加賀一向一揆
今川将軍の命を受けて、越前国へ来ていた。
実は、この命も太原雪斎が事前に企んだものだ。
どうやら浅井進攻の時に、密約が交わされていたらしい。
加賀の本願寺門徒らが中心となった信徒の討伐だった。
朝倉氏と加賀一門は深い因縁があった。
桶狭間の合戦の5年前に、朝倉氏は加賀一向一揆を攻めた。
その時の総大将だった朝倉宗滴が病死。翌年の4月まで戦闘を継続。
9月から10月にかけて粟津や安宅を攻めて失敗。
逆に攻め入られて、越前の各地を焼かれたらしい。
なので加賀一門には、恨みを持っていた。
そんな時期に、俺の存在があったので交渉は簡単に進んだ。
時期を見て、加賀一門を討伐する約束がなされた。
なので、簡単に浅井進攻がなったのも頷ける話だ。
助けてくれるはずだった朝倉氏が、裏切っていたのだ。
加賀の国を目の前にして、陣中で話し合いがなされた。
「よくぞ遠くまで来ていただき、ありがたく存じます」
大名の朝倉義景が、うやうやしくお辞儀していた。
多分、俺にしているのでなく、後ろについて来た足利義輝にお仕儀しているのだろう。
将軍職を辞めたのに、大名にはまだその威光でしたがわせる力が残っていた。
それを当り前のように、義輝は受け流している。
竹中半兵衛が前に乗り出して、地図を取り出した。
「我が軍勢がここより攻め入ります。朝倉さまが後方で見守るだけでよろしいと存じます」
「見守るだけで良いとは・・・」
「はい、見守るだけで加賀一向一揆に脅威になりましょう」
事前に話し合った作戦通りだ。
朝倉の軍勢は、俺の軍勢にとって足手まといでしかない。
接近戦の得意な部隊は、俺が作った特注の鎧と武器で無双状態。
そして、ライフル部隊にいたっては、軽装な出で立ちで移動速度に付いてこられない。
ライフル部隊は、日頃から狙撃訓練以外に、中距離走の訓練で5000メートルは走っている。
戦場を走り回る持久力を付ける為だ。弓の射程距離が近づいたら逃げろと指示している。
竹中半兵衛が「撃ち殺せーー」と大声で叫んでいた。
加賀一向一揆は、恐れを知らないのかライフル銃に次々に撃ち倒されていた。
ライフル部隊の近くには、無双部隊がまだかまだかと出番を待っている。
加賀一向一揆から、念仏のような声が聞こえてきた。
「進者往生極楽、退者無間地獄」
前進して戦って死ねば極楽に行け、逃げれば地獄に行くという意味らしい。
一向一揆の本質を的確にとらえた言葉であった。
聴いているこちらは、恐怖が半分と残りは哀れであった。
「一向一揆」の意味も凄かった。
「一向」とは、一向宗と呼ばれていた浄土真宗本願寺派のこと。
「一揆」とは、自らの要求の実現を求めて信徒らが武装蜂起すること。
宗教を信じてみずから戦えと言っているのだ。
【クエスト発生 加賀一向一揆を成敗しろ】
またも、クエストが発生した。
成敗するのか、これも俺に与えられた運命なのか?
「俺が打って出るぞ」
「殿、なりませぬ。もしもの事があればどうなさられるのですか?」
「いや、これが俺の運命なのだ!!皆!撃ち方をやめろー」
ライフルの銃声が一瞬で止んだ。俺は加賀一向一揆へ向かって駆け出した。
向かった先には、大勢の門徒が刀を振り上げている。
金剛杖の一振りで10人程が吹き飛んでいた。
2振り目でも11人が吹き飛ばされた。
俺の後ろでは、無双隊が俺に続けと駆け出していた。
なにより驚いたのが、無双部隊の先頭には、足利義輝が凄い形相で走っていた。
手に持っているのは、俺が作った刃長1メートルもある野太刀だ。
それを上段に構えて振り下ろした。
相手の鎧ごと、右肩から左腹へと切断。体がずれ落ちた瞬間に血が噴き出していた。
そして返す野太刀で、横にいた人の首を斬り飛ばした。
空中に飛ぶ頭部が、血を噴き散らかしている。
間の悪い事に、その頭部を受取った者にも野太刀が襲い掛かる。
あたりは、血の池地獄を連想させられる程だった。
「よく聞け!!ライフル部隊は、味方に当たらない遠い敵から撃ち倒せーー」
竹中半兵衛が怒鳴っていた。
それを合図にライフルの銃声が鳴り響いた。
遠くの敵が次々と倒れだしていた。
「何故だ、こんな遠くに居るのに」
猟師の知り合いが居るのだろう。尋常でない射程距離に驚いている。
そんな猟師は、一番に倒されていた。
- - - - - - -
後方の高い丘から見ていた朝倉義景が、立ち上がり震える手で指さしている。
「なんと恐ろしい。これが合戦か・・・」
「・・・・・・」
「殿、この者には絶対に逆らってはなりませぬ」
「分かっている。まさに赤鬼じゃー全身が血に染まった鬼じゃー、地獄から加賀一門を成敗しに来た赤鬼じゃー。あの噂はまことであった」
そして、崩れるように地面に座り込んでいた。
「殿!!」
周り家臣が駆け寄り、心配そうに見ていた。
「心配ない、腰が抜けたようだ。ワハワハッハハハーー。お前たちも笑え、加賀一門が消滅する瞬間ぞ」
そんな中に、鉄砲を持った男がその合戦を食入るように見ていた。
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