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大神殿の奥で

【コミカライズのお知らせ】

「帝国宇宙軍所属の俺ですが、未開の惑星に遭難しました。なんかこの星、魔法とか存在しているんですけど!?」

コミカライズ連載がスタートいたしました!

「マグナ……!? なにを言って……!?」


 ヴィルヴィスが驚いた表情を向けてくる。その一方でディアマンテは興味を持ったのがまるわかりな笑みを浮かべていた。


「あらん……マグナといったかしらん? その話……どこで知ったのん?」


「エド本人から聞いた」


「へぇん……?」


「正確にはエドと対峙した仲間から、だな」


 これには覚えがあるのか、ルドレットはもしかしてと確認を入れてきた。


「アハトから……?」


「ああ。詳細は伏せるけど、アハトがエドを追いつめたときに彼本人から聞いたらしい」


 国宝である〈精霊の目〉を奪われたため、これを取り戻すために聖都に戻るつもりだったこと。


 またムルファスとしての意識が最近芽生えたという話も聞かせていく。


「遠く離れた者とコンタクトを取れるのかしらん?」


「限定的だけどな。詳細は言えねぇぞ」


 こう言っておけば、なにかの魔道具かオーパーツを使っているんだろうと勝手に解釈してくれるだろ。


 俺はついでに向こうの戦場で起こったことも教えてやる。


「火と水の精霊はいま、四聖騎士の手元から離れている。元に戻るかは不明だ。エドを追いつめたアハトは、たぶん聖都を目指しているんじゃないかな……?」


「むっふぅ。もしかしたらエドが、ムルファス殿下の骸が精霊化したものでは……という予想はしておったが……」


「でもん。骸の精霊が元の人格を取り戻す話なんて、これまで聞いたことがないわよん?」


 そういやその点についてもエドがなにか言っていたな。


 精霊化しやすい地であることと、〈精霊の目〉を所持していたことが関係していたんじゃないか……とかなんとか。


「ちなみに前聖王が弟に向けた手紙があるらしい。そこにはっきりと記載されているそうだ。グリアジーンがクンベルと王妃の子だって」


「なんと……」


「なるほどねん……。クンベルちゃんのことだから、その手紙とエドを消したくてたまらなかったのねん」


 グリアジーンが前聖王の血を引いていないという証拠と生き証人だからな。……骸を生き証人というのも変な感覚だけど。


「ま、まってくれ……! その話が本当なら……! へ、陛下は……王族の血を……!?」


「引いていないことになるわねん」


「それどころか、我らはクンベル殿の子を大神殿長として敬っておったわけだねぇ」


「………………っ!!」


 おお……これは一波乱ありそうだな。でも神殿長たちも各々調べていたみたいだし、遅かれ早かれ暴かれていた事実かもしれないけど。


 それにエドはいまも証拠となる手紙を持っている。これもじきにいずれかの神殿長の手に渡るだろう。


「この国は……どうなってしまうんだ……!?」


「まずは手紙を確保したいところですが……マグナ殿。手に入りますかな?」


「俺の仲間が手に入れているみたいだけど……って、あれ……」


 いよいよ大きな扉が見えてくる。だが扉の前には2人の男性が立っていた。


 2人とも武装しているな。俺は警戒しつつ神殿長たちの前へと出る。


「もしかして警備の人?」


「ここは基本的に、一部の者しか立ち入りできない。警備なんておいていないよ」


「だよね。じゃあ……」


 敵か。すでにそう判断していたが、答えはちゃんと向こうから示してくれた。


「あん? どうしてここにメイフォンがいる?」


「メイフォン。どういうことだ? それにその女たちは四聖騎士だろう?」


 サムとマッソーも前に出てくる。今ので2人の正体がわかったからな。


「メイフォン。こいつらも四剣四杖なんだな?」


「……ああ。たぶん聖痕を手に入れるまで、ここで見張りを任されたんだろう」


「メイフォン……? まさか……裏切ったのか……!?」


 先手必勝。俺はフォトンブレイドを取り出すと一気に距離を詰める。


「…………っ!?」


 衝突するのは確定事項だ。そしてメイフォンと同等の実力を持っているのなら、グナ剣で戦っても勝つのに時間がかかっちまう。フォトンブレイドで一気に片をつけてやる……!


 とっさに剣を取り出した男に光の刃で斬りかかる。男は刀身で受け止めようとしたが、光の刃はその剣ごと男を斬りさいた。


 続いて後ろを振り向く。男の腕先には光球が生まれていた。


(魔術か……!)


