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シスター、ソシャゲにハマる

おいらの首と、さよならバイバイ!

オレはこいつと、旅に出る!

目の前に泣いている女がいる。

自業自得の罪で泣いてるこのシスター姿の女は

先ほど俺の首を跳ね飛ばしてくれたとても素敵な聖女様だ。


まぁなにやら「上長」様とやらにえらい怒られて

俺の首はちゃんと胴体と合体できたようだ。

決してふしだらな意味合いではない。


もっとも首をふっとばされた件に関しては

理不尽さもあるが1000%この女が悪いというわけではなく

1%以上は私にも非があるとは思うので

そこはあまり強くいうこともなかったのだが……


「でぇ・・・次誰殺します?」


泣きながら人を殺す相談をしないでほしい。

泣きたいのはこっちだ。


神の使いとかいってるけどこいつの上長とやらは神になるのだろうか。

いっそ聞いてみるか?


「そういえば神の使いとか言ってたけど上長って神様なのか?」

「えっとぉ、それは機密事項なので説明できません!残念!」


残念じゃねぇよなんでちょっと嬉しそうなんだよ。

まぁ正直この話は俺が全能の力を手に入れたわけでもなく

大金を手に入れたわけでもないので正直なんのアドもなくて……


そうおもってふと俺は枕の上に転がっていたスマホを拾い上げて

飯を食うときだけしか使ってないコタツ机にしゃがみ

スマホアプリを開いた。


いわゆるソシャゲというやつだ。

日頃は死んだ眼をしながら布団にこもりながらやるんだが

流石に人目があるところでそれはいかがなものかと思い

一応テーブルのあるところでという感じだ。


ソシャゲは一日デイリーを欠かすとアド損がでかいからな。

貧乏人はまして課金パワーを使えんのでデイリーとても大事。

と若干だるくもあるデイリーを消化し始めたら

シスター様が興味津々浦々といった感じでこちらを眺めていた。


「あの……先程の情報?とは違うなにか絵が動いていますが何をしているんですか?」

「なんだぁ? カミサマの世界じゃソシャゲは知られてないのか?」


ちょっと意地悪く小馬鹿にした感じでつい声に出してしまったが


「失礼な人ですね、ちょっと聞いてみただけで知ってますよ!」


意外だったというかむしろ神様世界ソシャゲ知ってるのかよと少し思った。


「『◯✕△ーできないところではしないでください!』って書いてあるやつでしょ!!!」


お茶を飲んでたら吹き出しそうになるところだった。


「いやチゲーから! それそうかもしれないけど少なくともこれはそういうのじゃないから!」

「そうはおっしゃいますが、随分と布面積の狭い女性が

 たくさん映っているようですが?」


そういう彼女の目線は痛い。

明らかにそういう括りで見られている。

たしかに昨今のソシャゲは女性の布面積が少ないことが多い!

だが俺はこのゲームのストーリーが好きなんだ!


と、強く言いたいが、つまらないことで首を跳ね飛ばされたときの記憶があり

彼女に下心を否定しても通じるだろうかという葛藤に一人もがき苦しんでいた。


そこで私はこう考えた。

「じゃあ試しにそっちもやってみろよ。 少し認識変わると思うからさ」

と、スマホを渡そうとすると彼女はポケットから彼女自身のスマホを取り出した。


「大丈夫です、今どきは神界でもPCとスマホは常識です!」


と彼女は最新式のあいぽん2024を取り出したのだ!

最新式の発売したばかりのスマホだと!

貧民の俺には型落ちの4年前のモデルが手一杯だというのに眩しすぎる!

すげーなー神界、俺にもそのスマホくれ……


「じゃあ試しにこの俺のやってる『商社の女神』というゲームをDLしてみてくれ」

そういうと彼女は現役女子学生バリのフリック入力で素早くゲームを導入していた。


「これであとは少しDLすればプレイできますわね」


……ふっふっふ、この女はこの時点で俺の術中にハマっている!

この『商社の女神』はストーリーに定評があるが

一方で多くのプレイヤーたちを過酷なストーリーで

絶望感に叩き落されることで有名なゲームなのだ!


特に序盤のチュートリアルででてくる先輩女子社員が

親身になってプレイヤーに営業のいろはを教えてくれるのに

強大な競合他社との戦いに敗れて精神を病んで会社を辞める展開に

全営業マン(プレイヤー)たちは涙なしには語れないストーリーなのだ!


そんなこともつゆ知らずに呑気にゲームのDLを終わらせた

彼女は早速ゲームのプレイを開始した。


開始した……のだが開始数分でいきなりスマホを連打し始めた!


