出雲国
山陰地方に進行した。
家臣団の動きは、思っていた程に遅かった。
俺らの軍が一番乗りで進攻してしまっている。
兵料の運搬を俺任せにしていたせいだ。
世話の焼ける奴らだ。
俺が山陰に出張ったのには訳があった。将軍の頼みだった。
地方進攻の初戦を負ける事が出来なかった。
勝って勢いを付けたいのが将軍の考えだった。
蝦夷の北海道は、明智光秀に任していた。
北海道が済めば、南下して陸奥国の青森地域を進攻する予定だ。
なので何の心配もしていない。
出雲国は、尼子氏が支配していた国だった。
しかしそれが毛利によって滅ばされて、数年が経過していた。
目の前には、その滅んだ尼子氏の尼子義久が居た。
「どうか、毛利征伐のお供にくわえて下され」
竹中半兵衛の方を見ると、頷いている。
「分かった。半兵衛の配下に付けるが良いのか?」
義久は、半兵衛に向いた。
「よろしくお願いします」
半兵衛は、熊野城や白鹿城について質問をあれこれしている。
多分、石見をすでに狙っているようだ。
「殿、毛利軍です。数は2万7千」
いよいよ毛利と戦うのか・・・
俺らは、毛利を誘い込むように平地で、川を背にしていた。
背水の陣ではないが、毛利はこの意図に気付くこともないだろう。
こちらは1万7千の軍勢が、川に沿って展開している。
前には柵が2メートルの高さで守りを固めている。
毛利軍は、2000メートル先で止まっていた。
なんか長篠の戦いに似ている。
向こうには、騎馬隊が少ないし、こっちの数も少ない。
条件は違うが、こっちは攻めて来るのをただ待っているだけだ。
すぐに戦いが始まると思っていたのに始まらない。
2日後にようやく動きが見え出した。
向こうは援軍を待っていたようだが、こちらの援軍が早く来ることが分かった。
それも向こうの大軍を凌ぐ大軍だった。
それは事実で、忍者隊によってわざと流した情報だった。
向こうの足軽が竹で出来た盾を、前面に押出して攻めてきた。
こっちは、長篠の戦いのように、三段撃ちにしていない。
ライフルを持った狙撃隊が1列に並んでいた。
柵にライフルを置き、今か今かと待っていた。
「まだ撃つなよ、800メートルの目印で撃ち始めろ。心配するな逃げ出しても射程距離から逃れられない。いいかーーここで全滅させる積もりで撃ち続けろーー。今後の戦いに有利になるからな、頑張ってくれよ」
案の定、毛利軍が800メートルの目印を越えて来た。
2千丁も越すライフルが火を吹いた。
悲しいかな、竹の盾を貫通して足軽は倒れだした。
それでも突進してくる毛利軍。
向こうも火縄銃の研究をしたのだろう。
こっちはライフルだと認識をしていない。その差は大きい。
こっちのライフルが連続で火を吹いた。
足軽が又も倒れた。竹の盾は全滅だ。
その盾を拾って向かって来る足軽も、又も倒れていた。
まだ700メートルにも達していない。なおも倒れる毛利軍。
前線で指揮する武士も、いの一番に狙らわれて倒れていた。
狙撃隊が、ライフルに銃弾を込めだした。
そんな時には、毛利軍は逃げ出していた。
補充されたライフルが火を吹いた。
1発2発3発、距離が伸びた事で狙いが外れだした。
しかし遅かった。腕の良い狙撃者が撃ち抜いていた。
向かってきた毛利軍は全滅した。
本陣に居た侍が、唖然として立上がっていた。
「何故だ、火縄銃の威力を超えているではないか? なぜこんな事になった」
言い終わった侍の眉間に、穴が開き侍は倒れた。
「ここまで届くのか?」
本陣の侍は逃げ出した。
2000丁のライフルが、一斉に撃ち込まれた。
2時間後に、味方の援軍がやって来た。
悲惨な光景に驚いていた。
3時間後に毛利軍がやって来たが、遠くから引き返していた。
「殿、終わりましたな」
「そうだな・・・・・・」
半兵衛の後ろで、尼子義久は暗い顔をしていた。
半兵衛が「心配するな、まだまだ戦は始まったばかりだ。城攻めで頑張ってもらうからな・・・」
それを聞いた途端に明るくなっていた。
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