今川城御前試合④
第6試合目が始まろうとしている。
梶和一騎は、杖術の達人だった。
神道梶和流杖術の流祖であった。
持っている杖は、長さが2メートルもあった。
これを竹刀風にすれば、杖術自体が成立しないと本人から言われて、仕方なく使用を認めた。
寸止めでするように言っているが、試合でどうなるかは分からない。
そして相手は、天真斬心流居合で有名な天真蘭丸であった。
天真弦真の息子で、13人の盗賊を居合で切り殺したことでも有名だった。
この蘭丸は、凄い切り傷が顔や腕に残っていた。
それだけの修羅場をくぐり抜けてきたつわ者だった。
そしてこちらも竹光の刀だった。
この御前試合の為に、自ら削って作ったものだった。
互いの御前にお辞儀をして、向き合った相手にもお辞儀をしている。
そして準備も整ったようだ。
見届け人が合図の「始め」と言い放った。
先に動いたのは、一騎であった。
杖による連続の突きを放った。
蘭丸は、右によけて更に右に移動してよけた。よけに徹していた。
凄い一撃の突きが放ったれた。
しかし、それに合わすようにかわして進んで抜刀された。
そして鞘に納刀されていた。
見ている者は、それを見ていなかった。
一騎の右腕が斬られて、血が中に舞うのを見ていた。
血が円を描くように舞ったのだ。
それは鮮やかできれいだった。
それに目線がゆくのも仕方がなかった。
見届け人が「早く救護班を呼べ。早くだ!」
俺は、その場を離れた。
運ばれた担架の上で、斬られた腕を元の位置に戻した。
そして回復魔法を掛けた。徐々に回復して腕は付き始めていた。
「運んでいいぞ」
元の席に戻ると、第7試合目が始まろうとしている。
男は二刀流だった。
大と小の竹刀を持ったまま現れた。
名は伊丹玄十郎で二天一流と名乗っていた。
選抜戦で勝ち上がった男だった。
身長が182センチの体格のいい男だった。
その相手は、海藤幻馬で新明無限流の免許皆伝。
身長も178センチと高いが、玄十郎と比べると細いので見劣りしてしまう。
見届け人が「始め」と言い放った。
幻馬が仕掛けた。
横一文字に振ったが、軽くいなされた。
それでも突きを放ったが、軽く打ち上げられていた。
何度も何度も攻撃をするが、全てが2刀によっていなされていた。
幻馬は、右足を踏ん張りながら指先で石を掴んでいた。
右足を踏み込む形で、石を玄十郎の目に向かって放った。
玄十郎は微動だしないまま眉間に当たり、血を流していた。
そして玄十郎の目が、カッと開いた。
手に持っていた竹刀を投げつけた。
幻馬は、なんとか払い落とした。
しかし、竹刀に隠れて投げられたもう1つの竹刀で眉間を強打。
ふらつく幻馬を玄十郎が襲い掛かり、卍固めにして取り押さえた。
腹に手足を卍にされて、哀れな姿だった。
そして「ミシッ」と音がして幻馬は気絶していた。
見届け人が「それまで、勝者は伊丹玄十郎」
気絶した幻馬は、救護班によって担架で運び出されている。
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