バナナ
対馬でスペインとの会談で、色々な取り決めが決められた。
スペインの植民地へ連れて行かれた日本人の返還。
最初は金で買った物だと主張して、ゆずらなかった。
ならば賠償金を吊り上げて、それで買取ると言うところっと手の平を返しやがった。
本当にこずるい奴らだ。
そして捕まえたスペイン人を返還することにもなった。
それと本郷家に対して、賠償の一部としてフィリピンのミンダナオ島をもらい受けた。
その話を聞きつけた本郷海運業が動き出した。
是非に、ミンダナオ島の開発を任せて下さいと、本郷海運業の川島権三郎が名乗り出てきた。
なにやら目論見でもあるのだろう。
実績も積んでいたので許した。
そして俺も同行することにした。
「あれがミンダナオ島か、中々な物だな」
「丁度よい位置に、補給場が出来て助かりました」
そうか、俺が居ないと、水や食料も困るらしい。
そしてミンダナオ島へ降り立った。
フィリピン人は、警戒しながら俺達を見ている。
スペイン人の変わりに来た俺達に、警戒心が一杯のようだ。
「通訳、このミンダナオ島で対等に商売が出来ることを話してやれ」
「本当に良いのですか?」
「ああ、前に話したことを言えば良い」
「×××××、××××××××。××××、×××××」
半信半疑ながら、ここの代表が案内を買って出た。
ミンダナオ島を歩き回った。
「これは、バナナか・・・」
なにか俺の知っているバナナと違う。
「これって食べれるのか?」
「×××、×××××××××」
「×××××、××××××××、×××××××××」
「ラカタンと言う名で、甘くて美味しい食べ物です」
皮をむいて食べたが、本当に甘い。俺の知っているバナナと違う甘さだ。
しかし、俺が知っているバナナが食べたい。
手振りやジェスチャーで、俺のバナナを表現すると「ついて来い」と案内された。
「えらい遠くにあるんだな」
「あまり人気のない物で、勝手に自生している物らしいですよ」
「人気がないのか・・・」
あ、知っているバナナが実っている。
目の前のバナナはまだ緑ぽいが、奥に生えているバナナは黄色の知っているバナナだ。
もぎ取って食べると、なつかしい味がする。
ラカタンより甘さをおさえた感じで、日本人に愛される味だ。
このバナナも昭和初期は、高級な果物として愛されていたらしい。
じいちゃんの親が、バナナ売りをしていたのでよくそんな話を聞かされた。
病気で入院した時に、見舞い品の定番だった。
食べたい時に皮をむいて食べられるから、それが良かった。
「それでこれの名は、なんなんだ」
「×××、×××××××」
「×××××、××××××××、××」
「名はないみたいです。誰も食べないので・・・雑草扱いですね」
「なんと、そんな扱いなのか・・・それなら栽培して我が本郷家で買取るぞ。そのように決めたから、よろしく頼むぞ」
「分かりました。この与兵太が、ここに残り栽培を成功させます」
俺はバナナに手をかざして、バナナの情報を読み取った。
成る程、バナナは木でなく草なのだ。植え付けから9ヶ月で収穫が出来る。
種はつくらず、根から出た吸芽を移植して増やす。
肥料はなにがいいのか、そんな情報を与兵太に教えてやった。
与兵太は、必死にメモに書き込んでいる。
後で聞いた話で、ラトゥンダンと言うバナナもあった。
小ぶりで皮は薄く果実は白く、酸味が強く、りんごのようなさっぱりした味わいらしい。
それに、料理用のバナナのカルダバもあった。
未熟な緑の皮を包丁でむいて、スープで煮込む芋扱いのバナナだった。
この島の主食と言ってもいいだろう。
焼いてヨシ、蒸してもヨシだ。
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