硝石
明との貿易は順調だ。
何故そうなったのか、南蛮船を打ち負かしてからだった。
南蛮人の蛮行も大人しくなったことで、明に恩を売る形となった。
なので、貿易が頻繁に行なわれるようになった。
今では、港には貿易館が建てられていた。
「硝石が大量に欲しい。どれくらい出荷できる」
「我想要很多硝酸鹽。 多久可以發貨」
「只有一點」
「『すこししかない』と言ってます」
「そうか、あるだけ買うと言ってくれ」
「買」
薩摩も将軍から貿易の許可を頂き、貿易を公に行なえるようになった。
昔は密貿易を頻繁にしていたのに。
もうその貿易は明の港なら全部を踏破する勢いで、徐々に南下している。
悪い癖で明以外とも貿易をしている。
知られてないと思ってか、どんどんエスカレートしていた。
将軍も「ほっとけ」と黙認していた。
そして、俺が何度目かのパナマ訪問へ行く途中で、ある予感めいたものが大きく反応した。
俺は本能の赴くまま命令を下した。
「針路は南だ」
「え!南ですか? ・・・・・・」
その為にパナマ運河を過ぎて、南アメリカに南下して、それを発見した。
どうも南蛮人が踏み入った形跡がなく、原住民はあまり警戒していない。
だから手振りを交えて、交流を図った。
やってみれば、なんとかなった。
原住民から土地を購入して、発掘の最中だ。
土地の購入までが大変だった。
現地の言葉を理解するまでに、忍者でも1ヶ月間も掛かってしまった。
そして、代金の換わる物を模索した。
悪い奴だと女をよこせと言ってくる奴もいる。
しかし、金の輝きには負けたようで、すんなり土地を購入できた。
今は石油が豊富にあるので、ディーゼルエンジンのパワーシャベル・ブルドーザーが活躍している。
電子制御でないので、レバーの数はやっぱり多い。
「でました。硝石です」
「でかしたぞ。どんどん掘りまくれ」
「どれくらあるのでしょう・・・これで手間を掛けて作らなくてもよくなりますかね」
「いや・・・作るのはそのまま継続だ。それで暮らしている人もいるんだぞ。いくら沢山あるからって。油断は禁物だ」
「浅はかな考えでした」
硝石を掘って掘りまくっても、原住民は無関心だ。
そのかわりに原住民の生活道路を拡張してやった。大いに喜んではしゃぎ回っていた。
ブルドーザーが道を平らにしていると、大勢の人が寄ってくるのだ。
その為に、原住民を雇い、危険が及ばないようにガードマンの役割をさせた。
本当に困ったもんだ。
平らになれば、アスファルトが引き詰められて、上をローラーが何度もならして固めた。
出来上がったアスファルトの道路を、転げ回る原住民には、本当に困ったもんだ。
ここに建てた病院にも、原住民も通ってくるようになった。
大怪我をしても、治してくれる病院は、しだいに神のように崇める者もいる。
病院の前には、毎朝お供え物が置かれるようになった。
仕方ないので、原住民の入院患者の食事に使っている。
そして、その料理がここにも流行だした。
カレーや味噌汁など様々な料理だ。
そして、いつしか原住民の数は増えだした。
近隣からやって来た人たちで、数を増やしている。
みすばらしい家が建ち並び、嵐がくれば吹飛んでしまうほどだ。
仕方ないので、大工連中が家の建て方を教えて、道具も貸してやって建て始めた。
更に人が増えてしまう。
仕方なく土地を新たに購入して、田園をつくってゆく。
とうもろこしや麦に大豆が実って、青々として育っていた。
あいつらをほっとくと、木の伐採もめちゃくちゃで、食べれる野生動物も乱獲してしまう。
なので木の伐採後は、植林をさせて次の世代のことも考えさせた。
野生動物も、家畜化させている。
俺が2度目の訪問時は、更に都市へと変貌していた。
誰が教えたのか、選挙を行なって代表を選出していた。
そして、議員が20名もいる。
それに学校まで建っていた。そして職業訓練所も出来ていた。
そこで訓練した者は、大工や陶器作りにはげんでいる。
自主的に家臣がした事だ、怒る訳にもいかない。
そして大きくなってしまった。ここは何処だろう。
南アメリカで思い出すのは、ペルー・ブラジル・コロンビア・アルゼンチンだ。
しかし位置関係はあやふやだ。
この4つの国ではない気がする。まあいいか。
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