鳥越城
広がる屍の中で、俺は突っ立っていた。
クエストによって付き動かされて、俺の戦闘モードのスイッチがONした。
そして暴れまくった結果だった。
俺の家臣達も、そうとうに暴れた。
【クエスト完了 報酬に鼓舞を差し上げます】
あ!!鼓舞は、俺に同調する者達に大いに気持ちを奮立たせて、身体能力をあげるものだった。
今回の戦場では、奮立った家臣が多かった。
それが原因のように、報酬として決まったようだ
そして、その結果なのかレベル表示は無いが、HP10だった者がHP20へと表示している。
それだけ強くなったとしか考えられない。
それとも鼓舞がなせる能力なのか、そこまで詳しく能力を理解できていない。
魔法なら、全ての知識を把握できるのに・・・
「殿、まだまだ終わった訳ではありませぬ」
そう言うのは、竹中半兵衛だった。
朝倉勢もすでに動き出していた。
最初の戦いは、大勝利に終わった。
あの主力の加賀一向一揆を、完全勝利したのだ。
しかし、越前にはまだ門徒が残っている。
その半数以上は、戦場で戦わない老人や女や子供だ。
ここからは、朝倉勢と本郷勢は2手に分かれて、抵抗する門徒を討伐する作戦だ。
本郷勢は鳥越城を目指した。
「殿、鳥越城が見えてきましたぞ。手取川と大日川の合流近くの山に城が築かれてます」
成る程、山の頂上に山城があった。
俺は鳥使いを使って、上空から見ることにした。
城の面積は、東西に400メートル、南北に1200メートルにおよんでいた。
そして七ヵ所の主要な郭で構成される。
空堀や土塁を挟んで尾根を巧みに利用して配置されていて、それを腰郭が囲むように出来ていた。
「捕まえた門徒の1人に、手紙を渡して放て」
「はは」
若い男が、鳥越城へ駆け上がってゆく。
途中で弓によって殺されないか心配したが、無事に門が開けられて入ってゆく。
「あの男は戻らぬぞ」
家臣の1人が、つぶやきながら忙しなく鳥越城を見ていた。
とうとう夕刻になっても戻らなかった。
「見張り以外は、今夜は充分に休養しろー。明朝に総攻撃を仕掛ける」
「夕食はカレーか・・・よだれが出てきたぞ」
いつの間にか、カレーの匂いが漂っていた。
すでに長い列がしていて、ヒソヒソと話しながら順番を待っている。
我が軍勢には、厨房隊があって食事を担当している。
こんな待機中などでは、美味しい物を食べさせている。
「ゴホゴホ」
「おい、新人、あわてずにゆっくる食べろ。カレーは逃げたりしないぞ」
「はい、こんな美味い物は初めてで・・・」
「ワシも初めての時は驚いたな」
「何を言っている。あの時は、クソを食わすのかと怒っていたくせに」
「それを言うなよ。お前だって変な顔をしてたぞ」
「わはははは」
「わははは」
「殿、このカレーなる物は何でしょうな」
「凄く美味いな。将軍職の時にはこれ程の物は食べた事もなかった。これがあの男の力の源かもな・・・」
「殿、この赤い物も、いい味がしますぞ」
「ああ、これか?福神漬けと言う物だ」
「殿、何故、知っているのですか?」
「夜食の握飯に入ってたぞ。梅干しもあって酸っぱくて美味しかったな」
「ええええ!もしかして、夜の帰りが遅かった時のことでは・・・」
「迷って厨房まで行った時に、勇が握ってくれた」
「なんと、そんなことが」
「静香と仲良くしていたなー。2人は、なんたらラーメンと言う物を食してたな~。わしの分がなく、仕方ないとにぎり飯をにぎってくれたな~」
「ラーメン・・・? 」
※腰郭-築城に際して、本丸と二の丸との間に高低があるとき、本丸との通路用に囲 いを設けたもの。
土塁-土を盛り上げて築いたもの。
尾根-山の頂上同士をつなぐ、最も高い場所の連なり。
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