オーストラリア
適当な場所を選んで、反射炉の建設に取り掛かった。
俺のあやふやな知識だと、薩摩藩が作った反射炉を思い出した。
耐火煉瓦で作られた反射炉で、石炭を燃料にして使用。
石炭を燃やす燃焼室と精錬を行う炉床が別室になっている。
炉床に鉄鉱石を放り込んで、溶けると外に排出される。
溶かす為には、燃焼室に石炭で燃やす。
燃焼室の熱と燃焼ガスが天井や壁に反射して、炉床に熱を集中させる仕組みだ。
その為にも、反射角度を計算してドーム状に作らないといけない。
そして炉床側には高い煙突が必要な気がする。
早速、作ってみよう。失敗しても作りなおせば良いだけだ。
耐火煉瓦は思っていた程難しくなく出来た。
気を良くした俺は、大量に耐火煉瓦を作っていた。
次に大雑把な設計図を見ながら、地面に枝で燃焼室や炉床と煙突の位置を描いてゆく。
後は耐火煉瓦を積んでゆき、モルタルで固定してゆくだけだ。
「二郎、そこのレンガが徐々に右にそれているぞ。そうそう、それでいい」
「煙突も作り始めても良いでしょうか?」
「5段目までならいいぞ、炉床の天井部はカーブしているから、そこが固まってから煙突を作ろう」
コテを使ってレンガの上にモルタルを載せて、広げながらレンガを積み上げている。
俺は、そんな作業を見ながらパンを焼いていた。
強力粉・ミルク・砂糖・塩・卵・水と、錬金術を使って酵母を呼び寄せた。
それを混ぜ合わせながら練って、しばらくねかせる。
温度は27~30℃が良いらしい。
ふっくらと2倍に膨らんだ生地を練って、2回もねかせる。
それが終わったら切り分けて、パンの形に作ってゆく。
レンガの窯も熱くなったので、木べらで窯へ入れる。
窯の熱がチリチリと顔をてらすが、なんとなく心地よい。
この窯は、反射炉の小型で実験用だ。
上手く機能するか試したもので、今はパンを焼いて利用している。
出来上がったパンは、少し焦げているがそれが良い味を出している。
今は、居住民がパンを目当てにやって来ている。
「新ちゃん、ここで働いているの」
「今日から働いているよ。このパンがおいらが作ったんだよ」
「じゃーそのパンをおくれよ」
「1個はおまけだよ」
「ありがとう、新ちゃん」
なにやら新之助は、あの子に気あるみたいだ。
若いっていいな。
ここの地中深くに石炭がねむっている。
坑道による石炭採掘は危険と隣り合わせだ。
落盤や酸素欠乏などの事故に常に悩まされる。
最悪なのが石炭の粉で引き起こされる爆発だ。
そうなると助からない。
なので露天掘りで石炭を採掘をしようと考えている。
地面の土を一気に、亜空間へ収納してゆく。
やっと石炭の地層だ。ここでストップだ。
今度は、そこに降りられるように傾斜を付けて、土を収納してゆく。
なんとなくクレータのような2キロに及ぶ露天掘りが出来た。
後は黒田官兵衛に任せればいいかな・・・
黒田村へ戻って来た時には、漁船が帰って来て魚を運んでいる最中だった。
男や女が騒がしく漁港で働いている。
魚をさばく工場へ行くものと、冷凍庫へ行くものと分かれていた。
魚は干物にして、取リ過ぎた物は冷凍庫。
「なんだこの魚は、派手な色に変な顔をしている」
「殿、これって食べられますか?」
「食べられるみたいだな」
鑑定には、毒になるものはなかった。
「殿、こっちの魚も見て下され」
「ああ、これはヒレを触れるなよ。激痛がするが死ぬ事はないな」
ギョッとして魚から急いで離れた。
「おいおいそんなに驚くな、あれに触ってみろよ。死ぬ事はないってお殿様が言っているんだ経験してみろよ」
「なにを言ってるんだ!お前が触れよ」
わいのわいのと騒いでいた。
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