。


こいつが先行1キル使ったら100戦無敗。

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