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なくした物が戻って来た




あれから百貨店は、オープンして連日、大勢の客で賑わっていた。

それを良い機会だと思ってか、京への百貨店を山田のおっさんと木下が願い出てきた。

木下の後ろには、弟の木下小一郎がひかえていた。

その小一郎に京の百貨店を任せるつもりらしい。


幸いなことに、京の屋敷から更に離れた所に土地を取得していた。

山田もそれを知っていての願い出であった。


「分かった。好きなようにすればいい」


3人は、畳にひたいをこすり付けるぐらいに、お辞儀じぎをしている。


「それでは、これを感謝の気持ちです」


なにやら木箱を差出してきた。

なんだろうと開けてみてビックリしてしまった。



「俺のスマホだ!!これを何処どこで・・・」


「堺の店のすみに、ひっそりと売り出されていました」


「値段は!」


「10両で御座います」


「うん・・・・・・めぐりにめぐって、なぜ堺までいったのだろう」


「やはり殿が無くした物でしたか、わたしも微かに記憶があり申した」


そんな昔のことを覚えていたのか?




今なら分かる。

これは画期的な集積回路を世に出すチャンスなのだ。

あの当時は、錬金術も熟練じゅくれんしていない状態で、使い勝手も大雑把おおざっぱであった。


今では、バッテリー切れで使い物にならないが、俺なら修理もコピーの再生も可能だ。

再生して、色々な技術を取上げて、飛行機への転用も可能だろう。


今までは、トランジスターの存在は知っていても、作り出せなかった。

真空管を幾つも使って無線機を作り上げた。

現物さえあれば、コピーも簡単だった。ああ、わくわくしてきた。





京の百貨店は、『白浜屋』の屋号やごうでオープンしていた。

京の客は保守的であったが、しだいに客が入るようになり、洋風タイプの服が売れ出している。

保守派も着れるように、露出をおさえた服が売り出されていた。

使われていた科学繊維かがくせんいは軽くて機能的だった。


京の暑い日でも、十分に涼しい肌触りで売れに売れている。

公家の下働したばたらきが着るようになり。

公家の娘が着るようになりだした。


うだる暑さの夜には、作務衣さむいタイプの夜着よぎに変わる物として公家自身が着だした。

そうなると好奇心の強い天皇自身が、白浜屋に天皇御用達を命じた。


急ぎ、仕立て職人がおもむき、寸法ヶ所を知らせて寸法が取られた。

作務衣は半日で作って、送り届けた。

いたって気に入ったみたいで、色違いの物が再度注文されている。




そして、オープン100日を記念して、打ち上げ花火を開催する事となった。

花火を知らない人々に、彩色されたポスターに、夜空に花咲く花火の絵が描かれていた。

そして場所と日時が明記さてれいる。

打ち上げ場所は、白浜屋の屋上からだ。

ここなら、広い地域からも見る事が出来るからだ。



夕暮れ時には、白浜屋の周りには屋台を出していた。

水風船が浮かぶ大たるに子供がむらがり、紙のこよりに付いたフックで水風船を釣っろうとしている。


「あ!切れた」


「残念だったな坊主、1個も釣れなかったから好きな1個を持ってゆけ」


釣れなくても1個はもらえて、釣った場合は釣った物と1個がもらえた。


「母上、もう1回やらせて下さい」


「もうこの子は・・・1回だけよ」


「はい」


この水風船、単価が安くてぼろもうけだった。

もらった子供はやみくもに水風船を、手の平でバンバンしている。


店のオヤジは「こうやるんだ」と言ってやり方を見せていた。

周りから拍手がいていた。


綿菓子屋では、行列が出来ていた。青や紫の綿菓子は人気だ。


木下小一郎は、焼きとうもろこし屋で網の上にとうもろこしを並べていた。


「店からとうもろこしを持って来てくれ。残り少ない」


「そう思って持って来ているわよ。それにしても妹をこんなに遅くまで働かせるなんて・・・それにしても凄いにぎわね、うちの旦那は何処で働いているの」


「そうだな、あそこのお好み焼き屋で必死に焼いているよ・・・いらっしゃい、1つですね」


とうもろこしが焼かれてタレが塗られると、香ばしい匂いがただよい、美味しさが倍増していた。

その匂いに誘われて客が集まってきた。




そして、いよいよ京の夜空に花火が打ち上げられた。


「バン、ヒュ~ドン」


一斉に空を見上げた。

夜空に花が咲いた。キラキラと赤や黄色がきらめいていた。


「なんてうつくしい・・・」


「父上、きれいですね」


「うん、きれいだ・・・」


「バン、ヒュ~ドン」


「また、花火だ」


京の本郷家屋敷から、花火を眺めていたのは今川義元であった。

作務衣を着て、扇風機に当たりながら、見ていた。


「ここが一番の眺めじゃー」


「それは、良かったです」


「あれは火薬が燃えて光るのだろう・・・なぜに色鮮やかなのだ」


「火薬に銅を混ぜれば青緑に、ナトリウムで黄色に光かがやきます」


「ほう・・・そのような事が・・・」


左手にはガラスの器に、イチゴ味のかき氷がてんこ盛りであった。

そして右手のスプーンですくって食べていた。

沢山を一気に食べ過ぎて、頭痛がして眉間にしわを寄せていた。




なぜだか毎年、この日に花火を打ち上げるように天皇から、じきじき言いわたされた。

天皇は花火の事は知らなかった。

微かな音で外を見上げて、終わり掛けの花火を2発程を見ていた。

その後、公家や周りの者に小言を言っていたらしい。


なので線香花火を送っておいた。

ちゃんと説明書きも一緒に送っている。

勿論もちろん、関西タイプの稲藁いねわらの先に火薬がついた物だ。

作り方が簡単だからだ。




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