アパレル
紀伊と伊勢で、ようやく桑が広く栽培されるようになった。
桑は、俺の植物魔法で蚕に充分な栄養を与える桑に成長。
それに従い蚕の数も増えていった。
綿と絹を合わせて、俺の号令の下で大改革が行なわれた。
まさにアパレルの分業制への改革だ。
桑を専門に栽培する桑農業。
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蚕の品種改良を行い、蚕に産卵させた台紙(蚕紙)を製造し、出荷する蚕種製造業。
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そこから蚕の種を購入して繭を作らせる養蚕業。
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できた繭の品質を検査する検査機関。
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繭を購入して糸を紡ぐ製糸業。
ここでは水蒸気を使って、繰糸機などを動かしている。
まさに産業革命の先取りだ。それによって女性の働き場が一気に増えた。
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作られた生糸の品質をチェックする検査機関。
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生糸を購入して撚糸業者に販売する生糸商社。
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繊維に織るために糸に撚りをかけて、指定の太さの糸を作る撚糸業。
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糸を染めて色を付ける染色業
この戦国時代は色にはうるさかった。強さを引き立てる赤が武将から好まれた。
紅花で染められた今様色は濃い赤色。
紅花を大量に使って染めたもので、単価的にも高い。
それに対して、少ない紅花で染めた場合は淡い色になる。
紅花は、黄色い花なのに赤く染まる花であった。
草木染めには色々とあった。
春は桜の木染、夏は藍の生葉染、秋は柿しぶ染、冬は玉ねぎ染と季節ごとに染めている。
草木染めの代表といえば『藍』だ。
藍そのものを育てるのは非常に簡単で、非常に強い植物なので 「雑草だ!!」 と思えば、それほど神経質にならなくても、水さえやっていればグングンと育つ。
藍を天日干しで乾燥させて、大瓶に藍と水を加えて発酵させ熟成させる。
そして何度も漬け込んで絞って、空気に触れさせる。
天日干しで乾かして染め直す。回数を重ねる度に色が濃くなるのが特徴。
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完成した糸をつかって、繊維を織る織物業
ここでは、従来の手織りで織ってゆく業者。
そして、機械科が独自に開発した。モーター動力で動く力織機。
早い話が機械で布を勝手に織ってくれる。
たまに糸が切れてストップするが仕方ない。
これもストップするように、安全装置を付けた結果だ。
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出来た布に対して染める染色業。
手書き染め、型染め、絞りなどがある。
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完成した反物や布を販売する呉服商。
この段階で、各地に売り出される。今も飛ぶように売れている。
我が領土の特産物として賑わっている。
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独自にデザインされた既製服を作る服屋。
従来の和服や、俺が書き上げた型紙をつかった洋服。
布を裁断して裁縫して衣服を作る針仕事。
今は我が領内に限定されている。
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完成した繊維製品・衣料品などを販売する小売店。
これも我が領内に限定されている。
静香を伴ない、城下をぶらぶらしていると『曼陀羅屋』の看板をぶら下げた店で、長い列が続いていた。
「あれは、なんでしょう」
「佐吉、あれはなんなんだ」
「あれで御座いますか、殿が着ていたジャージなるものが売り出されています。特に人気なのが赤いジャージです」
「ジャージを売っている・・・俺のと静香のジャージを買って来てくれ」
「佐助、殿と奥方様の寸法は知っているな、買ってくるように」
「はは」と言って店の中へ入って行く。
順番を守らないのかと、一瞬思ったが佐助を怒るのも大人気ない。
「殿、今様色や赤系は売り切れてありません。仕方なしに藍色を買って来ました」
「これがジャージか、少しファスナー部がかたいな」
銅製で作られたファスナーで、知らないうちに作られていた。
誰が作ったんだ・・・
「静香にも、きっと似合うよ」
「そうですか・・・」
なんだ、顔が赤みかかっている。
恥ずかしいのか、確かに着ると体のラインがしっかり出てしまう。
それもいいかも・・・
そして、左の店を見るとジーンズ専用の店もあった。
これも俺が、綿100%で藍染で作ったものが、知らない間に流行ってしまった。
通行する町人の中には、ジーンズをはいて着物を羽織ってなびかせている奴を見かけた。
着物の背中には、火消しマークの丸に『い』の字。
歩く姿はヤクザそのものだ。
やっぱり道端で、『ろ』の字の男とにらみあっている。
「おいおい、ここはろ組の縄張りだ。さっさと出て行け」
「何をいいやがる。ここは天下の大通り誰が歩こうが、文句をいわれる筋合いは無いね」
やはり佐助が飛び出して、叱り付けている。
「バカ野郎、こんなところで騒ぐな」
そんなことを言いながら、1人を蹴り倒してもう1人を殴り倒している。
「佐吉、早くとめろ。佐助は手加減ちゅうものを知らん」
佐吉も飛び出して、佐助の肩を掴んで振向かせると平手で思いきりビンタをかました。
踏ん張った佐助は、「なにするんだよ兄ちゃん」と言い放った。
「お前らもさっさとゆけ。こんなことは二度目は無いぞ」
「すいません。田中さま」
2人して逃げるように去ってゆく。
やはり火消しの職業は、気性の激しい性格なのだろう。
今度、火消しに対して注意事項でも書こうか・・・
「佐吉は、い組の若い奴を知っているのか・・・」
「知ってますよ。あいつの父親は、火事で亡くなっています。その父親がまたすごい男で、自分の家が原因で火を出した。申し訳ないって、自分の蔵に自ら火を放ち、その中で死んだ男です」
「それなのに火消しになったのか・・・だからなったのか?」
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