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2回花火大会




今日は待ちに待った第2回花火大会の日だ。

普段の京のにぎわいよりも10倍程の人、人、で埋め尽くされていた。

気の早い者は、1週間前から京入りをしている。


それ程に、日本国内でも有名になっていた。


今川城から武家屋敷の大通りには、屋台が昼からオープンして賑わっていた。

水風船屋。

焼きとうもろこし屋。

お好み焼き屋。

たこ焼き屋。

綿菓子屋。

輪投げ屋。

おみくじ屋。

かき氷屋。

冷やし飴屋。

など様々な店が並んで、道行く人は買ったり食ったりして夜になるのを待って居た。


「おじちゃん、そのキラキラ光ってるのなーに」


「お譲ちゃん、これは氷だよ。冷たくて甘い飲み物の冷やし飴だから美味しいよ」


「お母さん、買って」


「しょうがない子だね」




あっちこっちの川沿いには、大勢が詰めかけて白浜屋の方向に向けて陣取っていた。

親子なのだろう。持って来たゴザをひいて、座りながら方向を確認している。


「いい場所が取れたぞ。ここならよく見えるだろう」


「おとう、花火はまだかな」


「まだまだ夜までは、かかるな~ぁ、お前が早く行こうと言うからだぞ」



「みちゃん、ここだよここ。ここから花火がよく見えるって」


「ありがとう、たかちゃん。これが握ったばかりのおにぎりよ」


「みっちゃん、助かるよ。たかの奴がせかすもんだから・・・」


「どうせ夕方には、おっかあとおっとうにおばさんも来るもん」





ああ、何故なんだ。

いくら花火がいいポイントで見れるからって、俺の屋敷に集まるんだ。

3階建ての屋上から、真正面で白浜屋が見えるからって・・・

天皇自身が公家を引き連れて20人が来ていて、屋上で昼からビールを飲んで騒いでいる。


「今夜は無礼講だ、さあビールを持ってまいれ」


あああ、1人の公家がもう出来上がっているぞ。


そんな騒ぐ者をおいて、白浜屋で花火の準備でも済まそうと急いでいると、静香が我が子あやしながらやって来た。

その後ろには2歳になった坊が、ばあやの手を握って付いて来ていた。


「殿、わたしを置いてゆくのですか?」


「花火の準備があるから」


静香も付いて行きたそうな顔で俺を見てくる。しかし、くずる我が子を見て諦めたようだ。


「ばあや、坊は寝たかえ・・・」


「はい、寝たようです。ほんに可愛い寝顔で御座います」


2階のベランダで風に当たりながら、丸まった坊がすやすやと寝息を立てている。




「なにやら騒がしいと思ったら、公家衆でないか?」


「これは将軍様!」


「ああ山田だ、だったかな・・・いさむはどうした」


「花火の準備をしております」


「そうか、準備なら仕方ないな、夜までここで待とう。それにしてもあれは何を飲んでいるのだ」


「冷えたビールで御座います。おい三郎、冷えたビールを持って来い」


ジョッキに泡が溢れるビールが、テーブルの上に置かれて摘みの枝豆も置かれた。


「これがビールか?この泡はなんじゃ」


「ビールの炭酸が抜けないように泡でふたをしてます」


「泡? ・・・ぐびぐび、ぷはーぁ」


「どうでしょうか?」


「凄い飲み物じゃ、のどがクッハーと抜けたぞ・・・癖になる飲み物じゃー。この緑の物はなんじゃ」


「枝豆で御座います。このように指先でぷちっとすると豆が出て、大変においしいものです」


「もぐもぐ・・・おおビール後にはいいな、もぐもぐ」




夜になると、今か今かと夜空を大勢が見ていた。



「バン、ヒュ~ドン」


夜空に花火が咲くと、方々から歓声が沸き上がっている。


「バン、ヒュ~ドン」


迫力ある打上げ音と、華やかな光のコラボが広がってゆく。


「みっちゃんきれいだね」


「そうね、たかちゃん」




「やはり御所からみるより、ここが1番いい・・・これ!誰かこやつを帰らせろ・・・ほんに酔うほど飲みよって」




「勇はまだ来ぬのか?」


「遅いですね・・・」




我ら夫婦は、2階のベランダから子供を見守りながら、花火を楽しんでいた。


「今から300連発が見られるぞ」


「あら本当に連続に花火が上がっているます。なんと凄いのでしょう」


「あれが終われば、最後に3尺玉が打ち上がるだろう」



「バン、ヒュ~ドン」と大きく音がして見事な花火が夜空一杯に咲いた。



「ああ、あれが花火と言うものなのか・・・生きながらえて、きれいなものが見られた。これも毘沙門天びしゃもんてんみちびきなのか・・・」


「何を言われますか・・・京に名医と言われる方がいらっしやいます。そこに行けば足の痺れも治りましょう」


「前の将軍様には、恩 があるのだ・・・」


「その将軍が身を寄せている方だそうです」


「何、そこに居るのか・・・」


「居ると聞きました」



その夜空に向かって、人々は思い思いの願いを願っていた。




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