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今川城御前試合②




今川城御前試合は、まだまだ続いていた。


第4試合目が始まろうとしている。



伊東一刀斎いとういっとうさいは、若い男だった。

中条流の達人、鐘捲自斎かねまきじざいが出る予定だったが、やまいで出ることができなかった。

伊東は、弟子の中でも若いが強かった。それで

代理で伊東が出てきた。


今川の殿様が「そちは、いくつだ」と突然に聞いている。


「21歳で御座います」


「ああ、赤鬼と出合ったのもそのぐらいだったか・・・」


なんだ、俺のことでも思い出したのか・・・ほら、周りの視線が俺に向いていぞ。



そして、対戦相手がやって来た。

斎藤伝鬼房さいとうでんきぼうであった。

歳も一刀斎と変わらない若者だ。


この伝鬼房は、塚原卜伝つかはらぼくでんに弟子入りして新当流を学んだ。

塚原卜伝もこの御前試合に出たかったが、高齢の為に周りがとめたらしい。


そして伝鬼房は、竹刀のほかに脇差の竹刀を腰に差していた。


今川の殿様が興味を持ったらしく「その方は、二刀流なのか?」


「いつなんどきも、油断が出来ませぬ。その時に備えています」


「そうか・・・良い心がけだ」


両者が準備が出来たようだ。


見届け人が「始め」と言い放った。



伝鬼房がゆっくりと前進すると、一刀斎は後ろに引いた。


今度は一刀斎がゆっくりと前進すると、伝鬼房は後ろに引いた。


20分が経過しただろう。


一刀斎が中段に構えてすぐだった。

一瞬で突きを放った。伝鬼房はなんと右にかわした。


しかし、一刀斎の猛攻は止まらない。

そして激し攻撃が続き、見届け人が「待った、両者離れて身だしなみを整えるように」

両者は仕方ないなと離れた。


激しい猛攻が30分も続いたのだ。たすきもゆるんでいた。

両方が身だしなみが整ったようだ。

手伝っていた人も引き下がって行く。


一刀斎は下段に構えた。伝鬼房は上段に構えて居た。



見届け人が再開に合図の「始め」と言い放った。


それは一瞬だった。互いが動き竹刀がぶつかった。


伝鬼房の竹刀がくるくると天高くに舞っている。

伝鬼房は予期していたように、すでに脇差の竹刀を持っていた。


すぐに一刀斎のふところに入っていた。

伝鬼房の猛攻が始まった。一刀斎は防ぐのがやっとだ。


あんなに優勢だったのに、突然に伝鬼房が後ろに引いた。

見逃さなかった一刀斎が、渾身こんしんの一撃の突きを放った。


伝鬼房ののどに見事に入った。

しかし一刀斎の頭には、あの回転して飛んだ竹刀が落ちていた。

「バシッ」と音がここまで聞こえた。


一刀斎は、ひざを付いて頭を触った。

べっとりと血が出ていた。


伝鬼房は喉に手をやりながら、咳き込んでいた。

手には、血が付いていた。



見届け人が「早く救護班を呼べ」


駆けつけた救護班によって、試合場から両名が退場していった。


「両者引き分けでよろしいですか?」


今川の殿様も納得したように頷いていた。




大名の間ではささやかれていた。


「あれは、わざとあの位置にさそったのか?」


「そうでしょうな、誘ったから油断が出来たのでしょう。本人は勝ったと思ったでしょうな」


「成る程・・・凄いな・・・」




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