海底トンネル
淡路と本州をつなぐ海底トンネルがようやく開通した。
そして淡本トンネルと呼ばれるようになった。
今は土木隊が京まで鉄道をつなげる為に、線路作業にいそしんでいる。
「そこの枕木を持って来い」
「ここで良いですか、親方」
「今度はこっちを手伝え」
「へい!よっこらしょっと」
「いいか、枕木に線路を固定する時は、左右の幅が大事だ。レールにゲージを当ててゲージ通りに設置するんだぞ」
「へい、分かりました」
「おい!ここのバラストは、なんだ!!これで電車の衝撃を緩和できると思ってるのか、1列に並べ気合を入れてやる」
なにやら怖い事を言ってる。
出来上がった線路には、作業用電車が工事資材を満載して待っていた。
作業者は、そこから資材を取り出して線路工事を進めていた。
関門海峡の下を通る関門トンネルも出来上がった。
電車が通れる穴は、まだまだ先の事なので、しばらくは荷馬車が通る事を許した。
今も往来する荷馬車でにぎわている。
「おっさん、そんな老馬に引かせてなにをやってる。後ろを見ろ列が出来て困ってるぞ」
「すいません、わたしもコイツも始めてなので、許して下さい」
「そんなにあやまれたらな・・・」
ここからが難関だった。
北海道と本州をつなぐ海底トンネルを掘らないといけない。
北海道の家臣が、日ごとに期待を込めて聞いて来るのだ。
「いつ、海底トンネルができるでしょう」
時には、書状にびっしりに書かれたものが送られることもあった。
いつか作るよの言葉は、もう通用しなくなった。
北海道の家臣団が、紀伊までやってきて、正式に願いでた。
そうなると、「やるぞ」と言うしかなかった。
広い海を見ながら考えていた。
ああ、こうなったらトンネルを掘るしかないな~。
気合を入れて掘ってゆく。
50キロも越すトンネルは初めてだ。
海底の深さも半端ない程深いと思う。
船から鉄のおもりをロープでくくって、投げ入れた。
海底の深さをトンネル上に何度も何度も計った。
そして図面に書き込んで行く。
「ここは、こんな深さだったのか?」
「船長、1キロ先に進んでくれ」
深い所で140メートルも深さがあった。
そこから更に100メートル深い位置にトンネルを掘る必要がある。
図面で計算するとゆるい傾斜でつなぐ必要がある。
徐々に傾斜をつける為には、それぐらいの深い位置でないと無理だ。
急な傾斜は電車は走行出来ない。
しかし急な傾斜を上ってゆく方法はないこともない。
特殊な方法だが、名前は忘れた。
2本のレールの間に敷かれた特殊なレールがそれだった。
歯車のようなギザギザがレールついている。
そこに電車に取り付けられた歯車が、レールと噛み合って回転して急な勾配も上ることができる。
その勾配にも限度があって、それを越すと上ることもできない。
しかし普通の電車でない。
将来的に北海道や日本中を電車を走らせる積もりだ。
なので今回のレールに使うことはない。
なのでゆるい傾斜にしなくてはならない。
ようやく青函トンネルが完成した。
大勢の人たちが集まって、テープカットの式典をとり行った。
俺がテープの真ん中をハサミで切った。
皆、不思議な顔をして見ていた。
「あれは、何をしているのでしょうね」
「さあ、分かりませんね。何故ひもを切るのか?」
こんな式典では当り前だと、指示してやったのにしらけムードだ。
それでも家臣からは、温かい拍手が聞こえてくる。
それに釣られて拍手が沸きあがった。
式典もそこそこに、1番電車に大勢が乗り込んだ。
「ダメだよ。履物は、はいたまま乗るんだよ。はいはい、あなたの履物だよ。そこのお嬢さんもこれをはきなさい」
昔あるあるで、慣れない乗り物を、偉い人が乗る駕籠と間違えて履物をぬいで、そのまま忘れてしまうのだ。
なので、履物を手に持って電車に乗り込んだ者も居るのだ。
そんなこんなで、定刻になったので電車は走りだした。
電車の窓から手を振っている。
見ている人も、同じように手を振って送り出した。
乗れなかった人たちは、次の電車で乗ればいい。
まだ大勢の客は、次の電車が来るのを待っている
この電車は、北海道と本州のみの往復運転で開業する事となった。
貨物列車も走行するので赤字は出ないと思う。
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