「おい!いきなりストーリーをスキップするなぁ!」

「だって文字読むの苦手なんですよぉ……退屈になっちゃって」

「お前まかりなりにも聖職者だろ! 聖書とか読むんじゃないのかよ!」

「聖書も読みましたが退屈でした……」


ダメダこいつ早くなんとかしないと……


「まぁそう言わずに紙芝居かなにかだとおもってみてみろよ。

 絵もついてるし、文字も短めだから読みやすくはあるだろ?」

「……そこまでおっしゃられるならちょっと頑張ってみますわ」


こうして30分後。




ものの見事に彼女はガッツリこのゲームに嵌った。

自分は流石にデイリーも終わってしまったので

彼女の様子をなんとなく眺めているのだが

おもいーーーっきしどっぷりストーリーに引き込まれているようで

時折声にならない声を出したりして大丈夫かこいつとおもうほどである。


そして例の問題のシーンを彼女は迎えていた。

さてどんな反応を見せるのか。

私は天下の大将軍の顔をしながら様子をうかがっていると……


「うわーーーーーーーん!!!」

突如彼女は泣き出してしまった。

うーん予想以上の反応に大満足の自分がいた。


「どうだーこれでもソシャゲ馬鹿に……」

「……こいつ殺してやる!」

「いやいやいや待て待て待て! 冷静になれ。

 これゲームのキャラだぞ殺すとか無理だ」


そういう彼女をみるとボロボロとみごとに大泣きしてた。

完全にこいつキマってやがる。


「ま、まぁ確かにこのキャラは創作物だったわね……」

「そ、そうだぞ、てかハマりすぎだろ」

「じゃあこの話を作ったやつを殺すわ!」

「はーまてまて全然わかってねぇじゃねえかよ!」


あまりの頭の悪さに頭痛が痛くなりそうだ。


「そんなに悲しいストーリー作っただけで殺されてたら世の中から

 物書きが絶滅するわ!」

「だって……あんまりにもかわいそうなんだもの……」

「まぁまだストーリー終わったわけじゃないし

 読み進めてってみろよ、面白いからさ」


たぶんまだ無課金だとしてもしばらくは進められるはずだ。




こうして再び30分後。



「ねーちょっと聞いていい?」

少しムスッとした表情で彼女は訪ねてきた。

自分はというともう特にすることもなく、布団に入ってなんとなく

スマホでXを眺めつつ横になっていたところである。


「全然ストーリー進められなくなっちゃったんだけど

 どうすればいい?」


俺は気だるい体を起こして彼女のスマホを見に行った。

どこまで進んでるかを見てみたが通常詰まるようなところではない

場所で足踏みをしているようだ。


「ガチャ引いてキャラクターとか増やしてればもうちょっといけそうだけどなぁ」

「ガチャは無料で引けるぶんは引いたわ、キャラはこれ」

「どれどれ……うわっ!」


よりにもよって一番弱いSSRでSRより弱いと言われている只野係長を引いている。

更に他に引けているSSRが一体もいない!

むしろこの有り様でよくここまで進めたものだ。


「えーこれはですねぇ、絶望的に運がなさすぎるので

 新キャラ引くために課金するか、キャラが育つまで数日待ってください」

「えええぇぇぇ!!!そんなに待ちたくない!」

「じゃあ課金してガチャしてください。多分まともなキャラ引くだけでなんとかなりますよ」

「自慢じゃないがこの私、そのようなお金はびた一文持ち合わせておりません!」

「なんで金ないのに最新式のスマホ使ってるんだよ!」

「これは神からの支給品です」


神からの支給品ってなんだよ神最強かよ。


「じゃあ神にSSRキャラ支給してもらえよ、てか支給品にソシャゲいれていいのかよ」

「そんな事出来るわけないじゃないですか!

 ソシャゲいれてるのは内緒にしてください」


だめなんかい。


「そもそもこのガチャってシステムひどくないですか?

 普通のゲームは買ったらそのお金の中でゲームプレイできるじゃないですか!」


まぁそれはごもっともな話なんだが

当たり前の話を彼女にはしてあげなければならないのだろう。


「その代わりにそのゲームは無料でプレイできるだろ?

 ゲームはただで作れるわけじゃないんだからどっかしらで

 お金を取らなきゃ開発会社も飯食っていけないだろ」

「それにしてもこの金額は法外すぎます!」

「まぁそう言わずにちょっと入れてみたらどうだ?」

「無理です、私日給400円しかもらってないので!」


日給400円……一体どうやって生活してるのか怪しいレベルなのだが。

まぁそりゃお金もないよなぁ。


「仕方ないなぁ……」

俺も正直毎日大したものも食べれない生活をしてるレベルなのだが。

どうしても我慢できない時用に1枚だけ買っておいたウェブマネーを取り出した。


「ちょっとだけスマホ貸して」

「いいですけど……」


些か警戒されたものの彼女はすんなりとスマホを貸してくれた。

俺はそこにウェブマネーの課金をしてあげた。

たった5000円、されど5000円。

さらば俺の5000円……考えると悲しくなってきたが気持ちを振り切って。


「はいよ、これで10連だけ回せるからやってみ」


そう言うと彼女は今まで見せたことのないような笑顔を見せながら

「……ありがとう」

といってくれた。


まーなんか金で買収してるみたいな気分だが人に感謝されるのは

何年ぶりかという感じなので悪い気はしなかった。


そしていよいよ運命の10連である……

10連のボタンを彼女は押すとガチャの画面は……確定演出はなし。

しかし演出はあくまで演出である。 なくても出るときは出る。


そして結果は……




「このシステム考えたやつ殺す!!!」

「いや~だからね……」


このあと彼女の機嫌をなだめるために秘蔵のハーゲンダッツを

さらに一つ放出する羽目になったのである。









なお後々キャラストが原因でやっぱり助平な野郎だと

首を飛ばされたのはまた別の話。

実質1キル。トータル3キル。

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