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小田原城兵糧攻め




「あれが小田原城か?なんてでかさだ」


小田原城と町全体を、総延長9キロメートルの土塁どるいと空堀で取り囲んでいた。

その小田原を、更におおい尽くすように旗がなびいていた。

あ!あの旗は、風林火山だ。するとあそこには武田が居るのか・・・

その近場に真田六文銭の旗もあった。

俺が知っている旗はそれだけだ。

それに、みたことのない旗が、ずらりと並んでいる。


「殿、笹模様に2羽の雀は上杉の家紋。相当数の軍勢で来ているようです」


「あれがそうなのか?」


成る程、あれが上杉の家紋か、するとあそこは越後勢が陣取っているのか・・・

双眼鏡をのぞいて壮大な光景を見ていた。

越後で7万、武田が居る所で11万は居るかも知れない。



すると俺に近づいて、話しかけてきたのは山田のおっさんだ。


「殿、武田と上杉からすでに数々の城を落としたと、報告が入っています」


「そうか、中には小田原城へ逃げた者も居るだろう。しかしどうしたものか、陣を張れる場所が無いではないか?この辺に張るしかないのか・・・」


「やむを得ませんな、しかし見晴らしがよいので我慢するしかありませんな~」


「して米の手配は済んでいるのか?」


「ああ!見えてきました。あれが輸送船で間違いないでしょう」


「どれどれ、ああ間違いないな・・・それぞれの大名に食糧がどれぐらいあるのか聞いて来てくれ」


「早急に聞きに行かせます。五郎太、聞いたか殿の言う通りにするのだ」


「はは」と言って走って行ってしまった。


せっかちな奴だ。

そして、遠くの方で怒鳴り声が聞こえてくる。




土木隊が24時間体制で、城を建設中だ。

土塁の上には丸太で柵が作られて、そこから火縄銃が撃てるようにしている。

そして土塁の向こう側は、空堀が掘られ容易に土塁へ行け無くしている。

そして中心地には3階建ての城が2階まで作られていた。

それにまして目立つのは、5階ほどまでのびた見張り台だ。

どうやら遠い所の見張り台と、手旗信号で伝達している。


「イー2、異常なし」


「今度は、イー3はどうだ」


「異状なしです」




それに伴ない、大型テント内では小田原城について話が行なわれていた。

上杉謙信と武田信玄と里見義堯が大名の代表的な存在で出席している。


此度こたびの戦は、兵糧攻めと決めています」


太原雪斎の強い思いが詰まった作戦だった。

俺の『眠らせ作戦』は、そんな手ぬるい作戦はダメだと即却下されてしまった。

折角作って持って来た大砲もダメ出しを食らった。

砲弾が着弾すると爆発して、破片が飛び散り被害を大きくする改良型だ。


「しかし、それ程の食糧がこちら側にありますかな・・・小田原城には食糧が豊富にあるはず」


「それは心配御無用、事前に少なくしております」


竹中半兵衛は、くちびるに笑みを浮かべた。


「1日2食の食糧は今川が支給します。なので心配御無用、そして10日1度の休日を近隣の温泉地で休んで頂く」


「兵を休ませるのか?」


「長い間を気を張りすぎると体にも良くないらしいと、医療隊が言っておりますので・・・」


「医療隊とは、何?」


「兵の負傷時に治療する者達のことですよ」


「なんと、そのような者も連れて来ているのか?」


信玄が、うなりながら考え込んでいる。

謙信は知っていたのだろう。そしらぬ顔で話を聞いている。




「これが今川の戦飯か?」


「豪勢な物だな。おにぎりと味噌汁と漬物まであるぞ」


「この魚は、川魚と違うな。なんという魚だ」


「しらねーーな」


「おれさまが聞いた話だと、カレーという特上の美味いものも食えるらしいぞ」


「なんだよカレーって」


「そんなの知るけーー」





「これが温泉なのか、湯船に入ったのは初めてだーー」


「お前!体を洗わずに入ったな」


「中で洗った方が楽だよ。ほれポロポロとあかが落ちるぞーー」


「汚い奴だな」


「初めてだから仕方ないか、今度から洗ってから入れよ」


「ごめん、ごめん」


「おれっちも、2回しか入ったことがないがな~」


「何処でだ」


「湯ノサワという所だ。くさい匂いもするが良かったな~」





多くの武田と信濃と越後の農民兵は、帰ってしまった。

田の収穫が迫っている。それにまだまだ沢山の田畑の仕事が山積みだった。

そんな農民兵の不満が漏れ出した。


今川の殿様は、もう帰っても良いと書状にしたためた。

それによって心配なく大名は、農民兵を帰すことが出来た。

残ったのは、生粋の武士集団だけだった。

そんな少ない兵と供に、大名の当主は小田原城の行く末を見続けている。



俺はそれをヨシと思った。

そして遠くの大名が少ない兵を引き連れて、やって来ている。

伊達輝宗は兵を引き連れての行進に、希望や野心が見え隠れして頼もしかった。

なぜなら、行進の歩き方が揃っていた。

見る人は、それを驚くように見ていた。伊達が伊達ゆえんの行動だった。



今では小田原周辺は、今川勢でがっちりと包囲つくされていた。




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