 身体能力にものをいわせて、光球が放たれる前に腕の付け根から斬り落とす。そのまま光の刀身で胸部を刺し貫いた。


「がふ……っ!?」


 フォトンブレイドの刃を消し、金属筒を懐に入れる。メイフォンは死体となった2人に視線を向けた。


「四剣四杖の2人をこんなにあっさり……」


「まぁ俺の武器は初見殺しみたいなもんだからな」


 物理的に打ち合うこともできないし。エネルギー残量に注意は必要だが、接近戦になればこの世界の達人相手でも優位に立てる。


「あらん、すごい武器ねぇん。魔獣大陸のオーパーツかしらん?」


「まぁそんなところだ。それよりここにメイフォンの元仲間がいたということは……」


「ああ。まだこの奥にギラたちがいるんだろう」


 扉はわずかながら開いていた。どうやらこの扉が〈精霊の目〉がなければ開けない扉だったらしい。


「この先がどうなっているかは、だれも知らないんだよな……?」


「そうだねぇ。さてさて、どうするか……」


「とはいってもん。賊が〈精霊の目〉を持って侵入しているのは明らかだしん。放置はできないわよねん? そしてこの場には、四聖騎士がいるしん?」


 そういうとディアマンテはルドレットとルスチーヌに視線を向ける。戦力としてあてにしているのだろう。


 だが待ったをかけたのはヴィルヴィスとローアンだった。


「なにが待ち受けているかわからないのに、ルドレットに行かせるわけにはいきません……!」


「ディアマンテ殿。すでに火と水の精霊は奪われているのです。これ以上、契約精霊を失うリスクは避けるべきでしょう」


「あらん……? そうん……?」


 風と土の四聖騎士を守りたいみたいだな。だがローアンの言葉には一理ある。


 火と水の精霊が元通りになる保証はないのに、ここでさらに精霊を失うリスクは取りたくないだろう。


「なら俺が行くよ」


「もちろんわたしもね!」


「……わたしも行こう」


 リュインが飛んでくる。まぁメイフォンにせよ、来たいならとめはしないけど。


 だがこの先になにがあるのかは気になる。神殿関係者がいない方がいろいろ調べやすいし。


「神殿長としてん。部外者をこの先に進ませるのは許可できないわん」


「ディアマンテ殿……。いまはそんなことを言っている場合では……」


「そうねん。だからぁん……マグナん。取引をしないかしらん?」


「……取引?」


 なんだろ……。敵意はとくに感じないけど……。


「とくべつにあなたを神殿長の代理として認めるわん。そしたらこの先に進めるしん?」


「はぁ……」


「また賊侵入の可能性を報せてくれたことも合わせて、べつに褒美も用意してあげるん。で……ものは相談なんだけどん。エドの持つ手紙……譲ってくれないかしらん……?」


 なるほどね……。要するに神殿長の代理としていろいろ権利を認め、かつ褒美もたくさんあげるから、エドの手紙をくれという取引か。


 どうせこの先に進めるのは俺くらいだ。だからこそプラスαに褒美も用意すると言ったのだろう。だが本命はエドの持つ手紙だ。


「……そこまでして手紙を求める理由は?」


「んふん。女の嫉妬……いえ。意地かしらん……?」


 なんのこっちゃ……と思っていると、ヴィルヴィスが小声で補足してくれた。


「ディアマンテ様は、前聖王の婚約者だったんだよ。くわしくはわからないけど……婚約破棄されたと聞いている」


「………………」


 まぁ……あくまで想像しかできないが。きっといろいろあったんだろう。


 だがディアマンテの胸中はなかなか推し量れないな。前聖王は別の女と結婚したのに、その子の父は別にいて王家の血を引いていないというのだから。いったいどういう精神状態なんだろうか……。


「仲間が手紙を無事に手に入れたら……でいいか? まだ俺の手元にあるわけじゃないし」


「いいわよん。それじゃいってらっしゃいん。〈精霊の目〉を取り戻してくれたら、さらに報酬をはずむわよん」


 なんとなくディアマンテの目が怖ぇ……! 


 そんな寒気みたいなものを感じながら、俺はリュインとメイフォンと共に扉の奥へと向かったのだった。










挿絵(By みてみん)

 前書きにも記載させていただきましたが、本作のコミカライズ連載がスタートいたしました〜!

 これもいつもご覧いただいている皆さまのおかげでございます、本当にありがとうございます。


 素敵に描いていただけるのは、超実力派のレルシー先生!

 ぜひぜひ、レルシー先生の描かれるアハトさんに会いに行っていただけますと幸いでございますっ!


 連載先は竹書房さんのwebコミックガンマプラス! 無料でご覧いただけますっ!


https://gammaplus.takeshobo.co.jp/manga/teikokuuchugun/


 最近転職したこともあり、本編連載が少し滞っておりましたが、また時間を見つけて投稿し続けていきたいと考えております。

 今後とも「帝国宇宙軍所属の俺ですが〜」をよろしくお願いいたします!

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